現在の物価、名目所得は量的・質的金融緩和策を導入後 上昇に転じたと日銀が主張する資料 経団連審議委員会での黒田総裁講演「転換点を迎えて」より |
出口戦略の「で」の字も言わない日銀の一途な量的・質的金融緩和策への評価をどう思うか。目標である2%物価安定目標にも近づけない今、軌道修正、出口戦略に言及することは混乱を招くし、アベノミクスの否定にも繋がり安倍政権がぶっ飛ぶことになるので官邸はウンと言わないだろう。
黒田・日銀総裁は厳しい立場に立たされていることに違いはない。来年の後半から2018年の安倍総理、黒田総裁の任期切れまで、何時政権と袂を分かつか。
脱デフレに向けた2%物価安定目標も2016年後半には達成の姿勢を崩していないが、3%を超える成長率を前提にしているために専門家の間では不可能とみられている。
そして、量的・質的金融緩和も80兆円の買い入れを継続すると言い、市場の予想に反して追加緩和しなかった今回の「補完」措置も資産買い入れを一層円滑に行うための趣旨に合う措置だという。
更に金融緩和の限界論も指摘されているが、黒田総裁は「何か限界があるとは思っていない」と否定する。
最近の記者会見、日本経団連審議委員会での黒田総裁の講演「転換点を迎えて」から日銀の考え方を拾ってみた。
今年の日本経済を物価面で見ると、1年を通じて概ね0%程度で推移しているが物価の基調は着実に改善している。生鮮食品、エネルギーを除けば直近では+1.2まで上昇している。これは日本がデフレにかかって以来初めての経験だという。
だから日本経済は緩やかな景気回復を続け、2%物価安定目標への道のりをたどっているとみている。
又、量的・質的金融緩和の効果として、消費者物価、名目所得共に量的・質的金融緩和導入と共に反転上昇した資料(図参照)を示し、デフレ脱却が確実に視野に入ってきたと評している。疑問を挟む予知はないと強調した。
そして、専門家から指摘されている量的・質的金融緩和の限界について、80兆円の買い入れを継続しているが金融機関によっては国債をすっかり売ってしまったり、日銀にあっては保有している国債の償還がかなり増えており、今回の補完措置は、より柔軟に弾力的に国債買い入れが進められるようにしたとも言い、その効果が実体経済へ効果的に浸透することを期待しているようだ。
だから、黒田日銀は、何ら限界はないと主張するのだ。
日本銀行はデフレからの脱却、2%物価安定目標を実現するために「出来ることは何でもする」という姿勢を崩していない。
ゼロ金利下での量的緩和政策は効果がないというのが経済学の通説(?)だったはずだし、FRBは金融政策の正常化を目指しやっと利上げに踏み切った。
日本でも過去に速水総裁の時、政府の反対を振り切ってゼロ金利から利上げに踏みきり、景気後退を招いたために再度ゼロ金利に戻した苦い経験がある。
成果があやふやなうちに出口戦略に言及することは政府や日銀の信用を落とす危険もはらんでいる。しばらくは日銀も強気の発言を繰り返さなければならないのだろう。
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