2017年8月14日月曜日

24時間社会は何をもたらしたか

人口減少日本でこれから何が起きるか。河合雅司さんの「未来の年表」(講談社現代新書 2017.6)での「24時間社会からの脱却」を読んで24時間社会が何をもたらしたかを考えてみた。

何時だったか忘れたが、歌舞伎町に電気が煌々と灯る24時間社会の街の出現は、凄い時代が来たものだと感心したことがあるが、反面大丈夫かと不安にも思ったものだ。案の定、マイナスイメージもつきまとった。

風俗産業の繁栄、性の乱れ、家出、不良化、不登校での子どもの受け皿となった裏社会、そして犯罪の温床と石原元知事が指摘していたことが実際になった。街環境の正常化に向け警察などが組織を上げて取り組み成果も出てきたという。

一方で、こういった深夜業に生活を求めるシングルマザーも見逃せない。午後7時頃幼い子どもを抱っこして街を歩く女性も多い。子どもがネオンを指さして「きれいだね」と母親に言っているような映像をテレビで見る事がある。

子どもを深夜の託児所に預けて母親が働いているのだ。朝になっても引き取りに来ない母親も居るという涙が出る番組を幾度も見たことがある。シングルマザーの生活苦はただ事ではない。

一方で、24時間社会を支える事業にも変化が出て来た。

コンビニ、ファーストフード店は24時間営業を基本に進出してきたが、従業員の過酷な労働、人手不足は事業を縮小しなければならなくなった。深夜の時間帯は閉店するのだ。時間給を上げてもアルバイトが集まらないとも。

まだ24時間開いているコンビニ店で聞くと深夜はお客が来ないという。それでもデリバリーがあるのだ。

経営者が面白いことを言っていた。これからは少子化、胃袋の数が減ってくるし、高齢者が多くなると胃袋の能力も落ちる。外食産業はやっていけないというのだ。

ネットカフェにも行ってみた。狭い空間にパソコン、ネットが出来るし食事、フロもある。でもこんな場所に何週間も生活するのは楽ではない。それでも利用する人は何か事情があるのだろう。

近くに宅配便の基幹支店があるが、早朝から社員が出勤し配達の準備をしている。過剰サービス、過酷労働、低賃金でクロネコが労働改善を目指している。通販などで便利さはあるが、配達業にとっては過酷な労働なのだ。

「便利さ」から「不便さ」を見直したらどうかと河合さんは提言する。

そうだろう。「便利さ」を求める裏では過酷な労働に犠牲を払っている多くの人たちが居るのだ。

24時間社会を見直し、もう遠くなった昭和のよき時代、道徳の行き届いた時代を取り返したらどうか。核家族は大変だ。

政府は「働き方改革」「人つくり改革」を新しい政策に掲げるが人気取りか。マイナス評価になるのだけは止めてほしい。


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