2014年9月21日日曜日

気まぐれな市場も1ドル118円、株価18000円まで行くのか

市場は気分で動くと思える行動を取るが、取り敢えずは為替で118円、株価も18000円までは許容できるのか。18日FRBのイエレン議長が記者会見で雇用の回復が弱く、利上げの時期も慎重に判断していくと言うと、1ドル108円64銭、NY株価も16067.57ドルになった。

為替では「利上げが早まる」とみて円売りドル高、株価は「利上げが当面ない」とみての動きだ。同じ発言でも為替と株価は異なった判断を示す。

そして、スコットランドの英残留が決まると「良かった」という安堵感から1ドル109.10~11円でドル高、NY株も17350.64ドルに伸びた。

黒田総裁は、この円安の動きに「個人的には大きな問題があるとは思えない」と記者団に語ったという(読売新聞2014.9.20)。円安を容認している姿勢だ。

円安は我が国にとっては輸出を押し上げる効果があり、今の景気を反動減などが長引いて「一部に弱さが見られるが緩やかな回復基調」が続いているという。政府、日銀は「緩やかな回復基調」という判断を下げたくないのだ。

円安は輸出企業にメリットがあるというのは分からなくもないが、すでに企業は海外生産のため設備は海外に移転済みだ。円安になる度にメリットを期待するのも限界がある。何時までも期待は出来ないのだ。

一方で海外から企業を呼び込むためにも法人税下げなどが叫ばれているが、規制緩和、構造改革などやらなければならないことが多すぎる。

かえって、円安による輸入品の値上がりで食料品などの高騰が続き、賃金が伸びないのに物価だけ高くなるスタフグレーションの傾向が出てくる。

円安は大企業には歓迎でも中小企業にとってはかえって不利で経営に負担が大きい。日本商工会議所などは急激な円安に警戒している。

一体許容出来る円安はどのくらいなのか。

リマン・ショックまでは118円とか120円というレベルもあったが、リーマン・ショック後は大きく円高になった。財政状況だけでは考えられず海外投資家が円を安全通貨とみてのことだろう。それだけ海外の経済状況は悪かったのだ。

国内では市場に流れる通貨量が少ないために円高になるのだから通貨量を増やせば円安になるという考えがあったが、時の日銀は緩やか量的緩和を継続したため安倍政権が異次元の金融政策を訴えるまでは70円台の円高が続いた。

リーマン・ショック前の円安局面の時、経済界はどうだったか思い出せないが円高になれば円高で、円安になれば円安で問題があるのだ。

円高では海外で競争できないために製造業は関連会社も引き連れて生産設備を海外に移転し円高に対応した。

それが一転円安になると海外の生産設備を国内に戻すことが出来ず、円安のメリットを生かし切れない状況だ。

そして、一度円安局面になると欧州や米国の政治、経済状況での「期待感」、「安心感」で円安が進み、経済危機、地政学的リスクでも発生しない限り円高にはもどらない。

これからどうなるのか。

米国は雇用に不満が残るものの景気回復は期待出来そうだ。非伝統的金融政策である量的緩和も今秋には終了し、ゼロ金利はしばらく継続するも金融正常化に向け利上げのタイミングに注目だ。

ドル独歩高だから円安が進むだろう。

我が国は、消費税増税で個人消費が落ち込んでいる。2%の物価上昇も政府、日銀と民間エコノミストでは見解が大違いだ。更に消費税10%へ決断が出来るかどうかは財政再建と絡めて国際市場がどう判断するか。

株高が歓迎されているが、東京市場の70%は海外投資家だ。ギリギリまで株価を上げて売り逃げされることもある。株価の値下がりを年金基金の株投資で回避しようとでも言うのだろうか。

欧州は、デフレの危険もあり構造改革と共に財政出動の必要性がG20で確認された。量的緩和も以前話題になっていたし、地政学的リスクも拭いきれない。

中国の経済もバブルの危険をはらんでいるし、先進国からの投資も減少しているようだ。韓国も明るいニュースはない。

市場が「不安」と感じれば時々は円高に動くも基調は円安なのだろう。今の円安は日銀の異次元の金融政策よりも欧州、米国経済に影響されることが大きいのではないか。


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