物価上昇2%は世界の目標だが達成にはハードルが高い。ユーロ圏や日本は量的緩和を継続しているが効き目はなさそう。おまけに高齢化、社会保障費削減、年金問題、ワーキングプアーなど生活不安は増し、パリ・テロ事件、イスラム国、南シナ海、東シナ海での中国の不法行為、毎日新し九起きる殺人事件など暗いニュースばかりでは消費も伸びず経済成長など高望みではないか。
使い捨て、創造的破壊と言われ「絶えざるイノベーションが消費を生み出す」と言われたのは何時の時代の経済だったのか。専門家はことある毎にイノベーションと言うが、そんな社会状況ではなかろう。
ゼロ金利になると金利の上げ下げで金融政策をやる手段を失い量的緩和が唯一の手段になるがマネタリーベースを増やせばデフレが止まるかと言えばそうはいかないと言うのが経済学の主流だったが、安倍総理はリフレ派を登用した。
安倍総理が日銀総裁を更迭してまで異次元の金融政策を採用し、株安が一転株高に転じ異次元の金融緩和の成果と思われた。日本の株高は円安ももたらしたとみられていた。
ところが、株価は日銀総裁に黒田さんが就任する半年前から上昇をはじめ、野田政権下の為替介入で円高から円安へと転じていたと見る経済学者が多い。
黒田日銀総裁は、「2年で2%物価安定目標、マネタリーベース2倍増」などとわかりやすい公約を掲げて就任、岩田副総裁に至っては「2年で達成出来なかったら辞任する」と豪語したが2%物価安定目標達成時期は先延ばしされ16年度後半になった。
民間エコノミストは、それでも達成は困難とみているが、日銀は「緩やかな回復基調」を主張し「問題があれば躊躇なく対応する」と追加緩和の可能性も覗かせる。朝日新聞(2015.12.3)によると岩田副総裁は岡山市での記者会見で「達成時期が遅れるから猛烈な緩和を考えることは、今のところ標準的な理論や実践から考えても考えにくい」と述べたという。
言い換えれば「リフレ派は間違っていた。これ以上の量的・質的緩和はやらない方が良い」とも聞こえる。黒田総裁も日本国債下落で国債を保有する金融機関の経営不安が出てくるのを心配し銀行に資本強化(?)を要望という。国債の相当量を保有する日銀だって例外ではない。日銀は政府と一体だから潰れることはないと言っても株式会社だ。
ところが、ユーロ圏でも物価が伸びず、デフレ経済への悪循環を避けるためにも欧州中欧銀行(ECB)は量的金融緩和を延長、マイナス金利を0.2%から0.3%にし銀行に貸し出しを促す決定をした。「量的金融緩和の継続は失敗しているからではない」と言うが市場は失望している。
企業の設備投資が増え、個人消費が伸びれば物の値段は上がる。誰でもそう思うがその根本には需要、家計への再分配がある。麻生財務相は「次は財政出動から民間出動」と言い、安倍総理は「官民対話」で経済界に設備投資、賃上げを要求するも経団連会長は同調するが他の経済人は冷めた見方で「設備投資はやっているところはやっているし、賃上げは労使関係だ」と真っ当なことを言う。
一方、FRBは利上げのタイミングを計っている。米国の雇用統計、経済指標も好調で今月中には利上げされるのではないかとみられている。
FRBの利上げは、低金利、量的緩和に慣れきった世界経済にどう影響するか、いろんな見方があるが「既に市場は織り込み済み」との見方も出ている。非伝統的と言われる金融緩和は始める時よりも止める時の方が難しいと言われていたが、本当になった。
思い起こせば長く円高、株安で苦しんだ日本経済だったが、経済学者よりも政治家がリフレ経済を煽った。
安倍自民党が勢いに乗って民主党から政権を奪い返した衆院選では自民党候補者は皆「円高は当たり前、もっとカネを市場に流せば円安になり日本経済は再生できる」と有権者に訴えた。
70円、80円台だった為替が今は123円台に下落、今度は輸入品の値上がりで国内物価は上昇、消費の落ち込みと相まって悪の経済循環と言われているが、物価上昇を目指す日銀は悪しき経済循環も是としているようだ。経済界は110円台中位を理想とみている。
アベノミクスも当初は効果があったように見られたが、経済の好循環は見られず、3本の矢の検証もしないままに今度は新3本の矢を放った。これが又、空虚な言葉だけの経済政策と映り、「的外れ」と揶揄される始末だ。。
これでは政府の経済対策など期待出来ない。
そして、人口減、高齢化社会、社会保障制度の維持の困難、子育てに悩む若い世代、労働者派遣法の改悪によるワーキングプアーの問題など生活不安は高まる一方だ。
そして、メデイアに溢れる暗いニュースは「何時、我が身の近くで」と不安になる。
これでは消費は伸びないし、経済成長など覚束ないのではないか。政治は「国民に安心感を運ぶ」ことだ。
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