乱高下する円、株価。安倍総理の「アベノミクス」を市場は本当に評価しているのか。株価は乱高下を繰り返している。25日(月曜日)にも276円高の11662円だった日経平均株価が、26日(火曜日)は263円安の11398円と動きが激しい。円も94円13銭から91円80銭と動く。円安になれば株高、円高では株安だ。
一方、長期金利も低下し、低水準を維持している。
安倍政権になって2カ月、支持率は今までの政権と違って上昇している。脱デフレを謳い大胆な金融緩和を主張し、次期日銀総裁には金融緩和推進論者を人選し、市場は今一層の金融緩和を期待して円安、株高基調が続く。
この円安、株高基調を安倍総理は「2%物価目標、三本の矢の「アベノミクス」が評価された結果だ」と国会の予算委員会で民主党政権との違いを主張していたが、本当にそうなのか。
投資家の判断材料で他に良い材料、懸念材料が無かった時には「アベノミクス」が評価されるのであって、欧州経済、米国経済の動向に大きく影響されるのだ。
26日(火曜日)は、イタリア総選挙で反緊縮派が伸び、欧州危機再来の不安から投資家が安全資産にカネを移したために株安、円高、債券高になったという。
ギリシャ、イタリアに限らず国内の財政再建策はなかなか国民に支持されにくい。反緊縮政策で経済が活性化されれば一番いいのだけれど、疲弊に拍車をかける。欧州経済危機は、どういう手を使っても解決は難しく、世界経済に波及することは確かだ。
おまけに米国は、NY株は続伸しているというが、こちらも乱高下が激しい。ブッシュ減税の終わり、赤字国債発行上限枠の問題があり、オバマ政権も崖っぷちに立たされている。
定期的に発表される経済指標と、あらかじめの市場の見通しの結果の違いで株価は大きく変動している。それと連動し東証株価も変動する。
FRBバーナンキ議長は、連邦公開市場委員会内で量的緩和の副作用に懸念が広がるが、「資産購入の利益は明白だ」として、量的緩和策を今後も堅持するという(読売新聞 2013.2.27)。
欧州経済、米国経済に大きく左右され、政府債務が対GDP200%を超え先進国一の財政悪化国でありながらも安全資産として円が買われる。
これが、「アベノミクス」で円安、株高に向かっていた安倍相場に冷や水をかぶせる結果になっている。
今、円安が進んでいるのは、安倍総理の提唱する「アベノミクス」の効果か、日銀が今まで進めてきた非伝統的金融緩和政策の効果なのか。
デフレ脱却が遅々として進まない理由に金融政策が間違っていたと日銀に非難が集中し、日銀総裁人選、日銀法改正まで「日銀の独立性」を侵害し、国債の信任を落とすことが危惧されるほど話題になっているが、本当に日銀のせいなのか。
日銀に言わせれば、市場にはカネがだぶついている。通貨供給量は対GDP比では、先進国一の供給量を維持している。日銀の金融緩和政策と相まって財政政策、成長戦略が必要なのだという白川総裁の考えに賛同する。
それでも更なる金融緩和が必要というが、その理由は何なのか。今までの金融緩和では効果が出なかったというだけでは説得力がない。
2%物価目標、更なる金融緩和、アベノミクスを評価するエコノミストがいる一方で、2%物価目標達成はほとんど無理、このままだと好ましくないインフレを生じるというエコノミストが多くなってきた感じだ。
日本のマクロ経済を主導する経済財政諮問会議では、「デフレをストレートに議論しよう」という意見も民間議員からでたようだ。デフレに落ち込んだ要因は何か。なぜデフレから脱却できないのか。日本経済をリードする人間がどう考えているのか知りたいところだ。
そして、安倍総理は自らの「アベノミクス」が市場に本当に信頼されているのか。リフレ派エコノミストの意見ばかりでなく、デフレ派のエコノミストの意見もしっかり聞き、「強い日本経済」を取り戻してほしい。
0 件のコメント:
コメントを投稿