102円台を右往左往していた円が4日で4円安の106円66銭に、進む円安の最適価格は? 2008年10月以来の円安水準で、あれだけ円安を歓迎していたが、「急激な円安は問題」と財務相はコメントする。米国経済も回復し、量的緩和も今秋には終了、正常化に向け利上げの話も出ている。市場はドル買い円売りなのだ。
為替は、その国の経済の強さを反映すると教えられてきた。アベノミクスの効果も海外では薄れてきたとみられ、消費税増税の影響もあり個人消費は停滞、10%への増税は更に経済を悪化させ、経済成長率も2%どころではない。円安は当然の動きかもしれない。
ところで、最適と思われる価格はいくらか。昔は購買力平価で試算されていたが、円高の時には「110円なら万々歳」と言われていた。
しかし、今の円安でも輸出企業も儲けているが、逆に円安で海外の原材料などは高騰し、物価の上昇という好まざる結果も招いている。輸出産業は儲かると言っても過去の円高で生産設備は海外に移転しているので今後伸びるとは限られている。
円安で企業は収益を上げ、旺盛な設備投資、賃上げは家計収入も増え、消費が伸び、税収増も期待出来、好ましい経済循環を構築することを政府は目論んできたが、賃上げも十分ではなく、消費税増税、円安による物価上昇で家計収入はマイナス成長だ。
過去の政権での為替を見ると、小泉政権で1ドル116円、第1次安倍政権で119円、福田政権で108円、麻生政権で97円、民主党政権に移って鳩山政権で91円、菅政権で83円、野田政権では77円まで円高になった。
米国経済も不調で輸出を伸ばそうとオバマ政権はドル安政策をとる。欧州経済はギリシャに始まった財政危機で混乱した。
当然、円高なのだ。借金1000兆円、先進国一の対GDP比200%でも安全資産として買われた。
長く続くデフレ、円高対策として当時野党だった自民党やエコノミストは「マネタリーベースが問題で、市場に出回る通貨をもっと増やせ」という。円の通貨量が増えれば当然円は安くなると言う考えだ。先の衆院選では争点にもなった。
しかし、当時の野田政権も日銀に対してインフレターゲットの設定、更なる量的緩和を要求していたが、当時の白川総裁は「日銀は以前から量的緩和をやっている」し、「物価上昇も取り敢えず1%を目途にし、その上も考える」という意味の発言をしていたと思う。
確か参議院の予算委員会で川上議員(民主党)が「日銀に足を引っ張られているのか」と言う意味の質問をし、当時の安住財務相は「日銀は日銀としてしっかりやってもらっている」と言う意味の答弁し財務省も日銀を援護した格好になった。
当時の民主党政権、財務省、日銀は円高を認めていたのか。菅政権の時に「脱デフレ宣言」をしようと検討したが、諦めた経緯もある。
財政再建も重要な政治課題に上ってくる。財務省の意向を受けて菅総理は参院選で「消費税増税」を突然言い出した。「内容は自民党の10%を参考にする」と言ったのだ。与謝野さんを財務大臣に起用する荒手にも出たが、参院選は惨敗に終わった。
続く野田政権も消費税増税路線をとり、3党合意にこじつけた。消費税増税は財政再建への取り組みとして海外で認められていたのだろうか。
替わって自民党・安倍総裁(当時)が、インフレターゲット、異次元の金融緩和を訴え、日銀総裁を更迭すると市場は一気に円高→円安、株安→株高に変わった。
衆院選で圧勝した自民党は民主党政権に替わって政権を奪取した。
そして、円は1ドル100円を超え、105円も越えた。
確かに円安は輸出では収益を上げ、円建て海外投資も価値が上がるだろう。もっと円安になっても良いと言う考えもあるだろうが、生産設備は海外に移転しているのだから、国内で作ってもそんなには伸びないだろうし、逆に輸入品の高騰で国内での物価高による悪循環も目に見えてきた。
IMF, G20からは財政再建が要求されながら国土強靱化などで公共事業費などのアップで予算要求で101兆円を越える。
成長戦略で企業が儲かれば賃上げなどで家計収入が増え、消費も伸び、税収増も期待出来る経済循環がうまく回るのか。
そのために為替は1ドルいくらが最適なのか。
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