安倍政権は選挙も控えて人気取りの政策を発表するが、安定財源の不足が「言うだけ政策」の口実になっていないか。通常国会では政策を実行するための安定財源確保にしっかり質疑の的を絞るべきだ。そしてP→D→C→Aで政策の実効性を保障すべきではないか。
安倍政権に限らず、どの政権でも選挙を控えると大風呂敷を広げ国民の支持を拡大しようとするが、選挙が選れば上の空、財源不足で逃げ腰になる。
今、アベノミクスの成果(?)とばかりは言えないが、法人税、所得税増もあって税収は2009年38.7兆円だったのが、2012年には43.9兆円、2015年は56.4兆円にもなり安倍政権になってから12兆円増加したことになる。
これに気を良くしたわけではないだろうが、経済財政諮問会議でも民間議員が人口減、少子化対策で政策が提言しているが財源はアベノミクスの成果を使えという。でも麻生財務相は「アベノミクスの成果は中長期計画で織り込み済みだから新たな財源を見つける必要がある」という。
しかし、財源が減ることばかりが目立つ。
消費税10%時の軽減税率の対象品目が公明党のごり押しで税収減は1兆円になり新たに6000億円の財源が必要になったし、社会保障制度の維持にも危険信号が灯っている。年金も株投資で8兆円も損したという。
安倍総理は当初、軽減税率について「財政健全化との関係で考える」と言っていたが、自民党の財政健全化よりも、選挙を控えて公明党の主張を取り入れた。財政再建派の自民党谷垣さんも折れたことになるが、財源は今後1年間かけて党の税調で考えると言うことになったらしい。公明党は主張が取り入れられたので満足だろう。
また、麻生財務相は当初補正予算を組む考えのないことを話していたが、15年度補正予算も3.3兆円になりそのうち1億総活躍に1,2兆円を予定している。介護離職ゼロ、人材確保に1400億円、低所得者に1人当たり3万円給付で3400億円、保育所関連整備に1300億円などが含まれている。加藤担当相も記者会見で1億総活躍社会の成否について質問され「安定財源次第」と応えていた。政策のまとめが来年の異は出るだろうが安定財源次第では心許ない。安倍総理の強い引きに期待しているようだが「ないものはない」のだ。
15年度は、財源は税収増、14年度の剰余金2.2兆円をあて国債発行額は36兆4000円ぐらいになるらしい。
2020年までにPBを黒字にするということを各政権は約束している。要は政策経費が税収、税外収入の総額でどれだけまかなえるかと言うこと。今、国、地方の借金は1035兆円だから借金は増えている。だから税収を増やしながら歳出を削減していくことだ。
内閣府が試算したところでは実質成長率2%越えが続いても9.4兆円の赤字になる。
ところでPBは、平成27年度は約16.4兆円の赤字見通しだが32年度には黒字化の目標だ。どういう計算をするのか分からないが黒字化は国際公約だ。達成出来なければ国債下落、長期金利上昇、日銀を始め金融機関が経営不安になれば市場は混乱することになる。
2020年に政権の座に着いているのは誰か分からないが安倍総理でないことは確かだろう。だから無責任にも人気取りの「言うだけ政策」を打ち上げ、財源不足を口実にすることも出来る。政治がこの調子だから困るのは財務省だ。財務省の息のかかった政権を立てなければ本当にやばくなる。
野党も野党で、国会審議で政策を提案しても政権から「安定財源は?」と問い詰められれば尻込みするしかない。
公的サービスを民間のサービスに切り替えることを経済財政諮問会議は提案しているが、事業として成り立たなければ民間だってのっては来ない。無理すればサービスの質を落とすことにもなり、そのツケは国民が被る。
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