STAP細胞とは「夢の再生医療」と言うよりバカンティさん、小保方さんや理研幹部の一時の幻、夢だったのか、それとも自己満足の具だったのか。27日の理研・調査委員会の記者会見でSTAP細胞疑惑も終わろうとしている。科学的結論は「STAP細胞はES細胞である可能性が非常に高い」と言うことだ。
STAP幹細胞、FI幹細胞、キメラマウス、テラトーマはES細胞に由来するのだ。細胞の量の多さから間違って混入したのではなく、故意に混ぜたと思えるが誰が混ぜたかは分からない。関係者全員に聞いたが「混ぜていないという」し、小保方さんも「絶対に混ぜていない」と否定したそうだ。
26日の調査委員会の記者会見をNHK中継とメデイアのWeb版で見聞きした。
調査委員長の話によると7人の委員が論文作成過程を科学的に調査したり、理研の調査を第三者の目で評価し対象者は小保方、若山、丹羽さんだ。STAP細胞の凍結細胞もチェックしたという。
テレビ中継は短かかったが、2件の捏造も明らかになり実験は実際に行われなかった。ES細胞の混入が明らかで論文はほぼ否定された。
ES細胞の混入時期は2011年11月頃から複数回あったという。11月と言えば当時の理研の若山研究室でキメラマウス作成に成功し、竹市さんも信じた時期だ。その時から複数回混入があったと言うが、他の部屋の研究者が出来ることではなく、実験担当者の小保方さん自身が故意にやったとみるのが自然ではないか。今までいろんな疑惑が指摘され今更「やっていない」と言っても誰が小保方さんを信じるか。
その後Web 版によると、図表作成に必要な作業をやっていなかったこと、元のデータを持って行くと共著者から「これは使えない」と言われ、操作したことを小保方さんは認めた。
問題になった実験ノートでは、実験記録をほとんど提出しなかったので、記録がない可能性が高く、「研究の基盤が崩壊した」という。
今回の調査で小保方さんが捏造を認めていること、提出できる実験記録はほとんどなく、ES細胞の混入が明らかになったところで「STAP細胞は存在せず」を裏付ける結果になった。
そして科学者としての社会的責任が欠けているし、オリジナルデータのチェックをやらなかったと厳しく論じた。
今までの報道から小保方さんは25歳の2008年にハーバード大関連病院のバカンティ教授のところでSTAP細胞を研究し帰国、3年後の2011年にキメラマウスの作成に成功、世界的科学誌に論文を投稿するも拒否され、2014年笹井さんらの指導でNature誌に掲載された。31歳だという。もしこの研究が本当だったら驚くべき早さの研究成果だったのだ。
しかも再生医療が専門ではない麻酔科のバカンティさんのSTAP細胞というアイデイアを、これも専門ではなかった若い小保方さんが指導を受けて実験に着手したことになる。そして専門外の研究者が3年ほどでiPS細胞やES細胞ではない万能細胞の作成に成功したことになる。
これだけでも驚かされたことになるが、大々的な論文掲載の記者会見、小保方さんの割烹着姿、小保方さんの研究室内は異例ずくめだった。それだけに目立ち、逆に注目を浴びる結果になった。誰が見ても理研の策略を感じざるを得なかった。時は文科省の特定法人指定の問題が迫っていたのだ。
メデイアは小保方さんの大物振りも報じた。
母親の「ランドセルを持たずに学校へ行ったので母親がランドセルを持って後を追っかけた」話は、すでに大物の片鱗を表していると報じたが、論文で不正が指摘されるたびに正式なものと差し替える行為を見ると今になって考えれば「ただのオッチョコチョイだった」ことになる。論文作成に真剣さがないと専門家から指摘されるほどだ。
実際に可能性のないSTAP細胞のアイデイアを公にしたバカンティさんも何があったのか勤務先の病院を1年間休職するとメデイアは報じていた。その病院でもSTAP細胞の疑惑を調査していると言うからバカンティさん自身も何か感じることがあったのだろう。
考えてみれば若い小保方さんも犠牲者だったかもしれない。偽科学のSTAP細胞を教え込まれ、「簡単にできる夢の万能細胞」と思い込み、オリジナルデータを誰からもチェックされず自分勝手な研究を進めてきた。いくら実験を重ねても作成に成功しない。思いあまって既に知られているES細胞を混ぜた。そしてキメラマウスの作成に成功した。STAP細胞作成のストーリーを描いたが、一度誤魔化すと修正が効かずズルズルと不正を繰り返すことになった。
今後は小保方・STAP細胞捏造事件として研究者の倫理教育の教科書となるのだろう。
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