ISによるパリ同時テロは一般人を巻き込む驚愕のテロ事件となったが、オランド大統領をして「フランスは戦争状態」と言わしめた。内戦やテロ対策を自由主義vs社会主義、言い換えるとアメリカvsロシアの構図で対応する時代は終わり、各国が連携した対応を迫られることになった。
国連の安保常任理事国は、自由主義国であるアメリカ、イギリス、フランスvs社会主義国であるロシア、中国が拒否権まで持ってあらゆる局面で対立する政策をとり解決どころか混迷を深める結果になっている。
シリアで続く内戦は自由主義政治を求めて反体制派をアメリカが支援すると、反対にロシアはアサド政権からの正式な要請を理由にアサド政権擁護で軍事行動に出た。
内戦に苦しむシリア難民はヨーロッパ諸国、特にベルギー、フランスに移り住んだが、仕事などでの差別は大きく生活は苦しかったようで社会不満は高まっていた。そのはけ口として変質したイスラム教に頼り、今回のようなテロ事件に発展していった。
フランスのオランド大統領が今回のパリ同時テロはシリアで計画、ベルギーで組織、フランスで実行と発表した。テロ行為はこれが最初ではなく、1月にもパリ・テロ事件が発生、新聞報道によると情報や予兆は掴んでいたようだが残念ながら防止には至らなかった。
一方、アサド政権を支援し軍事行動を行っていたロシアは、反体制派の拠点も空爆する荒技に出た。ロシア機の爆発事故に遭いながらなかなかテロを認めなかったが、やっとテロによる爆発であった事を認めた。
更に、 IS国は「次の標的はワシントン」と公言し、オバマ大統領はシリア難民の受け入れを制限するという。
ここに至って、IS国は自由主義国、社会主義国の区別なく標的にすることが分かり、関係国が連携しテロに対峙する必要が出て来た。日本だって安倍総理の中東訪問時、避難民を支援するために出資を約束したがISは「十字軍に参加した」と日本も例外ではないことを公言している。
こういう事態になっても国連の潘事務総長の調停の動きは鈍い。国連の本来の役目を果たせていないが、こんな事務総長を選んだことにアメリカの責任もある。今までの事務総長が力を発揮したことを嫌いアメリカが弱い事務総長誕生に動いたようだ。
その結果、シリア問題でもアメリカが有志連合を結成しシリアのアサド政権に対応することになったが、それにつけ込んでロシアがアサド政権の支援に回ったのだ。
ベルギー、フランスでのイスラム移民社会にテロのネットワークが出来ていると言うから恐ろしい。IS国が窮地になれば大きなテロ行為で存在感を誇張することになるのだろう。COP21も危ないと言われている。
テロ対策は国連を中心に、アメリカvsロシアの構図ではなく加盟国が全力で対応しなければならないが、本質はシリアの国内問題をどう解決していくかだ。
自国民が内戦で国外に逃げている現状を政権は良いとでも思っているのか。権力闘争ではなく、国民の生活を安定させることが第一なのだが。貧困での格差拡大も重要なテーマだ。
そしていつものことだが、情報や予兆に対しての取り組みに不備があったことも明らかになった。情報収集の確度を如何に挙げていくかが課題だろう。
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