2015年8月11日火曜日

太陽光発電の問題点:不安定な供給、高い買い取り価格、そして周辺の気温上昇の要因?

政府は2030年度電源構成では再生可能エネルギーを22~24%に増やすという中で太陽光発電が期待されているが問題点も多い。不安定な供給、高い買い取り価格、そして余り注目されていないが周辺の気温上昇の要因でもあるし40年度には大量の廃棄物となるのだ。

一方今まで止まっていた原発も川内原発が再稼働に向け動き出し20日にはフル出動となり安倍政権が目指す原発ゼロ解消に一歩近づくのだ。福島第一原発とは違って加圧水型でより安全と言うことで規制委員会の審査も早まった。

しかし、姶良カルデラ噴火、巨大地震での専門家の指摘は無視され、緊急時の避難計画も不完全なままで再稼働を急ぐことに地域住民は勿論のこと国民は不安を感じている。

一時あれほど騒ぎ、計画停電までやった電力不足問題も何故か今年の酷暑でも電力不足の声は上がってこない。

燃料費は嵩むが休止中の古い火力発電を稼働させたり、太陽光発電など再生可能エネルギーの利用が進んだためだろう。

ところが、その太陽光発電も発電設備が急増するに伴い問題点も明らかになってきた。

既に設備容量は政府が2030年度時点で想定した導入量6400万kWを越え8200万kWになっているそうだ。買い取り価格が高いことと太陽光パネルを並べるだけなので短期間に事業化できるメリットが大きいらしい。

13年度1300億円だった買い取り価格が15年度には1300億円、30年度には3.74兆円に膨らむようだ。だから固定買い取りが行き詰まり太陽光発電を見直す動きになってきた。

今、私たちの身の回りで太陽光発電設備は小規模なものから大規模なものまで目につく。

家を新築するときはメーカーが必ず太陽光発電を推奨するようだ。新築家屋ではほとんど設置されている。新築した友人に聞くと補助金が出て総発電量を買い取ってくれるので投資も7年ぐらいでペイするので採用したという(今どうなっているかは分からない)。「メンテが大変でしょう」と聞くと「専門業者がやってくれる」という。

丘陵の空き地に設置された太陽光パネル
群馬県高崎市にて
チョット郊外に出ると狭い斜面にも新築の屋根に設置した規模のものが設置されているし、工場の跡地に太陽光発電を設置し、その下は倉庫に使っている例もある。

読売新聞(2015.8.11)の「編集手帳」では青々とした水田の隣に、まぶしいばかりに輝くソーラーパネルが並ぶ。いささかチグハグな組み合わせが地方の当たり前の風景になりつつある。耕作放置よりまだマシと太陽光発電に乗り出す農家も増えていると言うが、人々の暮らしを支える電源としては力不足と指摘している。

淡路島の巨大メガソーラ
週刊ポスト2015.8.21/28
更に、週刊ポスト(2015.8.21/28)の「ソーラーパネル列島」ではゴルフ場跡地、宅地造成跡地、廃校になった中学校のグランド、不採算で閉鎖になった空港の滑走路に設置されたソーラーパネル、そして関西最大級の淡路島の巨大ソーラーが紹介されている。

ソーラーパネルに覆われた大地が日本の原風景になる日が来るかもしれないとコメントしている。

しかし、そんな風景を望んでいるか。

太陽光発電は「地球に優しい」とか「再生可能エネルギー」と言った勝手な思い込みとイメージだけで普及が進んでいるように思えるが、太陽と地球の関わりを学べば、どれだけ地球温暖化にとって良くないかが分かるはずだと宇宙物理学者で元神奈川大学学長の桜井邦朋先生は忠告する(「日本列島SOS」 桜井邦朋 小学館新書 2015.6)。

それによると、太陽光パネルも太陽光エネルギーを吸収すると,その全てが発電に消費されるのではなく、パネル表面とその内側の温度も上がる。パネルの表面温度が50℃まで上がったとすると1m2あたり600Wになる。パネルを発電に利用した時間とパネルの総面積の積に比例して電磁エネルギーがパネルから放出される。仮に総面積10km四方あった場合その放射されるエネルギーの1%が約10km上層まで広がる大気中に長時間滞留すると仮定すると7℃ほど上がり、0.1%が滞留すると0.7℃、発電施設上空とその周辺の気温が上がることになる。

いくつかの仮定に基づいた計算見積なので絶対にこうだとは言えないが必然的にかなり上昇するはずだという(同上)。

特に広大な空き地に太陽光パネルを設置したらその場所の気温は上昇し、地球環境の変化は避けられないという(同上)と忠告する。
コンクリート構造物、舗装された道路などで都市は気温が上昇していることにも相通じるのだろう。

太陽は本当に地球に自然に優しいのかと疑問を投げかけている。

更に環境省の推計によると、20年間の買い取り期間を過ぎ25年間で廃棄した場合、廃棄される太陽光発電設備は20年度には年間約1000トンの廃棄物が出るが、2040年度には80万トンの廃棄物になり、これは12年度に国内で発生した産業廃棄物の埋め立て量の6%に該当する量だという(朝日新聞2015.6.24)。

国民生活の安定のためには原発再稼働と言うが廃棄物の保管問題は解決していない。


電気で便利な生活を享受しているが理想的な電源はないのだ。


[追記]
 読売新聞(2015.9.10)「ソーラー反射光で熱中症に」によると、太陽光発電施設のソーラーパネルの反射光が自宅内に入り,室温が上昇し熱中症になったとして施設を管理する会社を相手取り一部撤去と330万円の損害賠償請求をしたという。
                                      (2015.9.11)


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