ノーベル物理学賞を受賞した梶田先生は、なんと脇道の研究から理論を覆したことに驚く。読売新聞(2015.12.11)の「妥協なき探求 結実」によると梶田先生は陽子崩壊現象を観測するときに大気ニュートリノが邪魔になるので2つの現象を区別するために大気ニュートリノの研究を始めたのがきっかけで「ニュートリノに質量がある」という、従来の理論を覆す研究結果を報告したのだ。
その脇道の研究でノーベル賞を受賞したのだから運が良い。12日のNHK「祝2人のノーベル賞 受賞への道のり」で梶田先生の研究過程を知ることが出来た。
先にノーベル賞を受賞された小柴先生からは「自分の仕事を持て」、「研究費は国民の血税」と言うことを教え込まれたようだ。
新しい分野の研究はどんなことが起きるか分からない。誰も経験していないのだから全て自分でやらなければならない。当然に関連するとは言え本筋と離れたテーマにも取り組む必要があるのだ。
梶田先生は、ニュートリノは3種類あるがミュー型の検出数が理論値より少ないことに気がついた。長い距離を飛んでいる過程で他の型に変わるのだ。それは「質量がある」ことになり従来の理論を覆す可能性があるのだ。
発表するにも細心の注意が必要だ。発表後、間違ったことがわかればカミオカンデの研究が信頼を失うことになる。梶田先生は「間違っていないか」とあらゆる方向で検証したが間違ってはいないことが分かった。
その時、小柴さんが「面白いじゃないか」「ニュートリノ振動」と背中を押してくれ研究発表に漕ぎ着けたが世界の物理学者は半信半疑だったようだ。当然だろう、標準理論を否定することになるのだから。
そして更なる研究のためにスーパーカミオカンデの建設が始まった。100億円の研究費だと言うが国民の血税だ。この建設には「ノーベル賞に近い男」として常に名前が挙がっていた戸塚先生の存在が大きかった。
小柴先生、戸塚先生(受賞することなく他界)という偉大な先輩科学者に恵まれたこともノーベル賞受賞に大きく貢献しているのだ。戸塚先生の話になると梶田先生の目が潤んでいた。
梶田先生もまさか神岡の地下トンネルの中での研究は予想していなかったようだ。地上での研究と較べると効率が悪いと苦笑いした。来年、神岡で研究すると言う若き出演者の質問に答えてのことだ。
でも、付け加えてKAGRAで重力波の観測が始まるので良い機会に参加出来るのではないかと激励した。
一体何に役立つのか。凡人の質問だ。
答えは「天文学」だという。
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