2015年12月17日木曜日

民意にそむく安倍政権の政権運営での前方不注意

これまで民意、反対意見を排し、自民党を見下し民意とかい離し推し進める安倍官邸の政策、政治手法は前方不注意で何かにつまずく危険が大きい。ところで誰がこれまで安倍総理が権力を握ることを予想できたか。大方の見方は体調を崩して政権放り出しだった。しかし、異次元の金融緩和が一応の成功(?)を収めたかに見えた錯覚で支持を拡大してきた。繰り出す衆院選で議席を伸ばし、外交では対中国、対韓国などへの強い姿勢も評価されたのだ。

安倍政権はどこから民意をくみ取っているのか。自民党は世論調査でも他の党が5~8%の支持率に対して37%という圧倒的な支持を受けている。それは自民党の地方組織をがっちり握っている地方の自民党員、自民党支持者の力に負うところが大きい。

その自民党と言う組織を蔑にしての政策、政権運営は避けなければならないが安倍官邸は独善政治で耳さわりのよいYESマンの言うことを聞き入れ、反対意見を封じる傾向がある。誰も意見を言えないのだ。

総裁選がそのことをよく表していた。対抗馬を徹底的に潰した。恐喝もあったろうしカネのばらまきもあっただろう。総裁選になって街頭演説で安保関連法などを批判されることを極端に嫌ったはずだ。街頭演説で集まった聴衆は反自民で、「安倍政権打倒」「憲法を守れ」「戦争をさせない」などシュプレヒコールされると立ち往生することぐらいわかっている。

自民党議員のテレビ出演、街頭演説も禁止した。政権と違った考えを主張されると党内に反対分子もいると見られるからだろう。

それでも野田さんは推薦人20人を集めるために奔走したという。最終的には出馬を断念したが逆に、自民党のだらしなさをあらわにした。

そして、国会審議をせずに官邸と公明で線引きしてしまった軽減税率も自民党との違いを浮き彫りにした。

自民党は税調とともに財政再建、社会保障の制度維持のため軽減税率は生鮮食料に限り4000億円の減収を他の財源で補っていたが、公明党は創価学会の突き上げで加工食品まで対象品目の拡大を要求、嫌がる自民に代わって官邸が了承したという。そのため更に6000億円の減収を補う必要が出てきたが、安定財源は今後1年をかけて検討すると言うお粗末さだ。

その裏にはどうしても参議院の議席を増やし憲法改正に向け発議できる議席がほしいのだ。選挙協力の約束に6000億円を使ったことになる。

国民の何人が了承できることか。

各政権が約束し、国際的にも公約している2020年までにPB黒字化にも暗雲がかかった感じだが、2020年まで安倍政権は存在しないことを考えるとPB黒字化の公約も反故にするつもりか。

来年夏の参院選は野党が体制を整えられないうちの選挙で野党を叩くつもりかもしれない。そして2/3の議席を確保し憲法改正に進む。どんな憲法か内容は分からないが自民党の草案をベースにしているのか。

おおさか維新の会の橋下さんも憲法改正を謳っている。橋下さんの発信力を利用したいのだろうか、自民党大阪府連をそっちのけでずエールを送り続けた。

そんな橋下さんだから中央の政界に出てきても自民党とはうまくいかないのではないか。安倍さんだって何時までやっているのか分からない。逆に口は災いのもとで火種になる可能性も大きい。

野党を叩きのめそうとする政権は危険だ。バランスの取れた関係で政策を戦わせることが必要ではないか。

さらにアベノミクスによる日本経済再生も怪しくなってきた。

2年で、2%経済成長、物価安定目標2%の達成も怪しい。政府は2016年にGDP成長率名目3.1%、実質2%を掲げるようだが2015年は1%前後だ。2%の物価安定目標達成も日銀は2016年後半に先送りした。

安倍総理が掲げ、日銀総裁を更迭してまで異次元の金融緩和で質的、量的金融緩和策をとっているが、一向に効果がない。おまけにFRBは0.25~0.5%の利上げをすることを決定した。市場は織り込み済みと言うが株式市場は急騰した。

世界に「バイ・マイ・アベノミクス」と言い放ったが、皆腹の中では笑っている。
日刊ゲンダイ電子版によると民主党の議員が民主党政権時と安倍政権でのGDPの伸びの情報公開を求めた結果、民主党政権時は5.7%、安倍政権では2.5%でまるっきり民主党政権に劣っているのだ。次の通常国会で質疑されるだろう。アベノミクスは何だったのか。

安倍総理のブレーンも落ちたものだ。今後は反対意見も聞き政策の修正をする必要があるのではないか。

思いだしてみよう。

民主党政権では官低党高だった。鳩山政権がもたついているので民主党幹事長だった小沢さんが関係者を連れて官邸に乗り込み「これが民意だ」と鳩山政権に付きつけ党の存在感を高めた(否、小沢さんの存在か)。

今の自民党を見ると谷垣さん、二階さんはどうしたのか。中国に行って関係改善を目指しているが中国の姿勢は変わらない。小泉さんが正論を吐いているのが目立つ程度ではないか。

どう考えても安倍官邸の政権運営での前方不注意による政策の混乱が予想されるのだ。1億総活躍社会を目指すのは良いが安倍さんにだけは頑張って欲しくない。


2015年12月16日水曜日

官高党低の安倍一強の政権で民意はどこに

安倍一強で官高党低の政治が続くが、自民党で民意はどこに行ったのか。こう言う時代はリベラル系より右派や極端な政策を主張する政治家が好まれる(?)のだろうか。安倍総理もそんな一人か。

米国の大統領のように国民の直接選挙で選ぶのであれば分かるが、議院内閣制にあって官邸が突出し自民党が地盤沈下している官高党低では民意を反映する政治からかけ離れる危険がある。

地方の自民党関係者が「地方は変わっていないのに中央は変わった」と安保関連法審議の時に言っていたのを思い出す。アベノミクスの成果も未だ見えず公約で下位にあった安保関連法が一躍トップに掲げられ国会審議が混乱したときの話だ。

そういう政局運営が目立つ。

安保関連法審議では、11本の法律案を1本に纏めて審議する荒技にで、衆院予算委員会の強行裁決後に浜田委員長が「11本の法律を1本にまとめることはいかがなものか」と安倍政権を批判したほどだ。

そして自民党内での意見の違いをあからさまにしないために、自民党議員のメデイアへの出演、インタビューを禁止する処置に出た。テレビ番組の常連の議員の顔が消えた。

情報番組のコメンテーターの発言もチェックし番組に圧力をかける。「公平中立な番組作り」も要求する始末だ。先の衆院選でのアベノミクス批判には相当頭にきていたようだ。

そして、国連の「表現の自由」調査にドタキャンし、安倍政権の異様さを世界に暴露した。

消費税10%時の軽減税率では通常国会まで国会審議を先送りしながら公明党と線引きを決めてしまった。財政健全化、社会保障費への充当を目標に自民党税調は軽減税率の対象品目を生鮮食料に限ったが、創価学会の批判で公明党は食品加工まで広げることを提案、官邸に飲み込ませた。安倍官邸と公明党で自民党を負かしたのだ。自民党の意見も聞かないなんて民意を無視したやり方だ。

おまけに先の自民党総裁選では対抗馬潰しを徹底した。安倍政権にとっては無投票再選を求めたのだろうが対抗馬とみられた野田さんは最後まで推薦人の確保に奔走したが、官邸側の妨害圧力は激しかったようだ。最終的に野田さんは諦めたが記者会見には尾辻さんも同席、結構なところまで推薦人が集まったと言うことは自民党内に反安倍の動きがある事を示した。

それがはっきり示されることを安倍政権はいやがったのだ。

横暴な反立憲、違憲行為は目に余るが、自民党には是正の動きはない。逆に憲法学者、弁護士、学生団体のシールズが立ち上がり反立憲、違憲で落選運動などを展開するらしい。その批判を浴びるのが来年夏の参院選だ。「アベ政治を許さない」は流行語大賞になったし一般家庭でも張り出されていた。

そもそも安倍さんはどうして自民党総裁総理に駆け上がったのか。誰が支持しているのか。

政権交代前の自民党総裁選には石破さん、安倍さん、町村さんなどが出た。同じ派閥だから安倍さんを降路層とする動きもあったが、安倍さんは断った。1回目の投票では人気NO
1の石破さんが地方票を集めてトップに出たが、決選投票で安倍さんが勝った。国会議員の選挙で優位に立ったのだ。いろんな要因があったのだろうが見事に返り咲いたことになる。

そして掲げた異次元の量的緩和は市場の好感を産み円高→円安、株安→株高へ転換、確固たる地位を築いたかに見えた。ところが傲慢な政局運営は失策もあって支持を落としていった。

一度下落傾向にあった内閣支持率も最近では50%近くに戻した。メデイアの世論調査でも自民党支持率は37%で他の党を圧倒的に引き離している。内閣を支持する理由も「総理が安倍さんだから」ではなく、「政策に期待出来る」「他の政権よりまし」と言うのが多い。安倍さんでなければ今のような政策も出てこないと思うが、中国、韓国に毅然たる姿勢を示す安倍さんを評価してのことか。

次のステップは参院選に勝ち、憲法改正を視野に入れることらしい。憲法改正は自民党の党是でもあり安倍さんのライフワークだ。でもどんな憲法になるのか分からないのに」憲法改正、憲法改正・・・」では判断に困る。自民党の憲法草案をベースに考えると言っても国民の義務ばかり羅列したあんな草案で良いのか。


選挙の争点をぼかされ人気取りの政策を掲げられては騙される。ブレーキを締める意味からも参院選をボロ勝ちさせないようすることだ。

2015年12月15日火曜日

新国立競技場 2案公表:また森さんが「こっちがいい」と失言、前回もそうだったのか

新国立競技場2案
日本経済新聞 2015.12.15
日本スポーツ振興センターが新国立競技場の2件の建設計画を公表したが、また、組織委員会会長の森さんが「私はB案がいいと思う」と余計なことを喋ってしまった。前回もザハ案を「これがいい」と言って周りのYESマンが森さんの意向に答えたのではないかと言う疑いが濃厚になった。

森さんに評価を求める方も問題だが安直に喋ってしまう森さんも軽率だ。文部科学相もそのことを聞いて驚いていた。

これから7人の委員が審査し、結果をもとにJSCの理事長が選び関係閣僚会議を経て最終決定すると言う。

A案は大成建設と隈研吾さん、B案が竹中工務店と伊東豊雄さんらのチームで両建築家も世界的に名の知れた建築家、ゼネコンも先のザハ案で建築を検討したので建設予定地のことはよくしっているはずだ。

だが、B案に決まったら国民への説明が苦しくなる。B案側にとっては迷惑な話だ。

でも、どちらの案もコンセプトは「杜のスタジアム」と言い環境に溶け込む工夫がされているがが、一番大事なことは競技場内で競技するアスリート達が落ち着いて競技できる雰囲気だ。競技者を圧倒するような競技場は本来間違っている。


安定財源不足:「言うだけ政策」の口実になっていないか

安倍政権は選挙も控えて人気取りの政策を発表するが、安定財源の不足が「言うだけ政策」の口実になっていないか。通常国会では政策を実行するための安定財源確保にしっかり質疑の的を絞るべきだ。そしてP→D→C→Aで政策の実効性を保障すべきではないか。

安倍政権に限らず、どの政権でも選挙を控えると大風呂敷を広げ国民の支持を拡大しようとするが、選挙が選れば上の空、財源不足で逃げ腰になる。

今、アベノミクスの成果(?)とばかりは言えないが、法人税、所得税増もあって税収は2009年38.7兆円だったのが、2012年には43.9兆円、2015年は56.4兆円にもなり安倍政権になってから12兆円増加したことになる。

これに気を良くしたわけではないだろうが、経済財政諮問会議でも民間議員が人口減、少子化対策で政策が提言しているが財源はアベノミクスの成果を使えという。でも麻生財務相は「アベノミクスの成果は中長期計画で織り込み済みだから新たな財源を見つける必要がある」という。

しかし、財源が減ることばかりが目立つ。

消費税10%時の軽減税率の対象品目が公明党のごり押しで税収減は1兆円になり新たに6000億円の財源が必要になったし、社会保障制度の維持にも危険信号が灯っている。年金も株投資で8兆円も損したという。

安倍総理は当初、軽減税率について「財政健全化との関係で考える」と言っていたが、自民党の財政健全化よりも、選挙を控えて公明党の主張を取り入れた。財政再建派の自民党谷垣さんも折れたことになるが、財源は今後1年間かけて党の税調で考えると言うことになったらしい。公明党は主張が取り入れられたので満足だろう。

また、麻生財務相は当初補正予算を組む考えのないことを話していたが、15年度補正予算も3.3兆円になりそのうち1億総活躍に1,2兆円を予定している。介護離職ゼロ、人材確保に1400億円、低所得者に1人当たり3万円給付で3400億円、保育所関連整備に1300億円などが含まれている。加藤担当相も記者会見で1億総活躍社会の成否について質問され「安定財源次第」と応えていた。政策のまとめが来年の異は出るだろうが安定財源次第では心許ない。安倍総理の強い引きに期待しているようだが「ないものはない」のだ。
15年度は、財源は税収増、14年度の剰余金2.2兆円をあて国債発行額は36兆4000円ぐらいになるらしい。

2020年までにPBを黒字にするということを各政権は約束している。要は政策経費が税収、税外収入の総額でどれだけまかなえるかと言うこと。今、国、地方の借金は1035兆円だから借金は増えている。だから税収を増やしながら歳出を削減していくことだ。
内閣府が試算したところでは実質成長率2%越えが続いても9.4兆円の赤字になる。

ところでPBは、平成27年度は約16.4兆円の赤字見通しだが32年度には黒字化の目標だ。どういう計算をするのか分からないが黒字化は国際公約だ。達成出来なければ国債下落、長期金利上昇、日銀を始め金融機関が経営不安になれば市場は混乱することになる。

2020年に政権の座に着いているのは誰か分からないが安倍総理でないことは確かだろう。だから無責任にも人気取りの「言うだけ政策」を打ち上げ、財源不足を口実にすることも出来る。政治がこの調子だから困るのは財務省だ。財務省の息のかかった政権を立てなければ本当にやばくなる。

野党も野党で、国会審議で政策を提案しても政権から「安定財源は?」と問い詰められれば尻込みするしかない。

公的サービスを民間のサービスに切り替えることを経済財政諮問会議は提案しているが、事業として成り立たなければ民間だってのっては来ない。無理すればサービスの質を落とすことにもなり、そのツケは国民が被る。

借金王国に安定財源などあるはずがない。

2015年12月14日月曜日

女子フィギュアGPファイナル:ニュース性は2位の宮原さんか、最下位の浅田さんか

女子フィギュアGPは大番狂わせ(?)で、初出場の宮原知子さんが2位、7度目の出場で期待されたベテランの浅田真央さんが最下位の6位の結果に終わった。ニュース性は最下位の浅田さんにあったのか、2位の宮原さんより浅田さんの取り扱いの方が多かった。

しかし、こう言う場合は一時は200点を超えトップに立ったが最終的には日本人トップの宮原さんを注目すべきではなかったのか。それが勝者への礼儀だと思う。宮原さんにしてみれば勝ってもこの程度の取り扱いかと今後のやる気にも影響する。

一方、浅田さんは一手に女子フィギュア界の期待を背負って再登場になった。フィギュア界では浅田さんに選手生活を続けさせることで利権をむさぼる人達がいるはずだが、今回体調を崩したとはいえ成績が振るわなかったことは今後のことを考えるチャンスではないか。

これからも大会が続くようだが、次も思うような成績があげられなかったら引退も考えるべきではないか。大会後のインタビューでは「う・・・・・・」というフレーズが多すぎた。

今後は、宮原さんのような新人に注目すべきで、そう言う意味でも多くの紙面を割き評価すべきではないかと思う。15日の朝刊に注目したいが、羽生さんに奪われそうだ。


2015年12月13日日曜日

梶田先生 ノーベル物理学賞受賞:脇道の研究から理論を覆したニュートリノ振動

ノーベル物理学賞を受賞した梶田先生は、なんと脇道の研究から理論を覆したことに驚く。読売新聞(2015.12.11)の「妥協なき探求 結実」によると梶田先生は陽子崩壊現象を観測するときに大気ニュートリノが邪魔になるので2つの現象を区別するために大気ニュートリノの研究を始めたのがきっかけで「ニュートリノに質量がある」という、従来の理論を覆す研究結果を報告したのだ。

その脇道の研究でノーベル賞を受賞したのだから運が良い。12日のNHK「祝2人のノーベル賞 受賞への道のり」で梶田先生の研究過程を知ることが出来た。

先にノーベル賞を受賞された小柴先生からは「自分の仕事を持て」、「研究費は国民の血税」と言うことを教え込まれたようだ。

新しい分野の研究はどんなことが起きるか分からない。誰も経験していないのだから全て自分でやらなければならない。当然に関連するとは言え本筋と離れたテーマにも取り組む必要があるのだ。

梶田先生は、ニュートリノは3種類あるがミュー型の検出数が理論値より少ないことに気がついた。長い距離を飛んでいる過程で他の型に変わるのだ。それは「質量がある」ことになり従来の理論を覆す可能性があるのだ。

発表するにも細心の注意が必要だ。発表後、間違ったことがわかればカミオカンデの研究が信頼を失うことになる。梶田先生は「間違っていないか」とあらゆる方向で検証したが間違ってはいないことが分かった。

その時、小柴さんが「面白いじゃないか」「ニュートリノ振動」と背中を押してくれ研究発表に漕ぎ着けたが世界の物理学者は半信半疑だったようだ。当然だろう、標準理論を否定することになるのだから。

そして更なる研究のためにスーパーカミオカンデの建設が始まった。100億円の研究費だと言うが国民の血税だ。この建設には「ノーベル賞に近い男」として常に名前が挙がっていた戸塚先生の存在が大きかった。

小柴先生、戸塚先生(受賞することなく他界)という偉大な先輩科学者に恵まれたこともノーベル賞受賞に大きく貢献しているのだ。戸塚先生の話になると梶田先生の目が潤んでいた。

梶田先生もまさか神岡の地下トンネルの中での研究は予想していなかったようだ。地上での研究と較べると効率が悪いと苦笑いした。来年、神岡で研究すると言う若き出演者の質問に答えてのことだ。

でも、付け加えてKAGRAで重力波の観測が始まるので良い機会に参加出来るのではないかと激励した。

一体何に役立つのか。凡人の質問だ。

答えは「天文学」だという。


2015年12月12日土曜日

軽減税率、COP21:合意に向け無理を通せば道理が引っ込むことに

今の話題は国内では軽減税率、世界的にはCOP21の協議だが難航しているようで意識の共有は出来ても無理を通せば道理が引っ込むことになり、本来あるべき政策が追いやられる。いつもの事ながらテレビでは担当者の苦渋の顔が映し出されるが合意不成立になったことはなく、その期間合意できなくても後日の協議継続になる。

消費税10%時の軽減税率で自民党案に対し公明党の粘りがすごい。創価学会の意向も強いようで自民党案の生鮮食料に対して、加工食品も含めた食料全体を要求、ここに来て突如外食も対象に上がってきた。対象品目の拡大を潰すために財務省が主張したようだ。

問題は税収減で新たな財源の確保が必要になるために自民党が苦慮している。確か、消費税増税2%で税収は2.6兆円増と言われていたと思うが、生鮮食料までだと減収は3400億円で財源の確保が出来ていたが、公明党が主張する加工品まで入れると1兆円になり、新たに6000億円の財源の確保が必要になる。

麻生財務相は記者会見で不機嫌な顔で「安定財源を確保できなければどうするんだ」という。それに外食が入ると1.3兆円になり途方もない金額になる。

財政再建、社会保障費への充当目当てだった消費税10%も軽減税率の対象食品拡大で税収減になり、おまけに新たな財源が必要になる。

更には低所得者対策の意味合いがあったが高所得者に恩恵が大きいとは驚く。だから消費者の声も「生活必需品ではなく贅沢品にかけろ」という。

ところが、安倍政権が公明党案に傾いた背景に参院選や沖縄の市長選への選挙協力にあるようだ。議席数の少ない参院で憲法改正の発議が出来る2/3議席を狙い、憲法改正へ一歩近づけたい意向が大きいらしい。

先の安保関連法案の国会審議では公明党の抵抗に「政教分離」問題を匂わせて腰砕けにした例があるが、今回は自民党も公明党を押さえ切れていない。

やっぱり頭には選挙があるのだ。これがために財政健全化、社会保障制度維持が困難を帰す本末転倒になっている。

一方、クルーグマン教授も12月の世界的出来事の大きい問題としてCOP21をあげているのは当然としても先進国vs途上国の思惑の違いもあって合意が難航している。フランス政府は議長国でもあってメンツにかけても合意に持って行きたいところだろうがカネ、カネ、カネだ。

途上国はカネを出せと言うし先進国は削減の義務化を敬遠する。

それでも、パリ協定は気温の上昇抑制レベルを2℃を下回り1.5℃に向って努力、今世紀後半温室ガス排出を「実質ゼロ」にする。削減目標の達成義務は見送る、被害の軽減、2020年までに途上国に年1000億ドル支援しそれ以降は積みます、温暖化対策の進捗状況を5年ごとに点検すると言う内容が議長案らしい。

各国が削減目標を掲げ5年ごとに検証するも削減義務はなく、提出された削減目標を全部足しても目標の気温上昇を抑えることは不可能という。

数字があって確からしいのが2020年まで途上国へ年1000億ドル支援することぐらいだが、まだ620億ドルしか達成出来ず、おまけに会計が不明朗らしい。途上国は約束を守れという。

新聞を見て驚いたことに、北朝鮮も削減計画を出し資金援助を訴えたという。北朝鮮が削減しなければならないほど排出しているのか。 

200カ国に近い国が参加しているようだが、本当に削減に影響が出る排出国に限って温暖化対策をやっていくべきではないか。日本だって一生懸命取り組んでいるが排出量は全体の5%だ。

ある学識者が「排出量5位の日本が30%削減して地球上の気温が何度下がるのか」と計算したことがあるが、微々たるもので思い出せない。だから削減と言っても説得力が無いのだ。

そもそもCO2人為説に立ったとしてどういうデータ入力で気温上昇の結果を出しているのか。

何のための地球温暖化対策か。途上国の経済支援になりかねない。排出量第1位の中国は途上国に入り「発展途上の大国」という立場を堅持している。インドと共に新興国にしてそれ相当の責任を果たさせようと言う考えもあるようだが、アメリカと二大国構想を持っているようだがこう言ったことには発展途上国を主張する勝手さが目立つ。
結局は成果なく途上国に経済支援することで終わり、気温は上昇、下降を繰り返しながら地球は寒冷化に向かうと言うことになりかねない。CO2人為説に立つ人は長期的には温暖化している事に変わりはないという。

政治が介入することで政策が変質することだけは避けなければならないし、軽減税率も財政再建、社会保障制度の維持であり、弱者救済である事を忘れてはならない。