朝日新聞 2014.12.5 |
日本経済の停滞が米に悪影響のオバマ大統領の懸念に 安倍総理は応えられるか。4日の民放のテレビニュースでオバマ大統領が日本経済について懸念を示していた。今、米国経済が順調で世界経済をけん引しているが、日本の停滞が悪影響を及ぼしかねないと言う内容で日本に成長政策を求めたのだ。
何のことか詳しくは分からなかったが、朝日新聞(2014.12.5)でその内容が分かった。
オバマ大統領が企業経営者とのシンポジウムで「米国経済が順調に成長しても、日本、欧州、新興国経済の弱さに影響を受ける恐れがある」と述べた。
そして、日本経済は驚く程停滞し、突出した債務を抱え、長期的な低迷から抜け出せるか分からないと日本経済に懸念を示し、一段の成長政策を求めたのだ。世界経済をけん引するためにはアメリカの他にもエンジンが必要とも言う。
G20でも日本経済でいろいろ要求されていたが、どの国も見方は同じなのだ。
でも、安倍総理のアベノミクスで答えることが出来るとは到底思えない。
今回の選挙は「成長か、後戻りか」の選択だと自民党は訴え、安倍総理も消費税増税先送りで「折角のデフレ脱却のチャンスをつぶしてはいけない」と訴える。
脱デフレが安倍政権の喫緊の政策課題だが、第1の矢の金融政策、日銀の異次元の金融政策で円安による物価高の傾向が出ているが15年度の2%物価目標を達成出来る状況ではない。
寧ろ、輸入原材料などの物価高、消費税8%への増税に賃上げが追いつかず家計は実質所得のマイナス成長が続き消費は落ち込んだままだ。
政府、日銀の目指す2%物価目標は、「悪しき経済循環」の様相だ。待ち構えているのは物価高の不況でスタグフレーションなのだ。
国の債務も先進国一で1000兆円を超える。プライマリー・バランスの2015年に半減、2020年に黒字化を各政権は目指すが長続きせず口先だけの約束だ。安倍総理だって今回選挙に勝ったとしても後4年の任期では達成も覚束ない。口約束で無責任は公約だ。
今のところ財政健全化で税収増が期待出来るのは消費税増税だけだが、その消費税再増税を1年6ヶ月先送りしたことで財政再建策は遠のいた感じだ。社会保障費をどうするんだと言うことになると歳出削減で高齢者に負担を強いることになる。今、国内の消費を見ると給料を稼いでいる若者層が消費を抑え、収入を削られる年金生活者などが消費を増やしているという。これではますます消費は落ち込むことになる。
安倍総理は財政出動と財政再建は車の両輪と言い、国民の生命と財産を守るといって国土強靱化のための公共投資を増やす。歳出削減は弱者に負担を強いる以外になさそうだ。
また、多くの政府御用学者が「消費税を8%に増税しても経済成長は問題ない」とコメントしていたが予想に反して景気低迷が続く。日銀は消費税10%への再増税で景気の腰折れを回避する為に政府に先んじて80兆円の追加緩和を実施したが不況下での株価の上昇は格差の拡大をもたらすだけだ。
このまま景気停滞が長引けば日銀による更なる追加緩和が話題になる。FRBは量的緩和を終了し、今後は金融政策正常化に向け利上げのタイミングとなれば「円売りドル買い」が続く。
円は今1ドル120円台まで下落しているが124円台まで行くだろうとみられている。新聞には中小企業の円安倒産が増加していることを報じている。儲かっているのは一部の輸出大企業だ。
円安になれば今まで円高で生産施設を海外へ移転していたが、逆に国内に戻ってくるのではないかと期待されていたが、そうはいかなかった。国内需要の拡大が期待出来そうにないのだ。
安倍総理は法人税などを段階的に引き下げ35%(東京)から20%台にし、海外からも企業を引っ張ってきたいようだが国内需要に問題がある。
政権は、「民主党政権の時何をやったか」と民主党の責任を追及するが、一番の責任は自民党にあるのではないか。人口減少問題、内需拡大は遠く自民党政権から課題になっていた。
前川レポート、21世紀版前川レポートに見られるように内需拡大の重要性を指摘されていたが自民党政権は何ら手を打たなかった。
企業も儲けを家計に再分配することに難点を示していたので内需拡大は無理だった。
今になって経済財政諮問会議などで同じことが議論され、再分配システムの構築が必要と言う。
海外からも要求されている一層の成長戦略も、鳴り物入りで発表した第3の矢の成長戦略も評判が悪く見直し案が提案されたが、族議員、利得権益者の抵抗は大きく、岩盤規制へのドリルの刃にはなり得なかった。
その結果、中身の曖昧な名だけの成長戦略になったのだ。
アベノミクスも実体経済への効果が出て「好ましい経済循環」になる事を期待したいが、そう簡単に再生できる日本の経済構造ではなさそうだ。
政府も手を打てることはやったはずだ。今度は経済界が意識改革しリードしていかなくてはならない。脱「おねだり経団連」を。
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