2015年11月5日木曜日

医師の診断支援システム:医療分野の新産業育成にどう活用するのか

医師の診断支援システムを医療分野での新産業育成にどう活用するのか。新産業育成での「官民対話」で「ドローン」「自動運転」と共に政府が打ち出したのが医療支援として診断システムの活用がある。

規制緩和、人工知能を使った新しい事業として投資を促したいのだろうが、規制緩和と言っても医師法を改正し、「医者いらず」の改革でもやろうというのか。そうでなければ人工知能を使ってのシステム構築でシステム会社が益するだけだが新産業に発展することが出来るのか。

実は私も30年前の現役時代に、企業が春、秋実施する健康診断を効率的に推進するために「診断支援システム」を作ったことがある。問診、検査項目から医者が実際に診断するアルゴリズムを内科便覧などを参考に構築した。

本社に実施案を上げて予算化する必要があったが顧問が「医者は信用できないからな。面白いじゃないか」と言うことで採用が決まった。

でも当時は今で言うノートパソコンでこのようなシステムが出来るとは思っていなかったようで自社のシステム部から「そんな事が出来るのか」とクレームが付いた。資料を持って説明に行き納得してもらったことがある。

当時もパソコンで健康管理システムを構築し販売している会社が23社あったが、使う立場でいろんな要望があり市販のシステムを買えば済む問題ではなかった。当時は98が主流だったが富士通の機種を選んだために余り汎用がなく、自社使用以外に5~6本売れたが、採用企業でソフトを変更する必要があり儲けの配分は残念ながらなかった。

その後、各社で新しいシステムが開発されているようだ。一度導入するとソフト会社とは切っても切れない仲になり、維持管理にカネがかかる。

ところで、医療支援として3年以内に医療診断支援システムの活用を目指すというが、開業医、病院でどう活用するのか。

今、医者に行くと「どうしました?」と問診票の記入を要求される。ペーパーに書く場合もあるが端末で入力する場合もある。ペーパーの場合は看護師さんが予め電子カルテに入力するので、医者の前に座ると画面に表示される。
くどくど説明する必要はない。この程度ならどこでもやっていることだ。

医者の診断支援と言うことになると、問診の他に検査項目、検査値、基準値との比較によって医者が実際にやっていることをパソコンのソフトで処理していくことになる。検査値の経時変化、CTなどの画像も処理されるがどこまで自動で出来るか。最後は医者の総合判断になるがそこの部分を支援し診断間違い、見落としのないように支援する事になるのか。

岡山県井原市で開業している医師が医者向けに「病名思い出し支援システム」を構築しソフト会社がシステム開発をやっていた。今どうなっているか分からないが先見の明があったと言うのか。

又、近いうちに薬局で採血し血液検査を依頼、出て来た結果を有料の診断サイトで診断すれば大まかな病名が推定できるようにでもなるのか。

医師法では実際に患者と向かい合っての診察になり「医者いらず」は医師法に反するだろう。でも実際に難しい病気は別として高血圧、高脂血など検査値に依存する病気では腎臓、肝臓疾患を除いては医者も高度な判断はやっておらず、検査値を見て薬の処方で終わっている場合が多いのではないか。

地方の基幹病院での出来事を思い出す。呼ばれて診察室の外のイスに座って待っていると、診察室内での様子が伝わってくる。医者が何か質問すると患者が応えているぼそぼそとした声とともにパソコンのキーボードを叩く音か聞こえてくる。ぼそぼそという声とキーボードを叩く音の繰り返しだ。

横に座っていた年輩の女性が「患者を余り見ないでパソコンばかりいじっていて診察は大丈夫なんですかね」と聞いてきた。「その心配はありますね」とこたえたものだ。

完全にコンピューターで管理されている医院、病院もあればペーパーのカルテと共用しているところもある。

行く行くは、医者の前のパソコンの画面に問診、検査値の入力結果が表示され、病気の確率、更に必要な検査項目が表示されるようになるのか。年配の医者で新しい医療情報を知らない場合や新米の医者で経験が浅い場合は役立つ診断支援システムかもしれない。


でも、医者はプライドが高い。採用する医者があるかどうかだ。GDPに貢献するほどの産業とは思えないが。

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