軽減税率論争が大詰めを迎えているという。メデイアはその背後に自民・財務vs官邸・公明の構図があるというが、本当に国民の方を向いているのはどっちなのだ。創価学会の意向を汲んで公明党が軽減税率の食品全体への拡大適用を主張したが、自民、財務省は財政健全化で抵抗する。一方、安倍官邸は安保関連法への協力と来夏の参院選への選挙協力もあって公明党案を支持している。
財務相経験者であり、消費税増税の3党合意時に自民党総裁だった事もあって谷垣さんは板挟みの関係だ。
でも、消費税増税10%、軽減税率対象の拡大、財政健全化で2020年にPB黒字化、国・地方の借金1050兆円の減少そして参院選へどのような対応が国民のためになるのか。
創価学会会員との約束で増税時の食品全体への軽減税率対応を強いる公明党の動きに自民党、財務省、安倍官邸は右往左往している感じだが創価学会会員の主張が民意を反映しているのか。選挙で議席を伸ばしたいために政策が変質してきているのではないか。
あるいは、既に決まっているにもかかわらず谷垣、井上会談で難しい軽減税率で調整に四苦八苦している姿を見せているだけのことか。
当初案では4000億円分の財源を確保すれば良かったが対処品目を拡大すると1兆円になり、更に6000億円分の財源が必要になる。そうでなければ消費税10%に増税しても税収は減額になるのだ。社会保障費に全てを充てる約束も本当に信じて良いのか分からない。
そしてメデイアの論調も政局のゴタゴタを伝えるだけで軽減税率についての論調がない。まさか新聞が軽減税率の対象に載っているからなのか。
どう考えるかと問われても難しい。
10%への増税は法的には実施すべきだろう。安倍総理もそう言っている。でも8%で消費は冷え込み日銀の目指す2%物価安定目標の達成時期も16年後半に先延ばしされた。これが17年に10%になるとどうなるか。常識で考えれば消費は伸びないはずだ。
需要がなければ設備投資も伸びない。家計を潤すために賃上げを求めるが経団連を除いて経済界は色よい返事はしない。設備投資だって「やれるところはやっている」というのが現状らしい。
日銀の量的緩和で市場には十分なカネが流れていると思われるがたまっているのは企業の内部留保、日銀の当座預金だ。これをはき出させるためにマイナス金利も検討されているらしいが、はき出されたカネが株や住宅に向かえばバブルになる。日銀は量的緩和を継続だが、FRBは今月中に0.25%程度の利上げをするという観測が流れている。長い間利上げのニュースが流れたので利上げしても大きな変かは無いだろうとみられているが、日本経済のターニングポイントになるかもしれない。
海外からも企業を呼び込むために法人税を32.22%から29.97%に早急に下げると言うが効果はあるのか。既に租税特別措置法で実質的には20%台になっているのだ。特に効果などないのではないか。外形標準課税も検討されているが赤字企業にとっては増税になる。
軽減税率の対象品目を拡大することは私たちの生活にはメリットがあるだろうが、線引きによっては消費社会は大混乱だ。低所得者のために拡大すると高所得者にもメリットとなり必要ない人をも助けることになりかねない。
低所得者に3万円も給付するという。選挙対策か。
国/地方の借金が1050兆円にもなっている。対GDP比200%越えで先進国一悪い。2020年にPB黒字化を各政権は約束し財政健全化を謳っている。安倍政権も同じだが、どの政権も2020年まで政権の座にはいないので言葉だけの無責任さが目立つ。
資産も600兆円を越えるので問題はないという経済学者もいれば赤字国債は国内で消化されているので問題ないとも言う。しかしこの点が問題なのだ。国債が下落すると海外投資家ではなく、国民が損をする事になり国内経済への影響は大きい。多くを保有する日銀の経営も大変だし、金融機関の経営も怪しくなる。日銀・黒田総裁は既に金融機関に警告を発している。
アベノミクスの成果(?)として税収増も見られるが経済成長と財政再建の両輪では政府の姿勢を国民にどう見せるかが難題だ。
そして、安倍政権の頼みである公明党の選挙協力だ。差し迫っては参院選で議席を拡大したいらしい。憲法改正を目指すには参院で発議条件である2/3の議席が欲しい。自民党
が議席を得るには選挙巧者の公明党の協力が必要なのだ。ところが今回の安保関連法で創価学会会員も国会前反対集会に堂々と参加している。
安倍政権へ抵抗しているようだが消費税10%、軽減税率でどういう動きを示すか。通常国会での国会前集会に注目だ。
官高党低では自民党内にも不満が多いそうだが、自民党員はどうなのか。総裁選では対立候補を押さえつけられ、内閣改造で干されることに恐れポスト安倍の顔が見えないが野田さん、尾辻さんは頑張ったが、谷垣さん、石破さんや岸田さんらは安倍さんの毒牙にやられている。
ポスト安倍の総裁、総理候補としてどんな顔で出てくるのか。
ところで、麻生財務相はどうしているのだ。最近の政権運営で影が薄いが軽減税率では慎重派なのだろう。
経済運営で影響力を発揮する経済財政諮問会議はどうなのか。いろんな意見は出るだろうが安倍政権へのYESマンの集まりだから問題外だ。
もう結末は決まっているだろうが、一応自民・財務vs官邸・公明の戦いに注目だ。
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