2018年7月16日月曜日

今時、まともなことをやっていたのでは政治/経済はやっていけないのか


今の安倍政権を見れば「正しいことをやっていれば政治・経済はやっていけないのか」という気になるが、このままいけば行く行くは民主政治を踏みにじることになることはわかっているが自民党は安倍3選で継続の道を選ぶようだ。政権交代しかこの動きを制することはできないが、今の野党では無理難題だ。

5年間の安倍政権を振り返ってみよう。

アベノミクスでの非伝統的金融政策、異次元の金融緩和に「入ったが出口が見えない」。

日銀政策委員の任期交代でリフレ派委員を増強したがこれも官邸の意向だ。今時アベノミクスに言及するのは安倍総理自身と側近のYESMANのみ、ポスト安倍は皆、批判的で見直しを主張する。

安倍総理が2%物価目標達成を主張するために出口戦略が出てこない。政治か、金融政策か安倍総理の頭の中はこんがらがっている。

戦略特区、規制改革で既存の硬い岩盤に風穴を開けるというが開けてみれば利得者は安倍総理の親友や懇意な人たちだ。通常の行政府による改革では遅々として進まないために勢い「安倍案件」で突破した結果が「モリカケ」問題で野党の追及が激しい。

加計学園の新・獣医学部新設も出来上がってしまったが中身はお寒いようだ。図書館一つとってみても蔵書がない。研究施設も稚拙らしい。学生は何で勉強するのか。喜んでいるのは交付金が増え経営が少しは楽になる加計理事長だ。

日本独自の外交が見えない。アメリカ頼みの外交、安全保障では行き詰まる。

北問題では役に立つかどうか不明な高額なアメリカの兵器の購入という国難にあっている。防衛費の伸びGDP1%枠も反故にし3%ぐらいになっている。トランプ大統領はNATO諸国に防衛費負担2%を要求している。日本も要求されるだろうが在日米軍はアメリカのためにあるのであって決して日本の安全を守ってばかりではない。それなのに「おもてなし予算」まで負担している。

日本外交は結局はカネをせびられて終わるのだ。小泉政権時、外務省で拉致被害者問題と取り組んだ田中均元審議官も「日本の独自外交、独自のパイプの構築」の必要性を問うていた。

日銀人事への介入で金融政策に狂いが出ていないか。

白川→黒田→黒田再任で日銀の独自性は失せている。審議委員も官邸の意向でリフレ派が占める。今回の黒田再任は、「異次元の金融政策の責任はお前が取れ」というメッセージなのだ。

当初80兆円の国債買い入れも今では40兆円にしぼんでいる。緩和縮小に向かっているのだ。マイナス金利は地方銀行の経営に大きな影響が出てきている。3メガバンクが人員整理とは驚いた。2%物価目標も先行きが見えず6回も先送りし今では明記せずだ。

米国は縮小→利上げのタイミングを狙い金融正常化に向かっているし、ECも2%は未達だが出口に向かっている。日本だけが政府の意向でかたくなに2%達成を目指している(?)。

内閣人事局は政府により悪用され官僚の忖度が根付いた。

当初は、官僚主導から政治主導へと制度の良さが主張されていたが安倍政権は悪用し行政をゆがめている。内閣人事局長は以前は内閣副官房長の政治家が当たっていたが今は、事務トップというが菅官房長官が実権を握っていることに変わりはない。

信賞必罰で政権に協力した役人は栄転の道が開かれている。森友学園で安倍総理夫人の悪行に協力した谷さんはイタリア大使館に栄転した。大阪地検特捜部長は佐川さん関連を不起訴にした功績(?)で函館地検検事正に上った。佐川さんだって長続きはしなかったが財務局長から国税庁長官に一時栄転した。

国民、識者の意見を聞くために○○審議会、○○懇談会、○○諮問会議を多く設置しているが内容はYESMANを集めての政策の方向付けを行っているために国会の審議を軽視する傾向にある。

その結果、反対意見は反映されず強行採決で安倍政権が押し切る悪い傾向が見える。

経済財政諮問会議を見ても総理が出席するため1時間20分程度の会議だが5~6件の資料が配布され担当者が説明、質疑応答がされる。すでに内容は決まっているようで形骸化し、最後は記者を入室させて総理が総括するが、ペーパーの棒読みだ。

政策推進に必要なデータの不正使用も見つかっている。働き方改革での労働裁量性枠拡大ではデータの不正使用が見つかり安倍総理が一部内容を変更する決断をしたほどだ。経済界からの強い要望で政権側が無理押しした結果だろう。

政策決定が官高党低で民意を反映していないとして自民党で改革が叫ばれている。岸田政調会長は組織の強化、浜田―小泉さんが国会改革で提言した。安倍三選もあり党内の動きも活発化しそうだ。

党首討論の使命は尽かさないこと。野党の質問に対して安倍総理の答弁次第なのだ。使命を果たすことができるかどうかは安倍総理次第であることは誰だってわかっている。安倍さんは「モリカケ」で追及されるのを嫌がっているだけだ。夫人の悪行が国民の前にさらされるのを必死に回避しようとしている姿は哀れだ。

国会の国政調査権の内容充実を。参考人、証人喚問で自民党国対は必至で関係者の証人喚問を回避しようとしているが、本質は安倍夫人の喚問を嫌がっていることにある。だったら、告発すればいいのではないか。検察庁が受理するかどうかだが検察庁も安倍官邸に弱い。

憲法改正は国民の要求事項では優先順位が低すぎる。それでも憲法改正がやりたいのは安倍総理の「自分が最初に改正に手を付けた」という実績がほしいだけだ。評論家の田原総一郎さんも同意見だ。安倍さんは憲法を知らない。岸元総理の「押し付けられた憲法」論をオーム返ししているだけだ。

国を二分する結果になるが、憲法自体の改正論でなく、自民党支持か野党支持かの選択に終わっては全く意味がない。自民党が圧倒的多数の環境下では憲法改正の審議は無理だ。

自民党の多数議席を悪用した政局運営は民主政治に反するが、こういう状況を作った責任は国民にある。

そして安倍政権の一番の誤解は安倍さんが指示されているとみていることだ。

世論調査のやり方にもよるが「安倍さんは信用できない」「他の内閣に比べてまし」という消去法での選択が大きい。今の状況では安倍さんでなくてもほかの総理での自民党政権ならいいということだ。政敵と戦うことをせず、潰していくことは安倍さんにとっては恐怖政治だろうが、自民党にとっては凋落の始まりに気が付いているのか。

安倍さんが万一3選を果たした時に国民はどう判断するか。


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