私たちは、どんな政党政治を望んでいるか。自民党一党多弱で安倍総理の恣意的な安保関連法案成立に走る政治を見て国民は大きな不安を抱えているはずだ。政権与党自体に調整能力がないとすれば有権者自ら政党を育て構築していくことが必要ではないか。
読売新聞(2015.8.8)の「「政党」に関する世論調査」を見ると、政界は政権交代が出来る2大政党と複数の小政党からなり、与野党は競り合い単独政権ではなく連立政権の方が良く、今のような「ねじれ国会」も野党が影響力を持ち法案に意見が反映されるのであれば好ましいという。
長期政権は政策の偏向を生み政官癒着の危険もあり政権交代を期待する向きは多い。世論調査では2009年の自民党から民主党に政権交代したことを「良かった」17%、「どちらかと言えば良かった」39%、「どちらかと言えば良くなかった」22%、2012年の民主党から自民党に政権交代したことを「良かった」27%、「どちらかと言えば良かった」42%、「どちらかと言えば良くなかった」21%と大体同じような結果で今後も政権交代があった方が良い(70%)と考えている。
その政権交代可能な2大政党では政党人気度、政権担当能力において民主党が劣っていることに問題がある。
確かに2009年の政権交代後の民主党政権は問題が多かった。「友愛」を政治に持ち込み、普天間移設では二転三転、「コンクリートから人へ」では八ッ場ダムの凍結をしたが同じ民主党政権で解除、続行となった。事業仕分けでは官僚の無駄遣いに切り込み国民に政治を身近に感じさせたが財務省の手のひらで踊っていた感がする。初っぱなから小沢さんとの権力の二重構造が表面化し官邸の力は弱まった。
変わった菅政権も市民運動出身ということで期待されたが、東北地方太平洋沖地震、福島第一原発のあってはならない事故に遭遇、その対応に批判が集まったが、小沢さんとの確執はつきまとった。自民党からは「何時辞めるんだ」とせっつかれたあげく野田政権にたらい回しした。
野田さんも先送り政治から「前へ進める政治」で海外でも評価されたようだが、党内分裂、自民党からは「何時解散総選挙か」と追及され負け戦さが分かっていての解散総選挙に打って出た。自民党総裁の安倍さんとの党首討論で「政策実行を約束してくれれば明後日に解散します」との発言は始めて党首討論らしい討論だった。
私としてはもう少し野田政権が続けば「前へ進める政治」も軌道に乗ると思っていたので政権交代は残念だったが国民の信頼も失い限界に近かった。
今も民主党に信頼がないのは、保守系、革新系の混在する政党でいざというときに党内の不一致が露呈、一人一人を見れば優秀な議員がおり政権担当も可能だと思うのだが次のリーダーが見えない。でもこれは自民党でも言えることだ。
今のような自民党一党多弱、国政を振り回す維新の党など不甲斐ない野党を造ったのは我々有権者である。政界再編を言っても掲げる政策が決まらないし、核となる人間がいない。
今までも自民党を飛び出し無所属を続けたり、新党を立ち上げた例は多いがほとんど失敗し、少数政党で甘んじるのは良い方で自民党に復党し要職に就いている議員も多い。
今の選挙制度では政党を飛び出すのは危険なのだ。
だとすると、有権者が政党を育てていくしかない。
自民党は今の安保関連法案をみるかぎり安倍系保守よりリベラル系保守を育てる必要がある。安倍さんの意を忖度し暴言を吐く議員は支持しない。この安保関連法案に反対の人はこの法案に賛成する自公議員を支持しない。
民主党にあってはどういう党に育てたいかだ。旗印がはっきりしないのであればはっきりさせるように民主党議員のうちで革新系議員を支持しない。何回か選挙を経験する内に革新系の議員は離党し新たな党を立ち上げることになるかもしれない。
一番の問題は連合など労組との関係だ。今の民主党では公務員改革など出来ないことは橋下さんに指摘されるまでもない。労組推薦の議員を排除して行くことになる。
そういうことを何回もやっていく内に政党の姿も変わってくるのではないか。ただ小選挙区比例代表制の選挙制度では地方区で落選しても比例区で復活する可笑しな制度だから見直しが必要だ。
とにかく、議員自身では政党の改革は出来ないのだから有権者が政党を変えていくしかないのだ。少なくとも自分の住んでいる選挙区の国会議員の動向はしっかり押さえることだ。
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