2013年8月26日月曜日

消費税増税:どの道を選んでも安倍政権には厳しい局面が待っている?

消費税増税では、どの道を選んでも安倍政権にとっては厳しい局面しかないのではないか。経済財政諮問会議の集中会合が有識者を呼んで意見聴取が始まった。賛否が接近する中で、どの道を選んでも安倍政権にとっては支持率下落の可能性をはらんだ厳しい局面が予想され、長期政権などあり得ない話だ。

朝日新聞(2013.8.26)の世論調査では、増税賛成43%(前回とは13ポイントアップ)、反対49%(9ポイントダウン)で接近してきたが、まだ反対の方が高い。最近内閣府参与が言及しだした毎年1%ずつ上げる方法も反対が多い。

「消費税を上げると景気に影響が出る」と考えている人は77%(大いに、どちらかと言えば含めて)、一方「上げなければ社会保障に悪い影響が出る」が73%を占める。国際信用への影響に関する設問はなかった。

賛成するにせよ、反対するにせよ、そのデメリットを同時に考えて総合的に判断する必要があるが、多くのエコノミスト、識者の発言はメリットだけを論じている。

実際には、どの道を選んでも厳しい局面が続き「政権運営もままならず」となりかねない。

このまま停止せず増税に進んだ場合、社会保障制度維持のための財源確保、国際公約にもなっている財政再建、健全化への道も開けるが、心配している景気への腰砕けが起き、折角のアベノミクスの良い(?)効果がぶっ飛ぶことになりかねない。

最近の円安による輸入品の値上がりで食料品、電気代、ガソリン代など値上がりし国民の生活に負担が増えているが、ここに増税は更なる負担を強いる結果になり国民は裏切られたと感じれば、内閣支持率下落を始めるだろう。

増税は税収増がなければならないのは当然であるが、増税感で消費を抑制すれば成長など期待出来ない。

よく引き合いに出されるのが、1997年の消費税を3%から5%に増税後に深刻な不況になったことだ。

ところが内閣府、財務省は「消費税増税が主因ではなく、その後のアジア通貨危機、日本の金融危機が不況の主犯だ」とする資料を公明党の会議に配ったという。

でも、増税となると諸々の経済情勢を考慮しなければならない。今回も今まで世界経済を引っ張っていた中国、韓国の不況が顕在化しだしたし、何よりも米国の緩和縮小が何時始まり、国際経済にどう影響を及ぼすか、しっかり見極めなければ1997年の二の舞になるかもしれない。

前政権から続く増税路線は、やらなければ政権の信用を落とす結果になることを理由に挙げる学識者が多い。3党合意で決めたのだからやるしかなかろうというのだ。

一方、反対に増税を停止したらどうなるか。デフレ脱却途上にあって、成長の腰を折ることはないだろうが、増税を停止することは国際公約の財政再建の手段を放棄することで、政権の信用を落とし、国債は下落、長期金利の上昇が設備投資、消費に影響してくる可能性はある。

日銀も財政再建を強く主張しているが、国債の下落を避けたいためだろう。日銀だって国債が下落すると大量の国債を保有しているので、日銀の債務超過になることも考えられる。そうなれば大胆な金融緩和を進めている日銀の運営も厳しくなる。以前経済財政諮問会議でも日銀の財務の健全化も監視していかなければならないとの意見も出たことがある。

増税時の軽減税率、低所得者対策、法人税引き下げ、投資減税など増税しながら税収減の政策も同時に行う妙なことになりそうだ。

増税路線を進もうが、停止しようが安倍政権の命運は尽きる感じがするが。

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2013.8.13掲載

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