2013年12月21日土曜日

新しい東京都知事選び:「オリンピックの顔」だけの安易な選択は止めよう

やっと猪瀬さんが辞任すると言うことで、新たな都知事候補選びが加速しそうだが、「オリンピックの顔」というだけの安易な選択は避けよう。「東京の顔」、「オリンピックを成功させられる人」「国際的に知名度のある人」などが理想像(?)として挙げられているが第一次的には都政を推進できる人だ。決して人気投票やミーハー的選択は止めるべきだ。

東京都の最近の有権者数は1050万人と言われているが、投票する人は約600万人、そのうち160万票はミーハー票だと言われている。

都の財政は一般会計で6兆2600億円、チョットした国の財政より大きいのだ。

勿論、知事が誰であろうと基本的な政策は官僚によって推進されるが、大きな方向性は候補者の掲げる政策だ。そこをしっかり掴まなくてはならないだろう。

石原さんが都知事の時、週に2日しか登庁せず、特別秘書や任命した副知事が実務をやっていたということが明らかになったことがある。都民が信任していない人間が都政を操っていたとは驚いたものだ。対立候補者が公約に「私は毎日登庁する」と掲げていた事もあった。

東京都という巨大な組織は官僚がしっかりしているので、知事が誰であれ、そんなに影響することはないのだろうが、433万票を獲得した猪瀬さんが「私は民意を背負う」と豪語したのは議会や都庁幹部を牽制したのだろうか。

候補者には知名人、人気者、官僚出身、タレント、国会議員などの名前が挙がるだろうが、東京都知事選ともなれば自薦他薦入り乱れ候補者も多くなる。東京都民でなくても必然的に注目される知事選なのだ。

今までの都知事で思い出すのは、東龍太郎さんは確かオリンピック絡みだった。その後、美濃部亮吉さんが社会党公認ででて、300万票を獲得しおどろいたものだ。「1人でも反対があればその政策は進めない」は有名だったが、財政赤字を積みあげていった。

その後、自治省出身の鈴木俊一さんだ。借金を返したが何かの理由で責任を負わされたような気がする。NHK出身の磯村さんが対立候補になり、銭湯で「裸の付き合い」を強調したが次点だった。その時強引に磯村さんを担ぎ上げたのが自民党・幹事長だった小沢さんで責任をとって辞任したが、その後離党するはめになった。
青島さんも170万票を勝ち取り1期だったが知事の座に着いた。その時の次点は自治省出身の石原さんだった。青島さんの「意地悪悪ばあさん」は圧倒的人気だった。

そして石原慎太郎さんが「裕次郎の兄の慎太郎です」と記者会見で発言、300万票を勝ち取り知事の座に着いた。次点の宮城県知事だった浅野さんが170万票、「よそ者に東京は渡せない」が石原さんのスローガンだった。また、一度は出馬を諦め神奈川県知事だった松沢さんを押したが、勝てそうにないので急遽自分が出馬した前々回の次点が東国原さんで170万票だ。

石原さんに振り回される都知事選だった。一時は後釜に自分の息子の伸晃さんを考えていたようだ。ところが自民党総裁の芽が出て来たので都知事候補にならなかったが、自民党総裁選では敗退し、その芽はなくなった。世襲に至らなかったのは幸いだった。

石原さんが国政に進出で知事を辞めた後、「これほどの人材はいない」と石原さんから絶賛された猪瀬さんは433万票を得て知事に付いた。次点は弁護士の宇都宮さんだった。このときも石原流の「後出しジャンケン」だったが、選挙資金の工面に四苦八苦していたのか。

このように注目される東京都知事選にはいろんな人間模様が浮かんでくる。それほど各候補者も特別の意義を見いだしているのだろう。

だからこそ、有権者は真剣に選ばなければならない。

決してオリンピックだけが選択肢ではない。政党は手っ取り早く知名度で推してくるだろうが、そういう動きにしたのは他でもない有権者自身なのだ。

どんな候補者が名乗りを上げるか分からないが、ミーハー的に選ばず、適任者なしで棄権せず、都知事選択の意思表示をすべきだ。

東京都知事選は、その時その時でいろんな背景があるのだ。


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