地方創生で出てくるか、「異次元の政策」。アベノミクスが日本の隅々まで恩恵を受けていないと言うことで、「アベノミクスを津々浦々まで」の政策の一つとして安倍総理肝いりで「地方創生」が内閣改造の目玉の一つとなり、「まち、ひと、しごと創生本部」が立ち上がった。
石破さんが地方創生相についたときの初記者会見で官僚の作成したペーパーを棒読みしていた姿を見て策があって引き受けたわけでないことは分かった。
本部も立ち上げ、初会合したというので報道でどういう内容なのか当たって見た。
5〇年後に1億人の人口を維持する長期ビジョンと5カ年計画を作成、歳出、税制、地方交付税、社会保障制度などの改革で「異次元の政策」を掲げるらしいが、アベノミクス「第一の矢」異次元の金融政策とダブって見える。
識者はバラマキを警戒する。そうだろう。直ぐ思いつくのは公共事業のバラマキだからだ。しかし今回はそうならないように知恵をだすというのだ。
情報番組では、竹下内閣時の「ふるさと創生」政策を取り上げ、自治体に1億円配るので自由に使えという趣旨は斬新だったが、如何にせんそんなに良いアイデイアはなかったようだ。それでも2000億円かかったらしい。
もう原発建設のようなことはないだろう。福島第一原発建設では賛成、反対で揉めたらしいが賛成派は「泥田にツルが舞い降りた」と表現した。福島第一原発の立地するところは地滑り、津波で形成された地形で、幾多の小河川が混じり合った沼地、田んぼであったらしい。
村は人口も少なく、これと言った仕事はないので寂れていく運命にあったが、村の再生には打って付けの原発建設だったのだろう。莫大な交付金は財政を潤し、働き場所が出来たために周辺は栄えたのだろう。でも、一旦取り返しの付かない事故が起きると村を捨てなくてはいけない事態になってくる。
テレビの情報番組では、過疎の町が優遇策で若者を取り入れようとしている。若者も山林で働くことに意義を感じ、子どもの成長にも良いと言うことで成功例を紹介している。
しかし多くは、高齢化、若い女性がいなくなり人口減で消滅する運命にある自治体、これと言った産業のない農村、山村、漁村、そして巨大化する自然災害で地域は疲弊するばかりだ。
従来から政策は大企業、富裕層向けと言われていたようにアベノミクスも同様で、地方に多い小企業、低所得者向けの政策ではない。
私も岡山の田舎に帰ると村、町の変化に驚く。
子どもの頃作っていた田んぼも利便の良い場所は他人に売ったそうだが、どうしようもない田んぼ、畑は草ぼうぼうで山と区別が付かなくなっている。
分教場は当然廃校になりスクールバスで町の本校に通っている。中学、高校も自転車通学か。確かに国道は良くなっている。中国自動車道と山陽自動車道を結ぶ幹線道路のようだ。
個人商店も店じまいしたので一人暮らしの高齢者はタクシーで町のスーパーに買い物だ。野菜類は近くの畑で取れる。東京でも移動販売車を見かけ高齢者が利用しているが、飛び飛びに家があるような地域では成り立たない。
病院は車がないと不便で、高齢者はバスかタクシーで市の病院へ通っている。個人医院へいくのも同じだ。高齢者になると難しい病気にもなるので田舎暮らしは不便だ。
そういう村の姿を見ていると、地方創生も簡単にはいかないと思う。
だいたい、地方と言ってもどの程度の規模を想定しているのか。村か、町か、市単位なのか。
平成の大合併で市町村は規模が大きくなり、役場、支所の統廃合で行政区域が大きくなり昔のように行き届いた行政サービスが出来ない。特に災害時はそれが目立つのだ。一人暮らしの高齢者をどうするか、災害情報の伝達をどうするか。
生活に欠かせないバスなどの公共交通機関の撤退も相次いでいる。規模の小さいバス会社は経営に四苦八苦している。市の中心街でも陸の孤島化するのだ。幸いに大手バス会社が路線を確保することになった。新しく路線を申請するのは時間がかかるが、買収では容易らしい。
そういう実体を霞ヶ関にいて中央官庁がどの程度知っているかだ。
まず、地域再生事業での成功例を洗い出せという。そこに地方創生のヒントがあると言う。
安倍総理も「若い人が安心して働き、将来に希望が持てる地域を作ることは人口減を克服する道筋で、積極的に現場に出向き地域の意欲溢れる取り組みを把握して欲しい」という(msn2014.9.12)。
「まち、ひと、しごと創生本部」は3省からの出向者で構成するらしい。全閣僚がメンバーだとも言う。想像出来ることは主導権争い、利権の確保競争だ。
こんな組織でうまく行った試しはない。昔から地方創生の必要性は叫ばれてきたが、平成の大合併のように後ろ向きの政策でしかなかった。
ここは中央官庁に任せず、地方自身がビジョンを掲げ、挑戦することしかないのではないか。押しつけられた政策は長続きしない。
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