どうしてこうも選ばれる総理はダメな総理ばかりなのか。結果として、1年ごとの交代で、国民の信を問わない総理に政治を託すことになる。政権交代してもその傾向は変わらないところに何か原因があるのだろう。
フランスの社会学者ボードリアールは「政治の見せ物化が進んで、政治の言葉や理想が力を失っている。今は、イメージで政治家を選ぶ時代だ」と言った(朝日新聞 2003.10.22)。
良く言い当てている。自民党の総裁選、民主党の代表選で人気投票し、若者、無党派層を掴んだ方が勝ち戦になる。負けても2位に付ければ、無名の候補者でも要職に着くことが出来るし、次回の総裁選、代表選に出る権利を得たことになる。
リーマンショックによる経済不況に直面しているものの、ここ数年の総理の評価はさんざんたるモノで、支持を落とす要因は「指導力がない」点にある。経験と実力が伴っていないのだ。
菅総理も御多分にもれない。「指導力がない」、「丸投げ」、「攻めには強いが、守りにはめっぽう弱い」、「弱気になりブレる」など芳しくない。
菅さんは、人気があって総理に躍り出たのかと思っていたが、そうではなく、「なりたがってなったのだ」。
世論調査での「総理に相応しい人」をみると、鳩山内閣の支持率が33%だった2010年4月5日(読売新聞)では、舛添29%、岡田9%、前原8%、菅7%、渡辺6%、鳩山5%で、閑散は財務大臣の要職に着いていたが、4位だ。
2010年5月17日の毎日新聞では、舛添13%、前原12%、渡辺9%、石破6%、菅6%、岡田4%、鳩山3%、小沢2%となっている。
普天間問題、「政治とカネ」で鳩山総理は6月3日、退陣を表明したのを受け、菅さんが代表選立候補を表明した。狙っていたかのような素早い行動だった。「政治とカネ」の問題にきちんとケジメを付け、幹事長人事も小沢さんの影響を避けることも表明した。
そして、代表選は、菅vs小沢、「脱小沢」vs「強いリーダーシップ」の闘いの構図になった。前原さんや岡田さんは、早々と菅支持を打ち出した。
私もこの時、「本当に菅さんで良いのか」という記事を書いたが、小沢さんで良い訳でもなかった
「政治は悪さ加減」と言われるが、菅さんと小沢さんを比較したら、「政治とカネ」のスキャンダルを抱えた小沢さんより、菅さんの方がマシだ。
当時の新聞論調を見ても、菅さんを積極的に支持するモノはなく、寧ろ鳩山政権が普天間移設問題で右往左往している時に、副総理として何ら行動しなかったことに、総理の座を目前にした様子見の姿勢に批判がいった。当然の話だ。
しかし、代表選は、国会議員では拮抗したが、サポーター、地方議員では圧倒的多数で勝利した。小沢さんの政治生命は終わったと思った。
人気投票で勝ったのも同然だ。
それから2ヶ月余り、参院予算委員会で「仙石総理大臣」と間違ってコールされるほど、仙石官房長官の力が大きく、菅総理の存在感は薄らぐばかりだ。
「指導力がない」と求心力を落とすばかりで、外交では国益を害する判断が相次いだ。柳田前法相の更迭、国会運営の駆け引き、中国漁船長釈放、尖閣ビデオ流出事件など政治的ケジメはこれからだ。
国会中継を見ても、「政治の言葉や理想」が力を失っている。国民の信を問うていない菅―仙石体制は崖っぷしに立たされている。
解散、総選挙しか解決策はないが、負けが分かっている戦いに菅政権は決断できるか。
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