2013年8月6日火曜日

首都直下型、南海トラフ巨大地震を前震、前兆で予知できるか

論文が掲載されたnature
geosciennce
April2013Vol6,No4
首都直下型地震、南海トラフ巨大地震を前震、前兆で予知できるか。甚大な被害の発生が心配されている首都直下型、南海トラフ巨大地震を前震、前兆で予知できれば、それに越したことはないが、学会では地震予知は不可能という意見が多い。ところが特段に新しいことをしなくても可能だという論文が出て来た。

週刊現代2013.8.17/24合併号に「「南海トラフ巨大地震が来る」ネイチャーに発表された驚愕の調査結果」という記事が掲載されていることを知り、購入し読んでみた。

元の論文は、nature geoscience  April 2013 Vol6 No4のミシェル・ブション博士の「The long precursory phase of most large interplate earthquakes」で「ほとんどの境界型巨大地震の長期前兆段階」とでも訳せるのか。

その概要は、多くの地震は前兆が先行している。しかし前兆の発生メカニズムは不明だ。1999年~2011年の地震規模がM6.5以上、深さは50kmより浅い31個の地震から、プレート内地震に比べプレート境界型に顕著な差が見つかった。北太平洋のプレート境界型のほとんどの巨大地震は、本震に至るまでの数ヶ月間の地震活動の増加が先行している。また、プレート境界型では、2つのプレート境界で破壊する前に「ゆっくりとスリップし始める」と指摘している。この比較的長い前兆段階が境界の地震リスクを軽減しているという内容だ(この論文のアブストラクトの訳より)。

週刊現代の記事によると、大規模地震の前にはその震源の周辺で起きる小規模な地震が多発する。「この現象」を掴まえていれば巨大地震が来る可能性を事前に警告出来たはずだというのだ。

ブション博士によると、プレート境界型31個の地震を調査し、25個で本震の前に震源付近で地震活動が活発化し、前震が増加しているという。80%の確率だ。

我が国の研究者も3.11東日本大震災後に検証した結果、北の方から「ゆっくり地震」が南下し、止まったところが東日本大震災の震源域だったという報文を発表していたのを思い出す。

予知は難しいが、事後検証で「前兆があった」という報告はよく目にする。ではその辺をよく監視すれば良いのではないかと思うが、地震学者は自分の研究があるし、何時起きるか分からない事象をコツコツ続ける余裕はないのだろう。
予知は難しいし、警告を発した予知はほとんどが外れているが、皮肉なことに警告していない地震では当たっているのだそうだ。

それぞれの予知研究で、どういう数値が得られたときに警告を出すか。そこのところの実績が乏しいのではないか。

予知技術として、FM電波の異常、大気イオン濃度の上昇、地下水位の上昇、動物の異常行動などに加え、最近はGPSでの変動で予知する技術も出て来た。

FM電波異常、大気イオン濃度の異常から警告した例ではすべて外れ、その度にメデイアから遠ざかっていった。

大学の防災研究所が常時測定している地下水位の上昇が止まったので警告を発していたが、未だ地震波発生せず、いつの間にかHPからデータが削除されていた例もある。「地下水位の変動」は地震学者も認める前兆現象なのだが。

ただ、GPS測量による地殻変動データは理屈にも合うし、期待したい予知技術だ。

このブション博士の論文も事後検証の結果、前兆現象が見つかったと言うことだ。そういった検証は我が国の地震学者もやっていることだ。

ただ、発生が危惧されている周辺をコツコツ調査したりする研究者はいないし、前震か余震かは判断しかねるのは確かだ。

でも諦めてはいけない。我が国にはスーパーコンピューターがある。今巨大地震が起きる震源域は大体わかっている。その周辺で発生する小さな地震、スロー・スリップ地震を常時チェックしていけば何か分かるのではないか。

勿論、予期していなかった震源域で巨大地震が発生しているのも確かだ。だからこそGPS測量による地殻変動の常時チェックも一つの方法ではないか。



ブション博士の論文を読んでみようと思うが、特に新しい見解ではないのではないか。


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