2015年11月21日土曜日

「投資を」、「賃上げ」vs「景気対策?」、「法人税下げ」:続く政権と経済界の駆け引き、一体需要はどこに

政権は「投資を」、「賃上げを」と要求する一方、経済界は「消費促進の景気対策?」「法人税下げ」と相変わらず続く政権と経済界の駆け引きに一体、需要を掘り起こすのは誰なのか。新聞報道によると、20日の経済産業相と経団連会長との会談も同じ内容だったようだ。

WSJに「今、アベノミクスの再考の時」と言われなくても日本人は誰でも思っていることだが、新3本の矢を放つも成長戦略に乗れそうにない。

当然だろう。やる気を起こしているのは政権側だけで民間はGDP600兆円なんて不可能とみているのだ。前提には名目成長率3%超という十数年経験したこともない成長率なのだ。

国民とコミットしない政策に成果など期待出来ない。

確かに政権が言うように円安、株高で業績の上がった企業もあり、異次元の金融緩和政策で内部留保は356兆円、預金は約200兆円になった。政府は内部留保から設備投資、賃上げをしたらどうかと言う。一方で経済界では「設備投資するにも需要がない」、「賃上げは労使で決めること」と反論する。

内需を拡大し企業の儲けを家計に再分配し、消費を上げ景気を支え税収も上がる。安倍政権だけでなく今までに中曽根政権をはじめ各政権が内需拡大を試みたが外需頼みの経済運営は変わらず今に至っている。

おまけに人口減もあって日本市場に頼れずMAで活路を見いだそうと生保関連が10兆円も海外投資するらしい。

ところで、新しい需要をどうやって掘り起こすのか。

一昔前、新規事業参入が話題になった事がある。帝人は「新規事業部」を設置し新しい事業基盤を求め事業展開したほどだ。しかし、後々まで経営の足を引っ張ることになったと記憶している。

新しい事業基盤を導入するより、従来の事業の延長線上での経営展開した企業は業績を上げる結果になった。その時の経験は今も忘れられてはいないのだろう。

麻生財務相が以前、経済財政諮問会議で「量的・質的金融緩和で銀行におカネが回っているが、そこから外にカネが流れないのが問題だ」と発言し、民間議員から「そこのところも議論しましょう」と応じたことがある。

その時は、銀行にしてみればカネを貸したい企業には必要なく、カネを借りたい企業は経営に問題がある企業とみられていた。

最近視聴率を取ったTBSの「工場ロケット」でも町工場が資金を必要なときに銀行が貸してくれない場面(このときは大企業から横やりが入ってのことだったようだが)があったがこう言うことは多いのではないか。

各政権が打ち出す成長戦略、規制緩和にはそんなに目新しい内容はない。政権は変わっても中央官僚は替わらず官僚頼みの政策には限度がある。出来ていれば既に出来ているはずだ。

医療、介護が成長分野と言うが新しい技術が開発されても応用は税金に頼るところが多い。介護にしても人員増など労働環境の改善には税金からの拠出が必要だ。毎朝、幼稚園や介護施設の車とすれ違うが運転しているのは間違いなく高齢者だ。人件費のことを考えると高齢者、アルバイトに頼らざるを得ないようだ。

「公的サービスを民間の資金、アイデアに頼れ」という考えが先の経済財政諮問会議でも出ていたが、新しい技術開発で事業を展開していくのであれば良いが、そううまくは行かないようだ。

しかし言えることは、新しい,質の高い労働力をどう再生産していくかを企業は真剣に考えるべきではないか。そう考えると企業ばかり儲かっていても仕方ないことなのだ。企業はどんな日本社会を描いているのか。


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