「政治家の発言の軽さ」は、従来から指摘されていたことではあるが、「撤回すれば終わり」の軽さなのか。麻生副総理兼財務大臣の「ナチス政権下のワイマール憲法」発言は世界から批判の声が上がり、本人は「その部分を撤回する」と囲い込み会見を開き、菅官房長官は「本人が撤回したのだから、済んでいる話」と火消しに躍起だった。
安倍総理も麻生発言を問われて「撤回したのだから終わった話」と取り合わない。開会した臨時国会での予算委員会を要求する野党に対しても「終わった話」ということで拒否される始末だ。
麻生総理はだんまりを決め込み嵐の過ぎるのを待っているのか。昨日の政府・野党の会議では公明党の山口さんが「閣僚は発言に慎重に」とくぎを刺したそうだ。
「もう終わった話」というが、どの部分が終わっているのか。
ナチス政権下でのワイマール憲法の部分だとすれば、「知らず知らずのうちに憲法改正」の部分は生きているのか。
責任を伴う政治家の発言にはいろいろある。
「真意ではない」と弁解する例は多い。それで責任を回避できるのだから政治の世界は不思議だ。
ところが政府の要職就いていると失言は辞任騒動になる。それにより野党は勝ち点を得るのだ。
民主党政権時、柳田元法務大臣が「3つのフレーズ発言」で国会を軽視しているとして辞任に追い込まれた。不信任決議案も提出されたのだ。
森さんも総理の時、「神の国」発言や「有権者は寝ていてくれた方がいい」発言で総理を早めに退く事態になった。
「女性は子どもを産む機械」発言で責任を取った大臣もいた。
小泉さんも「自衛隊が派遣される国が今安全か」と問われて、「安全かと問われて私に分かるはずがない」と答えて物議をかもしたが、大きな問題には発展せず、小泉さんだから仕方ないと野党は思ったのだろうか。
麻生さんには失言が多いようだ。第2次安倍政権でのアキレス腱は麻生さんの失言と言われていたほどだ。
「アルつファイマーでもわかる」発言もあったが、今回の「ナチス政権下でのワイマール憲法」発言はチョット異次元の暴言だ。
「撤回したから済んだ話」では終わらない発言だ。
G20など国際会議で、どんな顔をして出席するのか。海外からの批判が出てこないのか。
また、安倍総理が力を入れている憲法改正でも、「憲法・・・・・」と言えばすぐ麻生発言に議論が及び憲法改正議論が進まないのではないか。
早晩、麻生さんは辞任する羽目になると思う。
でも、私たちは「言ったことには責任を持て」、「一度口からでると消えない」と子どもの時から教わったものだ。
何故に政治家はそのことが分からないのか。政治屋として子どもの頃から苦労して育った経験がないからこういう事態になっているのだろう。
政治家の発言は重く、撤回しても消えないことを肝に銘じるべきだ。
[後記]
8月7日夜のテレビ朝日報道ステーションで、自民党の溝手新参議院議員会長けしからん発言をしていたことが報道された。
自民党の参議員が集まった会合で、多くの議員が誕生したことに触れ、「どうして通ったかと言うと説明しにくい点もあるが、安部総理が強ければバカでもチョんでも通る」という意味のことを発言したそうだ。
即座に「これはまずい」と思ったのか発言を撤回したそうだ。
この発言は、有権者を馬鹿にした発言、選挙という民主政治の手段を侮辱した発言であり、決して許される発言ではない。
(2013.8.7
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