2014年9月10日水曜日

1ドル106円66銭:進む円安、最適な価格は

102円台を右往左往していた円が4日で4円安の106円66銭に、進む円安の最適価格は? 2008年10月以来の円安水準で、あれだけ円安を歓迎していたが、「急激な円安は問題」と財務相はコメントする。米国経済も回復し、量的緩和も今秋には終了、正常化に向け利上げの話も出ている。市場はドル買い円売りなのだ。

為替は、その国の経済の強さを反映すると教えられてきた。アベノミクスの効果も海外では薄れてきたとみられ、消費税増税の影響もあり個人消費は停滞、10%への増税は更に経済を悪化させ、経済成長率も2%どころではない。円安は当然の動きかもしれない。

ところで、最適と思われる価格はいくらか。昔は購買力平価で試算されていたが、円高の時には「110円なら万々歳」と言われていた。

しかし、今の円安でも輸出企業も儲けているが、逆に円安で海外の原材料などは高騰し、物価の上昇という好まざる結果も招いている。輸出産業は儲かると言っても過去の円高で生産設備は海外に移転しているので今後伸びるとは限られている。

円安で企業は収益を上げ、旺盛な設備投資、賃上げは家計収入も増え、消費が伸び、税収増も期待出来、好ましい経済循環を構築することを政府は目論んできたが、賃上げも十分ではなく、消費税増税、円安による物価上昇で家計収入はマイナス成長だ。

過去の政権での為替を見ると、小泉政権で1ドル116円、第1次安倍政権で119円、福田政権で108円、麻生政権で97円、民主党政権に移って鳩山政権で91円、菅政権で83円、野田政権では77円まで円高になった。

米国経済も不調で輸出を伸ばそうとオバマ政権はドル安政策をとる。欧州経済はギリシャに始まった財政危機で混乱した。

当然、円高なのだ。借金1000兆円、先進国一の対GDP比200%でも安全資産として買われた。

長く続くデフレ、円高対策として当時野党だった自民党やエコノミストは「マネタリーベースが問題で、市場に出回る通貨をもっと増やせ」という。円の通貨量が増えれば当然円は安くなると言う考えだ。先の衆院選では争点にもなった。

しかし、当時の野田政権も日銀に対してインフレターゲットの設定、更なる量的緩和を要求していたが、当時の白川総裁は「日銀は以前から量的緩和をやっている」し、「物価上昇も取り敢えず1%を目途にし、その上も考える」という意味の発言をしていたと思う。

確か参議院の予算委員会で川上議員(民主党)が「日銀に足を引っ張られているのか」と言う意味の質問をし、当時の安住財務相は「日銀は日銀としてしっかりやってもらっている」と言う意味の答弁し財務省も日銀を援護した格好になった。

当時の民主党政権、財務省、日銀は円高を認めていたのか。菅政権の時に「脱デフレ宣言」をしようと検討したが、諦めた経緯もある。

財政再建も重要な政治課題に上ってくる。財務省の意向を受けて菅総理は参院選で「消費税増税」を突然言い出した。「内容は自民党の10%を参考にする」と言ったのだ。与謝野さんを財務大臣に起用する荒手にも出たが、参院選は惨敗に終わった。

続く野田政権も消費税増税路線をとり、3党合意にこじつけた。消費税増税は財政再建への取り組みとして海外で認められていたのだろうか。

替わって自民党・安倍総裁(当時)が、インフレターゲット、異次元の金融緩和を訴え、日銀総裁を更迭すると市場は一気に円高→円安、株安→株高に変わった。

衆院選で圧勝した自民党は民主党政権に替わって政権を奪取した。

そして、円は1ドル100円を超え、105円も越えた。

確かに円安は輸出では収益を上げ、円建て海外投資も価値が上がるだろう。もっと円安になっても良いと言う考えもあるだろうが、生産設備は海外に移転しているのだから、国内で作ってもそんなには伸びないだろうし、逆に輸入品の高騰で国内での物価高による悪循環も目に見えてきた。

IMF, G20からは財政再建が要求されながら国土強靱化などで公共事業費などのアップで予算要求で101兆円を越える。

成長戦略で企業が儲かれば賃上げなどで家計収入が増え、消費も伸び、税収増も期待出来る経済循環がうまく回るのか。

そのために為替は1ドルいくらが最適なのか。


2014年9月9日火曜日

「石破の乱」で、石破さんは総裁・総理の芽をつぶしたのか

石破前幹事長は、総理の専権事項である人事に関して「幹事長こだわり発言」で次期総裁・総理の芽をつぶしたのか、潰されたのか。今回の内閣改造、党人事は自民党のあくなき権力闘争を目の当たりに示した。

安倍総理、その側近と石破さんの情報戦はすさまじいものがあった。幹事長を諦め、安倍総理がごり押しする「地方創生担当相」で入閣した石破さんは情報番組で「次の総裁選には立候補しない」という意味の発言をしていた。

石破さんを総理に担いで「政権を握る」ことを企て石破グループは幹事長にこだわるか、無役になって自由に活動し次期総裁を目指すかの選択に迫られていたが、ほとんどのメデイアは入閣ならグループ解散の憂き目になると報じていたが、その通りになった。

安倍総理との会談前は、赤ら顔で対抗意識十分であった石破さんも、会談後何か吹っ切れたような顔になり「入閣」発言をした。

その変化の原因は何だったのか。メデイアのニュースを見てくると側近連中に「次ははあなたしかいないではないか」「総理がこけたら拾うにはあなたしかいない。ここは我慢」と説得されたという記事が目についた。

石破さんはその発言に態度を軟化させたのだろうが、政治での約束事を鵜呑みにする人は誰もいない。裏切り行為は例があるのだ。石破さんが信じたとは思えない。

会談前に石破さんが田原総一郎さんと対談した記事を週刊朝日で見た。そこには「石破の乱」「極悪非道」と言われていると石破さんが言及していたが、先の自民党総裁選での石原(当時)さんを思い出したのではないか。

当時、総裁の谷垣さんが総裁選に立候補する動きを見せていたが、幹事長の石原さんも立候補を狙い、「谷垣さんのために働いているわけではない」などの暴言を吐いていた。しかし、石原さんの行動を「平成の明智光秀」と揶揄され、自からの失言のあって総裁選に惨敗し、安倍総理に閑職の環境相に取り込まれ、今回の改造人事では石原派は完全に無視された。

石原さんにもう芽はないのだ。

石破さんも、この二の舞になるのを避けたかったのだろう。安倍さんの軍門に下った。

でも、安倍総理が「地方創生」「安保関連法制」を最重要課題としているという「地方再生相」に取り込まれることになったのだから、石原さんとは少し違う。

「アベノミクスを津々浦々まで」という訴えに乗れるのだから捨てたものではないが、場合によっては、「石破さん再登場」のチャンスはある。

ここは「だんまりが得策」とみたのだろうが、安倍政権の薄氷を踏む政権運営が続くのだ。

朝日新聞、毎日新聞の世論調査の結果、内閣支持率が45%とはいえ、読売新聞などでは64%と支持率をアップさせた。

でも、朝日新聞の世論調査を見ていると、内閣支持の有無の理由は「政策」の是々非々であり、「首相が安倍さんだから」はかなり低い率だ。

だから、一歩政策を間違うと一気に支持を失うことになりかねない。その一つが「アベノミクスの成果」だ。

大企業、富裕層を除いて多くの国民は「アベノミクスの効果」の恩恵にあずかっていないと判断している。消費税増税8%、円安による物価高で賃上げがあっても家計はマイナス成長なのだ。

しかも経済は更に悪くなりそうだ。4~6月期のGDP成長率が改定され、マイナス6.8%からマイナス7.1%になり、東日本大震災の後のマイナス6.9%よりも悪くなった。要因に企業の設備投資が悪かったようだ。

当初、東日本大震災後よりは「まだ良い」という意味でのマイナス6.8%だったが、うまく行かないものだ。

10月以降には消費税10%への判断が迫っている。8%でも経済が沈滞したのに10%ではどうなるか分からない。万一延期と言うことになると、国際社会で財政再建をかかげる以上、市場がどう動くか。

もう一つ、安倍総理の政治信条も問題になる。

バングラでッシュでの記者会見では非常任理事国入り問題で、「国連の改革にリーダーシップを発揮したい」とか、ZAKZAK(2014.9.5)とのインタビューで「日本が再び世界の中心に」という意味の発言をしていた。

いつぞやの世界大戦前の為政者の考えと似ていないだろうか。

危うい安倍総理にとって対抗できる政治家が必要だが、石破さんが脱落するとなると他に誰がいるか。

リベラルの谷垣さんか。自民党総裁になったが総理を経験していないのは議員を辞めた河野洋平さんと谷垣さんだ。同情論を買って出てこれるか。

兎に角、自民党は安倍さんの対抗馬を育てなければ自民党政権は危うくなる。












2014年9月7日日曜日

日本の国連・非常任理事国入りは、6000億円の価値があるのか

国連・非常任理事国入りは、6000億円の価値があるのか。そう感じる安倍総理の今回のバングラデッシュ訪問だった。早期の訪問要請を受け4日、内閣改造後バングラデッシュを訪問、物流インフラ、エネルギー供給、経済特区を含めた都市開発に協力、原子力発電所、石炭火力発電所建設で電力供給に協力するために6000億円を支援すると言う。

その代わりに、国連・非常任理事国でバングラデッシュは立候補を辞退し、日本を支持することで、日本の非常任理事国入りが濃厚になったのだ。

何やら6000億円で非常任理事国入りを買ったようなものだ。

7日の主要新聞は、朝日新聞DIGITALが「バングラデッシュ、国連非常任理事国辞退 日本支持へ」、東京新聞WEB版が「日本の理事国いり濃厚 安保理選バングラデッシュ辞退」、日本経済新聞電子版が「日本の理事国入り支持 バングラでッシュ首相「立候補辞退」、読売新聞が「非常任理事国 日本支持 バングラデッシュ」と一様に報道した。

安倍総理は「21世紀にふさわしい国連の姿に変えていくためにリーダーシップを発揮する」と意気込む(日本経済新聞電子版2014.9.7)。当然だろう。国連への拠出金が米国に次いで2番目に多い国が、発言力がないなんてあり得ないことだ。

でも、国連安全保障理事会は国際平和と安全の維持に主要な責任を負い、国連加盟国を拘束する決定をする唯一の機関と言うが、その役割を果たしているとは言えない。

一番の問題は、常任理事国であり拒否権を持つ中国、ロシアが自ら近隣諸国と領土問題等で紛争の当事国になっており、更に、以前のアメリカvs共産主義国の構図を維持していることで紛争を調停できる体制になっていない。

安倍総理が言うように改革が必要で、2案が提案されている。一つは理事国の拡大案で日本、ドイツ、インド、ブラジルが常任理事国入りを希望、二つ目は任期4年で再選可能な準常任理事国を創設しようという案だ。

韓国や中国が日本の常任理事国入りに反対している。

うまく行っていない理由に、隣国、近国が常任理事国になるとことによって自国の国際的影響力が相対的に低下したり、自国の安全保障にとって「潜在的脅威」になる事を恐れてのことらしい。
低開発国、途上国の加盟が多くなって先進国と途上国とで価値観の違いも出ている。

何のための国連なのか分からない。そんな国連の非常任理事国に入ることに意義があるのかと考えさせられる。


不安定で冴えない野党:政策、信条だけでは結集できない事情?

どうにも不安定で冴えない野党、「政策、信条」だけでは結集できず、「主導権争い」、「勢力挽回での数合わせ」、「生き残り」をかけた議員の行動判断があるのだろう。究極の目標が政権を握ることであるなら批判されている「数あわせの烏合の衆」になるが、根本的政策の違いでゴタゴタが絶えない。

大量得票で議席数拡大を狙うには知名度のある有名人と言うことになりテレビ出演のコメンターター、評論家、スポーツ選手等になるが「人寄せパンダ」の域を出ない。

民主党はうる覚えだが、菅さんが代表の時に反対意見を振り切って小沢さんの自由党と合流し「政権交代できる政党」を目指すことになった。自民党政治に飽き飽きしていた国民に「政権交代しませんか」と訴え、圧倒的多数の議席を確保し民主党が政権の座に着いた。

ところが寄せ集めの政党、小沢さんがいたことで主導権争いのゴタゴタが続いた。政権のトップに付く準備も出来ていない総理が続き、3.11大震災、福島第一原発事故もあってその対応に苦慮した。

菅政権、野田政権では党首討論で「何時辞めるのか」、「何時解散するのか」が主要テーマになり、主導権争いのゴタゴタで離党騒ぎにまでなった。

野田さんは、「決める政治」を緒に付けはじめ「後戻りするのか、前へ進むのか」と訴えたが有権者は民主党から離れていった。

民主党議員をはじめ「生き残り」をかけて、風が吹き始めた「維新の会」へ流れたが主要政策は大阪都構想、地方分権だ。支持団体なし、資金なしでも「維新の会」という看板で選挙に勝て、生き残れると判断したのだろう。逆に看板料を徴収される結果になったらしい。

大阪維新の会に都知事を辞め国政に転じ新党「太陽の党」を結党した石原さんが合流し「日本維新の会」を作ったが、主要政策、代表を誰にするか、本部をどこに置くかの主導権争いが勃発にごたごたが絶えず、ついに石原さんらが分党し離れていった。

分党した一方の「維新の会」は今「みんな党」を離党した「結いの党」と合流を目論んでいる。メデイアの報道によると、これも主導権争いでゴタゴタしたが共同代表にするらしい。本部をどこに置くかも課題になっているようだ。
民主党での主導権争いに敗れた小沢さんは「生活の党」を立ち上げ、滋賀県の嘉田知事とくんで新党を結成し衆院選を戦ったが惨敗、嘉田さんとは分かれて再び民主党など野党と合流話をしているようだが、主導権争いばかりしている小沢さんに以前のような求心力はない。

公明党も市川さん、小沢さんの一・一コンビと囃し立てられ一時政権で強力な関係を築いた。

今は、自民党を離れず政権与党としての立場を保っているが、安倍総理の強引な右より政策に抵抗を示している。自民党の政策に異議を唱えると「政権に留まるか」「政権を離れるか」と恫喝される有様だ。

政策論争も圧倒的多数の議席で押し切られてしまう。

保守とリベラルが混在する民主党では、党内意見がまとまらず党首討論、国会審議に迫力を欠き立ち位置まで曖昧になっては、国民の信頼は得られず、「風」など吹くはずがない。

離党者を出した「みんなの党」は、渡辺さんが代表の時は「責任野党」としての地位を築こうとしたが、巨額の政治資金問題で失脚した。

政策を「是々非々」で対応していくやり方は、一つの理想のようであるが少数党なら出来るかもしれないが多くの議員を抱える政党にあっては党議拘束で縛られることになる。

次に吹く「新しい風はどんな風」と言ってる間に、安倍政権には問題山積の課題が続く。
何時、失敗するかもしれない薄氷を踏む政権運営が続くのだ。


2014年9月6日土曜日

自民党・一強、安倍総理独走で民意?:不甲斐ない野党で民主政治はどうなる?

自民党・一強、安倍政権独走の影で、不甲斐ない野党では民主政治をどう進めるのか。今回の安倍内閣改造劇での「ポスト安倍潰し」、そして来年の総裁選まで独走体制を築いた安倍総理は、一方で「危うさ」をも見せつける結果になった。

支持率上げを狙っての自民党幹事長人事も若手登用のサプライズを狙ったが慎重論もあって思うように行かず、終わって見ればベテラン、政策マンを活用した予想外の実行・実現内閣になった。

改造後の支持率は毎日新聞などの47%を除いては60%を維持し安倍総理は余裕を持ってバングラデッシュ、スリランカへの外遊に旅立った。

国民が意外に改造内閣を支持したことに民主党は驚いた。

民主党も党・役員人事を含め挙党態勢を築かなければならない時期だが、若手が代表選前倒しで執行部刷新し出直しを要求するが海江田さんは頑として受け付けない。何をするにも保守vsリベラルで根本的に考えが違い、常にまとまりがない。

いまも、幹事長交代人事で迷走している。野党第一党の民主党が体たらくだから野党の不甲斐なさは目に余る。

分裂した日本維新の会も、これまた離党した「ゆいの党」と合流しようとしているが、代表が誰か、本部をどこに置くかで揉めている。維新の会と太陽の党が合流したときの二の舞を演じている。このままでは、恐らく合流など出来ないだろう。

根本的には、権力者である橋下さんが国会議員でないという点にある。大阪都構想も府民に理解されているのか。大阪市と大阪府がダブった行政をしているのを一元化しようとする方向性は良いと思うが、維新の会が国政政党であることに無理がないか。

公明党は、自民党との与党内でリベラルの立場で暴走する安倍総理にブレーキをかける立場で、集団的自衛権行使でも一定の役目を果たすように見えたが、「政権にいるか」「政権を出るか」の恫喝で敢えなく尻尾を巻いた。政権に居座り甘い汁を吸いたいがために「自民党の補完政党」に成り下がった。

みんなの党は、政治資金問題で渡辺さんが失脚して以来、党の発信力が弱くなった。「責任野党」なんていつまで言っていられるか。

生活の党、社民党は選挙の度に勢力を減らしていく運命でしかない。

党内のゴタゴタ、経済政策運営でデフレ、円高、株安から脱出出来ない民主党政権に自民党・安倍総裁はインフレターゲット、異次元の金融緩和を訴え、市場が円高から円安、株安から株高に転じ、先に衆院選では圧倒的多数の議席を獲得、再び政権を取り戻した。

当時の野田総理は「後戻りするか、前へ進むか」の選択だと訴えたが、説得力はなかったと言うか、比例制を併用した小選挙区制だから、政党の獲得票数が五分五分でも獲得議席数は圧倒的に自民党優位になったのだ。

今、政策課題の多様化も考慮し中選挙区への戻りを主張する議員も多いが、議員数も削減した中選挙区制にした方が良いのではないかと思う。

そうなると、容易に政権交代は出来ないだろうが、いまのような弊害はなくなるのではないか。

「政治を動かす力」は、「期待感」のようにおもえるが、野党の不甲斐なさには失望する。

野党は「どうやって国民の期待に応えるか」、分裂再編成しかないのであれば早く分裂し、政策で再編成し権力闘争はほどほどにすべきではないか。

国民が民意を表する機会がないので、今、国会周辺では規律あるデモ集会が毎週金曜日に開催されている。これを見た自民党が国会周辺のデモを規制する動きに出たが、すぐさま否定した。

おごれる自民党をコントロールするには、野党の復権が急がれる。


消費税増税10%へ:進退をかけた責任ある発言をしているのか

読売新聞 2014.9.6
閣僚、政治家、政府関係者の消費税増税10%への是非の発言が続くが、それぞれが進退をかけて責任を持った発言をしているのか。来年10月からの消費税10%に向け、閣僚、政府、日銀関係者の相次ぐ発言に何やら無責任さを感じるときもある。

安倍総理は最終決定権者だから「7~9月期のGDP成長率を見て」と慎重な発言に徹する。万一、間違った判断をして日本経済が混乱すれば、アベノミクスは元も子もない。支持率は下がり総理の座を退く結果にもなるから当然だろう。

メデイアは今回の改造内閣での主要閣僚の留任、自民党幹事長人事を見て、消費税10%への布石とみている。

しかし、消費税8%への移行で天候や災害の影響も否定できないが日本経済の個人消費は落ち込んでいる。日銀、政府は「反動も想定内」、「緩やかな回復基調」と強気の発言を繰り返すが、政策的発言のようにも思える。

何しろ4~6月期の成長率がマイナス6.8%だったことをどう読むかがポイントになるのだ。

選択肢は2つある。

10%へはすでに3党合意で決まっており、もし止めるとなると財政再建への政府の方針が揺らいでいると思われ、国際社会で日本がどう見られるか。市場が失望し日本売りにでも走ればその影響は計り知れない。ここは粛々と増税に向け進むべきだという説。

財務省の意向を受けて麻生財務大臣、甘利経済再生相、日銀の黒田総裁、谷垣幹事長等が積極的に増税発言をしている。谷垣さんは先の記者会見で「決まっていることとは言え、経済情勢を見極める必要はある」という意味の発言をしていた。

消費税10%への増税時、影響を最小限に抑えるために「手当が必要」とか、「日銀は更なる金融緩和をするのではないか」という人は、今に時点では危ないと思っているのではないか。

一方、今の経済状況を考えると、10%へは待った方が良いのではないかと言う説だ。今の経済は10%へ増税する状況になっていない。8%での影響も不確実なのだ。

経済ブレーンの浜田、本田さんは先送り説だ。浜田さんは8%の時も先送りか段階的増税を唱えていた。安倍さんはもっと多くの人の意見を聞こうと言って公聴会のようなものを開催した結果、8割が消費税8%に賛成で決断した。

経済財政諮問会議の民間委員も「消費税増税でも経済は成長する」と安倍さんをヨイショしているようだが、今度専門委員会、政策コメンテーター委員会を設置した。「万機公論に決すべし」というのだろう。

そして、8%の影響が明確にならぬままに、10%への決断が迫っている。

安倍さんは、「やったときの影響」、「やらなかったときの影響」をしっかり検討し、国民に説明すべきである。

そして、政府関係者、閣僚、政治家、日銀関係者は職をかけて責任のある発言をすべきである。

失敗しても知らんふりでは、甘利にも無責任すぎる。

2014年9月5日金曜日

安倍内閣改造後の内閣支持率:他社が60%台でも毎日だけ47%の怪

mainichi.jp 2014.9.5
5日、安倍改造内閣のメデイアの内閣支持率が発表になった。読売新聞(YOMIIURI ONLINE)が指示64%で前回より13%アップ、日経新聞は支持60%で前回より11%アップ、ところが何故か毎日新聞(mainichi.jp )だけが47%で8月の調査と変わらずという。

女性枠5人で過去最高、地方創生相の新設、そして重要閣僚の留任で、一見安定政権の様相を呈し、あべさんは実行・実現内閣と命名した。

しかし毎日新聞だけは47%で「指導力に期待」しているという割には評価が低いのはなぜか。

今回の内閣改造劇、党人事は安倍vs石破の駆け引き、情報戦で政界の醜いところをさらけ出す結果になったし、幹事長人事では若手を登用するサプライズをしかけたが、慎重論が強く安倍さんは断念した。

最後は「ガタガタしたが、ここは重厚感で」と谷垣さんの登場となった。自民党・幹事長の重さが維持できたことは良かったと思う。

メデイアは一様に安倍さんのポスト安倍潰し、囲い込みで来年秋の総裁選で再選され長期政権の足がかりを作ったと評しているが、安倍さんの1強体制への拘りはかえって危険を感じる。

ここは、毎日新聞の世論調査が正解のような気がするのだ。

[追記]
朝日新聞が8日、世論調査結果を発表した。
安倍内閣支持率は支持するが47%、支持しないが30%で、毎日新聞と同じだ。

支持する理由、支持しない理由は共に「政策の面」を挙げ、「首相が安倍さんだから」を上回っている。

支持しない人も安倍さんの経済政策に期待してのことかと思ったが、アベノミクスへの期待は「期待できる」「期待できない」ともに39%で同率だ。「賃金や雇用が増える事に結びつくか」という問いに53%が「そうは思わない」だ。

                                     (2014.9.8)