2010年11月19日金曜日

期待はずれに終わる事業仕分けだったのか


目標の16.7兆円が4.5兆円に終わり、「廃止」事業の姿を変えた復活、自民党政権の政策から身内の政策の仕分け、改革を進めなければならない政務3役からの「これまでにしてくれ」の批判続出。当初期待していた事業仕分けも期待はずれに終わるのか。

政権交代選挙で民主党が掲げた「ムダの削除」、16兆円はひねり出せるという主張に、「自民党政権はそんなに無駄なことを税金を使ってやっているのか」と批判は高揚するばかりだった。

政権交代後も、民主党政権は事業仕分けをパフォーマンスに、高支持率の維持に努めた。蓮舫議員は、一躍脚光を浴び、参院選東京地方区で170万票も獲得する結果になった。

しかし、色あせることも早かった。説明員側の官僚を叩く事業仕分けは、回を重ねる毎に国民の注目度も低調になった。

私も全部とはいかなかったが、2日ほど一般参加してみた。

事業仕分けがうまく行くかどうかは、官僚の意識改革次第だと思っていたが、収入が激減しながら、且つ赤字の累積にもかかわらず、利権事業を通そうとする官僚に違和感を感じた。

法に定めた目的を達成するためには、国がやらなければならない事業が定められている。それを推進する為に組織(法人)を作り、スタッフを雇い入れなければならない。仕事の内容によっては専門業者に丸投げすることも考えるが、その専門業者も息のかかった組織にする。

役員には天下りを受け入れ、高給と事業の赤字は税金から補填すれば、何のリスクもないことになる。費用対効果など誰も追求しないから役人天国だ。毎年予算を計上すれば事業は何時までも続く。

事業によっては、自治体にも負担させる。何に使われるか、何のための負担かを詳細に検討せず、請求されたままに負担に応じた。

事業本体は東京都心の一等地に本社を構え、国民の知らぬ間に豪華なビルに入ったり、建てたりする。官僚の我物顔が罷り通る。
一度始めた事業を途中で止めたり、縮小することなど、官僚にとってはタブーだ。折角先輩官僚の築いた利権を手放すことなどやってはいけないことだ。自分の出世にも影響する。

今回の事業仕分けで、追求されていた主要点は、費用vs効果だ。私が聞いた事業では全く検討されていない。どういう項目で評価するかも決まっていない。確かに評価しにくい事業もあるが、だからこそ気を付けなければならないことだ。

事業の丸投げは常套手段であるが、丸投げするのであれば、直接やれば良く、何も法人を設立してまでやることはない。

競争入札などしていないので、費用は言いなりの価格だ。役人の天下りがあれば、その人件費に該当するコストも含まれている。事業仕分けでは、少なくとも5社で競争させると、3割は削減できると指摘されていた。確かに公共事業は、官庁仕様で3割は高い。

全体を通じて不思議に思ったことは、収入が激減しているのに、官僚のやる事業は水ぶくれ、焼け太りだ。普通の感覚なら人件費から削減し、維持管理費、運営費も極力削減することに真剣に取り組まなければならないが、その姿勢が見受けられない。

海外青年協力隊JAICAの高齢の理事長が年収2500万円、調整員が1000~1300万円、国内での職を辞めて海外で2年間のボランテイア活動している若者の年収が60万円と聞くと唖然とする。報酬が逆ではないか。

事業仕分けは私達に、問題意識を与えてくれた。政治の仕組みの一環を明らかにしてくれた。

しかし、一番大事なのは、官僚の意識改革である。それも高級官僚の意識改革が緊急の課題だ。それなくして改革は無理だ。

最後に「事業仕分け」そのものの必要性が問題になったようだ。自民党時代の政策を仕分けするうちは良かったが、民主党政権になってからの仕分けに政務3役から異論が出てきた。事業自体が、一定の業種、地域の活性化に大きく影響する補助金のようなモノに対しては、国会議員の利権がらみの様相を呈しているのだ。

事業仕分けへの批判は、菅政権の求心力の低下と共に拍車がかかっている。
写真:事業仕分け第2弾 ワーキンググループB 2010.10.28

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