「又、バブル崩壊の足音が聞こえているのか」(朝日新聞2018.7.17 波聞風問)、サブプライムローン、リーマンショックから約10年、またバブルが崩壊する時が迫っているという。
7月西日本豪雨では多くの方が亡くなり、避難生活を強いられているとき、今の日本ではしゃいでいるのは「赤坂自民亭」の自民党トップ連中であり安倍3選を支持し3選後の利権を得ようとしている。EPAではアベノミクスのエンジンを加速すると総理は言い出した。何と能天気なのだ。
「緩やかな回復基調」という、好景気にもかかわらず物価が上がらない「適温経済」を背景に内外で資産価格が上昇している。
今の株価は18日で22794円(プラス96円)、NYダウ25119ドル(プラス55ドル)にひきつられ4日連続の続伸だ。ある評論家は30,000円になっても不思議ではないとはやし立てる。
ところがこういう好調の時こそ悪魔が潜んでいるのだ。好調なのは意外にバブルでそのバブルはいつはじけてもおかしくないのだが、好調な時はその分析がおろそかになる。
バブルがはじけて初めて「そうだったのか」ということになる。「それが歴史の教訓」なのだ(編集委員)。
波聞風問では「今の米国は史上まれに見る大バブル、崩壊は時間の問題、いつ起きてもおかしくない」という中前さんの分析を紹介している。この中前さんは1990年代の日本のバブル崩壊をいち早く見抜いたエコノミストらしい。
日本経済が好調な時は「バブルに過ぎない」というのだ。
FRBの元議長のグリーンスパンさんはその業績を評価されているがサブプライム問題、リーガンショック問題では処置を誤りA級戦犯扱いになった。
ところが読売新聞(2018.7.18)で「日銀もリーマン危機を想定できなかった」と当時の日銀政策決定会合の議事録から断定している。世界を揺るがせた危機の深さを総裁、審議委員ともにつかめていなかったのだ。サブプライム問題で世界経済の減速を受け東京市場も低迷していたが日本経済自体は景気回復局面で「緩やかな拡大基調」だった。
ベアスターンズ破たんは救済され株価は底打ち、楽観視されていたのだ。白川総裁(当時)自身も「最悪期は去った」、山場を越えたとみていたのだ。
得体のしれないリスクの認識はあったが大きな金融ショックが来るとは思っていなかったが、政策金利は利下げした。
当時の金融庁長官(?)の与謝野さんも「ハチの一刺し」と楽観的コメントしていたのを覚えている。
ところが、イギリスではエリザベス女王の何気ない一言に経済学者が大騒ぎしていたのだ。
朝日新聞(2012.10.11)の「カオスの深淵 危機読めない経済学」に面白い記事が載っている。
2008年、ロンドン大学経済政治学院の新築ビル開所式でリーマンブラザーズ破たんに始まる金融危機について「どうして危機が起きることを誰もわからなかったのですか」と居合わせた経済学者に問うが十分な返答ができなかった。「市場や世界経済について多くの警告はあったが分析は個々の動きに向けられ大きな絵を見失ったことが頻繁にあった。誰も全体を見ていなかった」と。
日本でも多くのエコノミストの中には異常を警告する者はいたが、ほとんどは「それ行けドンドン」だった。バブル崩壊のきっかけは後になっての検証で「あれだったのか」とわかる。
金利も安くカネ余りで銀行はカネを貸そうとする。事業はないので株、不動産資源に投資するからバブルが発生する。ところが銀行が「貸し渋り」に出るとバブルがはじける。
金融機関は訳のわからない住宅ローンのような不良債権を証券化し金融機関が信用を与える。その信用が崩れるときバブルははじける。当時のサブプライムローンは1000兆円、米国の住宅ローンはその1割程度の100兆円だった。皆一時的と楽観していた。こういう未知の出来事があったときは、過去の類似の現象を参考に行動するらしい。これを行動経済学という。日本は90年代金融危機で住専に6850億円の公金注入し危機を回避しようとしたが、米国は大手金融機関の破たんの道を選んだ。国際会議で日銀の白川総裁(当時)が日本を参考に公金注入をアドバイスしたがFRBは聞かなかったようだ。
サブプライムローン、リーマンショックから約10年、またまたバブルがはじけるのか。
バブル→崩壊→バブルを繰り返し世界経済はどこに収斂していくのか。
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