2013年8月5日月曜日

小さな記事の大きな問題:総理の国会集中審議時間の削減検討

もう1ヶ月も前だろうか、新聞に10行ぐらいの小さな記事が掲載されていたが、内容は大きな問題だった。総理が国会の委員会に出席する時間が従来に比べ長くなったので総理の負担を軽減するために出席時間の削減が検討されるというのだ。

政府、与党が野党に国会ルールの見直しを呼びかけ、国会法の改正も視野に入れているらしい。

菅官房長官も「長い時間集中審議をやったが、国益を考えて妥当なのか」検証すると記者会見で述べていた。

「国益」とは何なんだ。

総理が国民に提案する政策、実行する政策について丁寧に説明することなのか、そんな時間を割いて首脳外交などに時間を当てることなのか。

朝日新聞(2013.4.17)によると、NHK国会中継がある集中審議が43時間にもなり最長になったという。82時間の予算委員会で半分の時間を出席しているようだ。

でも問題は審議時間が長いのではなく、その審議の内容ではないのか。

国会で質問する与野党議員は、総理の出席を要求する場合が多いのだろう。要求されれば憲法の規定で出席しなければならない。NHKの国会中継でもあれば地元へのPRもかねてその要求は強くなる。無理もなかろうとも思う。

しかし、その内容を聞いていると、各党が同じ内容の質問をしている。フリップを用意しての念の入れ方だ。

前の質問者の答弁に対して違った角度で追求するのではなく、同じ質問になるから答弁者も同じことを繰り返すことになる。それでも少しは違っているので、官僚が気を配って答弁書を書いているのだろうと思うことがある。

中には、滔滔と持論を述べ、質問への答弁は数十秒で終わる例もある。たとえば「先生のご指摘の通りです」式だ。

質問者も研究が足らない。昔は社会党に「爆弾男」と言われ、審議をストップさせることを生きがいにしていた議員もいた。

でもやっぱり安倍総理が国民に丁寧な政策の説明する機会は必要だ。ぶら下がり、囲い込み会見はやらないのは安倍総理の勝手であるが、今の安倍政権には考えただけでも重要な政策が目白押しだ。

ところが今は、国会審議を経ないままに「いつの間にか」政策が進んでいる気がしないか。先日開会した臨時国会も重要な審議はなしに、早々と閉めるらしい。9月末に開会される臨時国会まで何もしない。

重要な消費税増税への判断も臨時国会前に判断を下すという。すでに消費税増税は法律で決まっているが、景気次第で中断することが出来るのが附則第18条の景気条項だ。

臨時国会前に国論を二分するほどの政策を決めて、臨時国会で議論してどうなるというのか。

麻生さんの「ナチス政権下のワイマール憲法」発言が現実視される安倍政権なのだ。

要は、総理出席の集中審議時間が長いのが問題ではなく、その審議のやり方、あり方が問題ではないのか。

国民生活に大きな影響を及ぼす政策が続くのであるから、国民には丁寧な説明が必要だ。与野党ともに国会審議のあり方を見直すべきではないか。何人質問に立っても同じ質問の繰り返しでは聞いている方も飽き飽きだし、何の進展もない。


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2013年4月17日掲載
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