2014年12月21日日曜日

【推論】STAP細胞の怪:小保方さんは、まともな実験はやっていなかったのでは

小保方さんは、まともな実験をやっていなかったのではないか。否、やれなかったのではないか。1月末の晴れやかで満面に笑顔だった論文発表記者会見から12月19日の「STAP細胞検証実験の打ち切り」の記者会見まで余りにも落差の大きい結果を見ることになった。

論文作成段階での実験では「STAP細胞作成」(?)だったとしても今回の自らの検証実験では48回の実験で緑色に光った細胞は数が極めて少なく万能性を獲得したとは限らず、光った細胞が本当に万能性を持っているかどうかを調べた結果、万能性を確認できなかったという。

以前は出来て今回は何故出来なかったのかという疑問が残る。4月の記者会見では「200回以上」成功していると発言していたが、どの実験段階での成功例かは記者会見で確かめることは出来なかった。

共著者の一人である若山さんも山梨大に来て再現実験をやったが一度も成功していないと言っていたし、亡くなった笹井さんは後の記者会見で「緑色に光る細胞段階だろう」とコメントしていた。

ところが、細胞が死ぬ時にも同じ現象が起きるし、同じ研究所の主任研究員が「ES細胞の混入」を指摘していた。

追試をやっていた第三者機関も「STAP細胞作成出来ず」というと、今度はバカンテイさんが酸処理と細い管を通す必要があるとアドバイスしたが、それでも作成、再現が出来なかった。

なかなか再現実験がうまく行かないと思っていたら、今度はバカンティさんが「簡単に出来ると言ったのは間違いで、実験者のテクニックに負うところが大きく、簡単にはできない」と言い逃れをする始末だ。小保方さんを援護していたのか。

それでも最後まで論文撤回を拒んでいたバカンテイさんと小保方さんだったが「ここはひとまず撤回」と最終的には撤回に至った。

STAP細胞はあるのか、ないのか」が争点になり、理研の記者会見では「研究者は判断が出来ない」と言うが、小保方さんはまともに実験をやっていなかったのではないか。否、やれなかったのではないか。

その理由の一つに実験ノートへの疑問がある。

理研の調査委員会は「3年間で2冊の実験ノート」を指摘していたが、小保方さんは「米国での実験を入れると4~5冊はあるはずだ」と反論していた。メデイアは実験ノートの必要性をしつこく報道した。

小保方さんは、一体どんな実験ノートを付けていたのか。

小保方さんの実験ノートの一部
「テラトーマの解析について」
今回の検証実験では数が少なく
この段階まで進まなかった


5月7日に小保方さんの弁護団が「これで勝つたようなものだ」と実験ノートの一部を公開したが、これがお粗末この上ない代物だった。

その一つが「テラトーマ解析について」のマウスのスケッチだ。そのほかに「陽性確認、よかった」と言う内容のものも新聞で報道された。

これを見て専門家が唖然とした。「ポエムか」と揶揄する者も現れた。「何時、どこで、どうのように実験したか、どのような結果が出たか」をきちんと記録しなければならないという。

明らかに記述が足りず、STAP細胞作成の証拠にはならないと言うのが大方の見方だった。

普通は大学などで実験する場合は、きちんと実験記録を取るはずだ。それに基づいて研究発表、論文作成をするものだ。特に実験ノート記載の教育を受けていなくても、それに近い記録はとっているのだ。

でも3年間で小保方さんはどんな実験をやっていたかを検証することは難しいようだ。バカンティさんの指導の下で「簡単に万能細胞が作成できる」というSTAP細胞作成への小保方さんのストーリーも実験で確認することが出来なかったのでES細胞の混入など研究不正へ手を付けたのではないか。

検証実験でも緑色に光った細胞の塊1615個を受精卵に移植したがキメラマウスは出来なかったという(読売新聞 2014.12.20)。

論文の体裁を保つために、あちこちから画像を集めての捏造になったのか。論文の疑惑が指摘されると「間違っていた。正式なのがあるので差し替える」を繰り返した。専門家は「論文作成に慎重さがかける」と指摘するが、根本的に実験計画が出来ていなかったことにならないか。

あくまでも推定だが、バカンティさんの提案したSTAP細胞も第一段階の緑色に光る細胞の確認段階までだとすると細胞が死ぬ前にも緑色に光る現象と合わせて大きな誤解をしていたのではないか。

優秀な研究者が多い理研の内部での研究発表などで議論していれば、このような失態は回避できたと思うが、なにぶんにも「秘密扱い」の研究にしたことが理研のガバナンスの欠如をさらけ出すことになった。

小保方さんはSTAP細胞実験では自分なりのテクニック、レシピがあると豪語し、自分では出来ると言う自信を覗かせていたが、今回の検証実験は「厳しい環境下で思うように行かず困惑している」とコメントを発表した。「小保方さん自身に諦めさせる」ための検証実験だったのにどういうことなのか。

今になっても残念がる小保方さんに「何故」と問いかけたい気分だが、21日に退職が認められたと言う。

私が一番奇妙に思うのは、1月末の嬉々として自信たっぷりだった論文発表記者会見だ。論文に不正をやっていたとしたら、普通ならあのような顔にはならないだろう。それともペテン師同様「してやったり」の顔だったのか。

若い未熟な研究者だから失敗もあると擁護する意見もあるが、だったら自ら出て来て本当のことを話すべきではないか。自分のしたことに逃げ回っていては研究者とは言えない。

世界3大研究不正事件になったが、何となく後味の悪いSTAP細胞疑惑事件だった。



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