毛利元就の3本の矢、安倍総理のアベノミクス3本の矢は折れ、それぞれの目標完遂は4本目の矢が重要になる。毛利元就が3人の息子を呼んで「3本の矢なら折れない。兄弟で毛利家を守れ」と言った言葉は有名であるが歴史的には嘘らしい。安倍さんのアベノミクス3本の矢も折れそうでいずれも4本目の矢が重要になってくるのだ。
今まで歴史で学んだ教訓が今、大きく書き換えられようとしているのに驚くばかりだが、たまたまネットでニュ-スを当たっていたら、ビジネス・ジャーナルで「毛利元就の美談「3本の矢」はうそだった? 毛利家の秘められた衝撃の「真実」」という高校教師で浮世博史さんの記事が目に止まった。
これに、安倍総理のアベノミクスの3本の矢と憲法解釈改憲で今審議中の安保関連法案を重ねてみると毛利家と安倍家の命運の行き着くところが分かるのではないかと思った。
その記事によると、元就には正妻が生んだ3人の息子と側室の子6人がいたそうだ。一人は早く死に後2人も関ヶ原の戦いで毛利家は家康の東軍に付いたが長門国など2カ国を支配するだけになってしまった。毛利家本家には跡取りがいなかったために元就の4男(側室の生んだ子ども6人の内の一人)が後を継ぎ幕末まで続く長州藩を治めたという。
矢を3本見せておいて実は6本を隠していた。元就は4本目の矢を取り出し毛利家を救ったというのだ。面白い話だ。しかし、昔私たちが学んだ歴史の常識が今教科書で大きく書き換えられていることに驚きと同時に歴史に興味が湧いてきた。
一方、今私たちの生活に大きく影響しようとしている安倍総理の政策をこれに重ねてみたら、安倍総理(安倍家)の先が見えてこないか。
リフレ派の主張を取り入れて日本経済再生に向けアベノミクス3本の矢を放った。円高、株安に苦しんだ市場、国民は円安、株高の政策に大きな期待を抱だき安倍総理に絶対的な支持を与えた。
ところがアベノミクス3本の矢も今は色あせてきた。
第一の矢の異次元の金融政策は日銀総裁を更迭する荒技に出、黒田総裁が誕生、マネタリーベースは2年で2倍、2年で2%の物価安定目標達成を唱った。確かに円高から円安に基調は替わった。円安は輸出産業を中心に企業収益は上がったが今度は進みすぎる円安で輸入品価格の高騰などで生活必需品も高騰し消費税増税も相まって消費の減退の要因にもなった。
マネタリーベース増は市場におカネを流す量を増やし長期金利を低水準に抑えることで企業に投資を促す期待感を煽ったが消費低迷、需要不足では市場に溢れたカネはバブルの要因にもなってきた。
設備投資が増え、賃金も上がり消費、生産活動が活発になる「経済の好循環」も物価高の消費低迷で「経済の悪循環」の様相を呈してきた。
2%物価安定目標もいろんな要因で2015年度中の達成は出来ず2016年度前半に目標を変更したが達成可能と言っているのは日銀、政府だけで民間エコノミストは懐疑的だ。黒田総裁、岩田副総裁は責任を取って辞任すべきだと思うが「辞任は否定」する。
米国FRBは9月にも金融政策正常化に向け利上げの動きを見せているが、これが日本経済にどう影響してくるか。その時は正念場だ。
第二の矢の財政出動もままならない。国土強靱化で公共投資を増やす動きもあったが予算は減っている。東北の復興予算も使い切れていない。おまけに国、地方の借金が1050兆円、GDP比200%を越える先進国一の悪い状況で、日本経済再生にあっては財政の健全化が喫緊の課題だ。安倍政権は経済成長と財政再建を両輪とみているが相反する経済政策では四苦八苦の状態ではないか。財政再建を緩めれば世界から批判を受けることにもなる。
第三の矢の成長戦略が期待されたが、出てくる政策は歴代政権が掲げた政策と同じだ。官僚が同じだから当然だろうが、今までに実施できていないと言うことはこれからも実施できる保障はない。強きを助け弱気をくじく保守政治そのものだ。
成長分野だって税金をつぎ込まなければ成長できない分野では思いやられる。
安倍総理の経済政策アベノミクスの3本の矢も1930年代の高橋是清の経済政策の繰り返しだったようだが、今では経済政策の見直しが必要になってきた。折れたのも当然だ。
そして最近の安倍総理を見ると、安保関連法案の今国会成立に全力をそそいでいるようだ。安倍総理(安倍家)の第四の矢は経済より政治に重点を移した戦後の日本の政治体制の改変、祖父である岸信介元総理の出来なかった政治課題に挑戦している。
しかしこの第四の矢がうまく行くか。
保守系色の強い安倍総理だから憲法改正を頭に描いていたがハードルが高いとみると憲法の解釈改憲に走った。衆院特別委員会は強行採決、衆院通過で参院の審議が始まったが質疑は衆院の繰り返し、野党が修正案を出すと言うが立憲主義に反し、憲法違反のある法案に修正案、対案が出せるのか。本来は廃案に持って行くべきである。
安倍総理は9月の自民党総裁選では無投票当選を狙い、60日ルールで今国会での成立を目指している。ますます内閣支持率は下落するだろう。来夏の参院選では経済不振、安保関連法案への反対もあって自民党は大きく議席を減らすだろう。
それでも解散・総選挙をしない限り衆院での自公の優位性は変わらない。自民党総裁選を勝ち抜き2018年9月まで総理の座を死守するか。
毛利家は4本目の矢で毛利家の存続を保つことができたが、安倍総理は4本目の政策で長期政権と岸家、安倍家の念願の政策を達成することが出来るか。
安倍さんの命運は国民の審判にかかっている。それよりも先に体調不良で政権を投げ出すか。
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