2015年8月19日水曜日

何を造れば需要を喚起できるのか:このままでは成長は覚束ない

このままでは成長戦略も覚束なくなってきたが、どうすれば需要を喚起し企業が活性化し、消費が伸びるのか。日本経済は政府や日銀が言っている「我が国の景気は穏やかな回復基調が続いている」との思いとは反対に供給過剰では成長は難しい。企業家は予想以上の需要の増加が望めない限り投資には及び腰だ。日銀のやる異次元の金融緩和で長期金利が低水準にあることなど余り関係なさそうだ。

消費者が欲しがる物は何か。どんなサービスを望んでいるかだ。

201546月期GDP速報値が17日発表になり、民間の予想通り悪く前期比マイナス0.4%、年率換算でマイナス1.6%で3四半期ぶりにマイナスになるという。勿論遅れて確定値が発表されるだろうが政府も手を加えてマイナス成長を調整してくるかもしれない。

マイナス成長の要因に消費の低迷が挙げられている。政府が財界に賃上げを要求しているが実質賃金は2年間マイナスだ。賃金の上昇が物価上昇に追いついていない。

行き過ぎた円安が輸入品の高騰で食料品など輸入品の値上がりにつながり個人消費、輸出が振るわない。

大手企業では業績好調な傾向も見られるが国内需要の拡大が見通せなく設備投資は足踏みだ。

マイナス要因として上げられるのが中国経済の悪化など世界経済の減速だ。

でも、こう言う状況は今始まったことではない。以前からよく言われていたことだが、「我が国の経済は緩やかな回復基調にある」と政府、日銀は期待感(?)を煽っていた。

なのにマイナス成長で景気回復は足踏み状態を呈した。

安倍総理は安保関連法案の今国会成立見向けアベノミクスなど経済政策には見向きもしなくなっている。異次元の金融政策、果敢な財政出動、成長戦略を掲げ名目3%、実質2%の成長を目指し、同時に財政再建をも目指しているが2020年でのPB黒字化は至難の業だ。今でも数兆円の赤字が予想され赤字幅を縮小する議論がされていたが今は聞かない。

成長路線には企業の投資が必要だが企業は「予想以上の需要増が見込めるか、他企業との競争力維持」が投資の狙い目だという(「景気回復下における新たな企業活動」経済企画庁調査局 1984年)。

消費者の欲しがる物、サービスは何かと言うことになる。

裾野も広く今まで景気を引っ張っていた自動車産業も国内では若者の車離れが問題になっている。中国市場も大きな期待が出来ない。生産ラインのスピードをこれ以上遅く出来ないぐらいに落としていると新聞に出ていた。テレビはNHKの受信料収入が過去最高になったと新聞に出ていたがテレビのCMはほとんど見ないし、ジャパネットタカタのテレビ通販でも見なくなった。スマホ市場にも変調があるようだ。

医療とか介護が成長分野というが医療費の高騰は社会保障費の増加、介護費の負担増は個人消費にも影響してくる。医療、介護の関連を成長分野に挙げても良いのかと疑問に思う。

また政府の言う成長戦略も官僚が提案する政策は歴代の政権の時も同じ内容だ。その同じような政策が出てくることは一向に実現していない政策で期待は出来ない。

それに高齢化、人口減少は購買力の低下につながる。若い世代は教育にカネがかかることを考えると個人消費の改善は期待出来ないのではないか。

一方、日銀は2%インフレ目標を目指し年間80兆円の追加緩和の継続をしている。異次元の金融緩和で270兆円のマネタリーベース増を達成し今、300兆円を越えている。

金融緩和で長期利子率を低水準に維持すれば企業の投資を誘うことが出来ると考えているようだが、企業が投資するのは「需要があれば」の話で低金利などほとんど関係ないと言う(同上)。

又、経済学では確か「低金利下では金融政策の効果は薄い」と言うが、日銀は2%物価安定目標達成を当初15年度中としていたが、16年度前半に見直し実現することを期待しているのだ。だから、日銀は政策決定会合でも「マネタリーベース年80兆円増加で金融市場を調整するという」(2015.7.14/15 日銀政策決定会合議事録)。

期待感を煽るだけでは企業、国民は踊らない。

更に出口戦略が問題になってくる。米国のFRBも金融政策の正常化を目指し9月頃「金利あげ」が話題になっている。勿論米国の成長率、雇用統計が重視されているがギリシャ問題が落ち着けば可能性は出てくる。

その時、日本経済がどう影響を受けるか。日本経済も本当の正念場を迎えることになる。

安倍政権も日銀も今の政策を見直し、新たな政策を打ち出す必要があるのではないか。


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