温暖化論争で、クルーグマン教授はそのコラム(朝日新聞2-15.12.11 クルーグマンコラム)で「科学に背を向けるな」と排出量第2位の米国一国の一政党(共和党)の過激思想が世界全体に甚大な影響を与えていると警告する。今、パリで開かれているCOP21も最終合意に向け大詰めに来ているようだが、相変わらずの先進国vs途上国の思惑が入り乱れ重要争点も複数案の併記で選択肢が残ったままという。
会議は排出量1位の中国、2位の米国の意向が大きく影響するのは確かだ。中国は国内経済の成長を優先したいだろうし、米国は国内事情があり義務づけなど拘束には抵抗があるだろう。
クルーグマン教授はクルーグマン・コラムで、パリで開かれている気候会議は2015年12月に世界で起きた最も重要な出来事になり、地球温暖化を解決する重要な転換点になる可能性があると言う。
そうなる可能性もあるその責任は「共和党」であることは明白であるがメデイアも専門家もそういう事実に向き合っていないとクルーグマン教授は指摘する。
クルーグマン教授によると共和党は排出量抑制に徹底的に反対で、調査によると共和党議員278人のうちCO2人為説を認めているのはたったの8人、大統領選も相まって、この共和党の異様さが理解されておらず、科学的合意が間違っているというだけでなく、壮大なでっち上げの産物というのだ。
ところが共和党に「気候変動否定論の否定」の動きが出て来た。共和党の一部穏健派によるもので、共和党は理にかなったことを話し始めるだろうとみている。
クルーグマン教授らが目にしているのは「科学に背を向けた政党」だが、そんな事では文明の未来そのものも危うくなる時代で、事実に真っ正面から立ち向かわなければならないと言う。
確かにオバマ大統領は「この惑星を守るための合意を今年中に達成しなければならない」と言うが、米国内では目標達成が義務化されれば上院の2/3の同意を得なければ批准できない事情があり義務化には抵抗があるようだ。
米議会は強い規制を嫌う共和党が圧倒的多数を占め、既に州によっては提訴する動きもある。更に来年の大統領選では共和党にも可能性があるようだ。そうなると第2位の排出国である米国は地球温暖化対策から一歩後退と言うことにもなりかねない。
しかし、全てはCO2人為説を前提の地球温暖化対策であって、そこには先進国vs途上国のエゴが出てくる。カネのぶんどり合戦の様相を呈するのだ。一方で今叫ばれている自然変動説に立てば重点は被害対策になる。
クルーグマン教授はCO2人為説に立つのか、自然変動説にたつのか。CO2人為説が間違っていたとすると巨大なカネの動きが無駄になるが、財政出動と考えると意に沿っているとでも言うのか。
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2015.12.01掲載
COP21首脳会議始まる:CO2人為説か自然変動説かで対応は大違いか
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