2014年12月25日木曜日

24日安倍総理記者会見:「この道を真っ直ぐ進め」と信認されたというが

第三次安倍内閣発足後の記者会見
TBSテレビ ニュース23 2014.12.24
24日の記者会見で、安倍総理は「「この道を真っ直ぐ進め」と国民は信任した」と豪語した。今回の衆院選は48%の有権者が棄権し、自民党の獲得票数は全有権者のたった25%だったのに安倍総理は自信をみなぎらせ国民から信任を得たと主張した。

今回の選挙は「アベノミクスの是非」を問う選挙と安倍自民党は訴え、「アベノミクスに替わる経済政策」は見当たらず、安倍政権が「この道しかない」といえば、「もう少しガマンすればアベノミクスの成果」が期待出来るのではとの甘い期待から自民党圧勝もしかたないと有権者は思ったのだろう。

野党は「アベノミクスは失敗」、「アベノミクスで格差は拡大する一方」、「大企業、富裕層が大儲けし下へ下へ儲けが流れることはない」などアベノミクスの欠陥を謳えたが有権者には説得力を欠き、「他の政権よりマシ」感が漂った。

安倍総理は経済政策に力を入れるというが、安倍カラーと言われ選挙期間中は封印していたと思われる政策について記者から聞かれると、「政権公約」に掲げているので前へ進めると有権者を騙した格好だ。

これからの4年間、国民が信任したとは思っていない国論を二分する政策課題が続くのだ。

24日の第三次安倍内閣発足後の記者会見をNHKや民放のニュースで聞いてみた。

官邸での記者会見では、司会者が「まず最初に安倍総理からお話があります」で切り出した。

メモしながら聞いていたので正確さは欠くかもしれないが安倍総理は概ね次のような発言をした。

選挙で約束したことを推進する。消費税増税を18ヶ月先延ばししたが医療、介護、社会保障改革など新制度を来年4月にまとめる。

アベノミクスの成功を確かなものにするのが最大の課題、様々な声に多様に答え進化していき、地域の事情に広い支援をする。

省エネなどインフラの整備に努める。
来年の賃上げ、再来年の賃上げと最善の努力をする。

3本の矢、民間が活動しやすい規制改革をする。

地方を支援する総合戦略として結婚、子育ての出来る小さくても便利な街づくりで景気回復を津々浦々まで実感出来るようにする。

女性の活動できる社会。

脱デフレ、安全保障政策、外交・安全保障に内閣一丸となって実現させる。

憲法改正では国民の理解を深める努力をしたいと意欲を見せた。

安倍政権の2年間、今までも出来ることはやって来た。これからは今まで政治課題になっていたが出来なかったことをどうやっていくかだ。今まで以上に安倍総理の決断力が問われている。

「第1の矢」の金融政策は日銀の仕事で異次元の金融政策は円高→円安、株安→株高と市場の動きは変わったが、中小企業などの経営にはマイナスの円安が進みすぎている。生活必需品の物価高も国民の生活を苦しめてきている。

2%物価目標も消費税増税などによる影響で1%前後の見通し、日銀には更なる追加緩和の動きもあるがFRBは量的緩和終了で金利上げのタイミングを狙っている。日銀に出口戦略はあるのか。その出口戦略によって経済状況は大きく変わってくる。

アベノミクスの成果など言ってはおれない状況になるかもしれない。

「第2の矢」の財政政策も財政健全化と両輪では大丈夫かと疑問になる。経済財政諮問会議で債務残高の対GDP比など財政状況を複合的に見ていく必要があると安倍総理は発言した。財政状況も1000兆円を越え、対GDP比は2014年度で231%だ。

それでも政府は法人税減税を20%台にする方針だ。批判も大きい中で財源確保に欠損金の「繰り越し控除」の縮小や「外形標準課税」の拡大が検討されている。

緊縮財政は国民に評判が悪く財政出動への期待が大きいギリシャなど欧州経済を考えると我が国でも言えることだ。インフラの老朽化対策には莫大な費用がかかる。
そしてやっぱりうまく行かないのは「第3の矢」の規制改革だ。数次にわたり見直されたが、財界などの要求は尽きない。抵抗するのは既得権益者である族議員、官僚であり、彼らから提案される規制改革案には自ずと制約がある。

企業には自らの努力で新市場を開拓する積極派もいる一方で、既存規制に頼っている輩も多い。岩盤規制に風穴を明けると安倍総理は豪語するが、成功したニュースは聞かない。

たとえば今、注目されてきたのが外為特別会計の資産は120兆円に上り外貨債権は100兆円になり含み益は20兆円にもなるらしい。それを何故国債残高の減少や財源の捻出に使わないのか。これは財務省の利権になるからだ。

民主党政権の時の「事業仕分け」で無駄のあぶり出しを行い特別会計にも食い込んだと思うが、なにしろ財務省の意向が大きく影響している「事業仕分け」だったので利権に絡む話は少なかった。何をするにも財務省の協力がないと出来ないところに問題があるが、「廃止」が決定した事業が政治復活する荒技も出て失望させられたものだ。

脱デフレ、経済政策をとってみても難問が多いが、これに憲法改正、集団的自衛権、安保体制、沖縄米軍基地問題、外交、TPP、原発再稼働などエネルギー政策、約束を守っていないと民主党・野田さんも怒っている「痛みを伴う改革」、後を絶たない「政治とカネ」にどう取り組むのか。

「政治とカネ」の不祥事が明るみになった閣僚達が挙って今回の選挙で勝ち上がってきた。小渕さんは国会で記者から声をかけられると無言で通り過ぎていった。国会内外で記者に追っかけられる議員生活を続けるのか。

安倍総理は「この道しかない」と選挙選に突入、大勝(?)で「この道をまっすぐ行け」と信認されたと言うが、この道の先にどんな日本社会があるのか。そこまでは説明されていない。

それでも私達は安倍政権に託した。吉と出るか、凶と出るか。


安倍総理は丁寧な政権運営を目指すと言う。

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