2015年11月19日木曜日

WSJ曰く「アベノミクスは政治的に人気でも経済的には効果なし」と

WSJが「アベノミクス、今こそ再考の時」と言うタイトルの社説を掲載した。安倍政権の打ち出す政策は政治的には人気でも経済的には効き目がない」と公約では巧言しても目標は達成出来ず、安倍総理は真の改革を推進しなければ首相自身が行き詰まってしまうと警告する(WSJ電子版 2015.11.17)。

アベノミクスは安倍総理が2度目に登板したときの経済政策で「3本の矢」を放ち日本経済再生へ、今までの政権との違いをアピールし国民、市場に期待感を抱かせ、異次元の金融政策は当初効果を発揮し円安、株高基調に移すことが出来、安倍・自民党政権は信頼を取り戻したかに見えた。

確かに第一の矢の異次元の金融政策は日銀が量的・質的金融緩和政策をとったことで動きの鈍かった市場が反応し経済は一気に動き出したかに見えた。

しかし、第2の矢の財政政策は1000兆円、対GDP比200%を越えの借金を抱えて財政再建も喫緊の課題になり国土強靱化での公共投資もままならず、第3の矢の規制緩和も既得権益者、官僚の抵抗に遭いドリルの刃となって規制に風穴を開けることも難しい状況だ。

これじゃまずいと思ったのか、今度はGDP600兆円などを含む「新3本の矢」を放ったが、600兆円の達成など考えられない。前提となる年間3%を超える名目成長率などここしばらく経験したことがないが成長率を2020年までに達成するというのだ。

日本のメデイアはタブロイド判や週刊誌を除いて、個々の政策については論評するもアベノミクスを否定するような論調は見えない。

安倍政権の政策にお墨付きを与える経済財政諮問会議だけは、安倍総理の前で「アベノミクスの成果」に言及するだけだ。しかし、子育て支援、少子化対策などで民間議員から政策の提言があっても「アベノミクスの成果」を財源にすることは無理らしい。

アベノミクスと言えば、アメリカでレーガン大統領が「減税で税収増」の経済政策を採用しレーガノミクスと総称したのを思い出す。安倍総理も総理になる前に誘われてリフレ派の勉強会に出席し「市場にカネを流す」異次元の金融政策を大々的に訴えた。アベノミクスとは元自民党幹事長の中川さんが名付けたという話だが、レーガノミクスは国民に取っては巧言となったが経済面では失敗した。現在の税率が高いのか低いのか分からないままの減税では効果も出てこない。

アベノミクスも同じ運命をたどるのだ。そこで「今こそ、アベノミクスを再考せよ」と言うことになるのだ。

WSJは日本経済を次のように分析する。

日本は過去7年間で5度目のリセッションを経験、安倍総理になって2度目のリセッションで経済は停滞している。この停滞に終止符を打つには「アベノミクスの再考」が必要と言う(WSJ)。

財政出動、金融政策も債務残高はGDP比250%、日銀は80兆円の国債購入しFRB以上に急進的な量的緩和だが銀行は融資を増やしておらずデフレが続いている(WSJ)。

構造改革では電力、ガスの自由化、TPPの大筋合意、企業統合指針の導入、消費税の8%への引き上げ、子育て支援、社会保障の充実などを打ち出してはいるが政治的には人気があっても経済的には効き目なしと断言している(WSJ)。

更に労働契約法の見直しに失敗し、2層式の労働市場の効率の悪さは深刻で最近の雇用拡大も非正規従業員の増加によると言う(WSJ)。非正規従業員は40%をしめるのだ。

更に、日本企業の内部留保にも言及し、約300兆円に達しているが、この数字は経営者が利益につながる投資を見いだせず、将来について如何に悲観的かを物語っているという(WSJ)。

確かに企業の内部留保は356兆円、預金は約200兆円とも言われている。これを見て麻生財務相は「次は財政出動ではなく民間出動だ」と記者会見で言っていた。政府の政策に頼らず民間が設備投資に励むべきだと言うのだが、ある経営者は「需要があれば借金してでも設備投資はする」と反論していた。

海外生産設備への投資、人口減を見込んでの海外でのMAは増えているが、国内投資は低調、日本での投資、海外からの日本市場への参入を促すため法人税を20%台に落とす政策も早めるという。しかし、企業規模にもよるが租税特別措置法で実効税率はすでに20%台になっている。規模で恩恵を受けない中小企業が苦しんでいるのだ。

メデイア各社の世論調査でもアベノミクスへの信頼は低い。
WSJは、安倍総理は真の改革を進めなければ、近く、総理自身が行き詰まることにもなりかねないと警告する。

3本の矢の経済政策の次に安保関連法に取り組み、そして今度も経済政策で新3本の矢を放った。でも政治的人気も出ないし経済的な効果も心許ない。野党が要求する臨時国会を止め外交に精出す安倍総理も政策に手詰まりを感じているのではないか。


安倍総理が行き詰まりを認めたときが総理交代の時だ。野党政権は無理だろうから自民党内での総理交代だろう。3年後の総選挙では遅すぎる事を考えると、政権のたらい回しか。

2015年11月18日水曜日

「イスラム国」への対テロ対策:もう自由主義(アメリカ)vs社会主義(ロシア)の時代ではない

ISによるパリ同時テロは一般人を巻き込む驚愕のテロ事件となったが、オランド大統領をして「フランスは戦争状態」と言わしめた。内戦やテロ対策を自由主義vs社会主義、言い換えるとアメリカvsロシアの構図で対応する時代は終わり、各国が連携した対応を迫られることになった。

国連の安保常任理事国は、自由主義国であるアメリカ、イギリス、フランスvs社会主義国であるロシア、中国が拒否権まで持ってあらゆる局面で対立する政策をとり解決どころか混迷を深める結果になっている。

シリアで続く内戦は自由主義政治を求めて反体制派をアメリカが支援すると、反対にロシアはアサド政権からの正式な要請を理由にアサド政権擁護で軍事行動に出た。

内戦に苦しむシリア難民はヨーロッパ諸国、特にベルギー、フランスに移り住んだが、仕事などでの差別は大きく生活は苦しかったようで社会不満は高まっていた。そのはけ口として変質したイスラム教に頼り、今回のようなテロ事件に発展していった。

フランスのオランド大統領が今回のパリ同時テロはシリアで計画、ベルギーで組織、フランスで実行と発表した。テロ行為はこれが最初ではなく、1月にもパリ・テロ事件が発生、新聞報道によると情報や予兆は掴んでいたようだが残念ながら防止には至らなかった。

一方、アサド政権を支援し軍事行動を行っていたロシアは、反体制派の拠点も空爆する荒技に出た。ロシア機の爆発事故に遭いながらなかなかテロを認めなかったが、やっとテロによる爆発であった事を認めた。

更に、 S国は「次の標的はワシントン」と公言し、オバマ大統領はシリア難民の受け入れを制限するという。

ここに至って、IS国は自由主義国、社会主義国の区別なく標的にすることが分かり、関係国が連携しテロに対峙する必要が出て来た。日本だって安倍総理の中東訪問時、避難民を支援するために出資を約束したがISは「十字軍に参加した」と日本も例外ではないことを公言している。

こういう事態になっても国連の潘事務総長の調停の動きは鈍い。国連の本来の役目を果たせていないが、こんな事務総長を選んだことにアメリカの責任もある。今までの事務総長が力を発揮したことを嫌いアメリカが弱い事務総長誕生に動いたようだ。
その結果、シリア問題でもアメリカが有志連合を結成しシリアのアサド政権に対応することになったが、それにつけ込んでロシアがアサド政権の支援に回ったのだ。

ベルギー、フランスでのイスラム移民社会にテロのネットワークが出来ていると言うから恐ろしい。IS国が窮地になれば大きなテロ行為で存在感を誇張することになるのだろう。COP21も危ないと言われている。

テロ対策は国連を中心に、アメリカvsロシアの構図ではなく加盟国が全力で対応しなければならないが、本質はシリアの国内問題をどう解決していくかだ。

自国民が内戦で国外に逃げている現状を政権は良いとでも思っているのか。権力闘争ではなく、国民の生活を安定させることが第一なのだが。貧困での格差拡大も重要なテーマだ。

そしていつものことだが、情報や予兆に対しての取り組みに不備があったことも明らかになった。情報収集の確度を如何に挙げていくかが課題だろう。


2015年11月17日火曜日

民主党の不思議:前原、細野さんvs岡田さんvs労組系議員で迷走か

民主党って不思議な党だ。自民党からの政権奪取という勢いで集まった連中だが、自民党一党独裁打破へ野党が結集しなければならない時に、前原、細野さんvs岡田さんvs労組系議員の思惑違いで迷走状態だ。一時、期待を背負った民主党政権の不甲斐なさが国民の支持を取り戻すコトにつながっていない。

5~10,15人規模の6~7グループで構成されている民主党だから多数グループがない代わりにまとまりが悪い。党をまとめるリーダーがいないのだから迷走するのは当然だ。何か提案されるとその裏をかき前に進まない。

総理経験者だって不甲斐ない。鳩山さんは、あの調子で勝手なことをやっている。民主党の評判を落とすのも当たり前のことだ。菅さんも一時の市民活動家としての評価は落ち、選挙に苦労しているのだから党内での発言力はない。野田さんに至ってはあの時の解散総選挙で政権の座を追われた。離党者が相次ぐなかで松野さんが維新の会入会の橋渡しをしたものだから松野さんが代表をしている維新の党と合流することには抵抗しているのではないか。

そんな状況下で、前原さん、細野さんが民主党解党論を打った。保守系だから労組系との共存は好まないのか。解党して保守系が再編するコトを狙っている。でも、岡田さんが「執行部はオレ」と反対を表明、前原さんらにクギを刺した。

でも、そこまで言われてどうして離党しないのか。離党して野党保守系が合流する手もあるのではないかと思うが、そこまでの力はないのか。

一方、岡田さんは野党再編でも民主党を中心にした再編を考えているようだ。最近の新聞報道で「維新の党と統一会派」構想が出て来た。しっかり野党が結集し参院選に自民党と対峙する腹づもりだ。岡田さんも保守系議員だが何故か民主党に拘っている。

ところでダンマリ戦術を決め込んでいる労組系議員はどうしようとしているのか。労組系出身議員だから票を当て込んでいるのは確かだが、解党し新しい党を作っても離合集散が続き選挙の度に議席数を落としていく運命だろう。どうしても社民党が頭をよぎる。

保守系議員が出て行って自分たちは民主党に残ることが最善の選択とみているのか。

いずれにしても民主党そのものは存在させることを考えている。でも、解党論を打つ前原さんや細野さんは民主党が存在しては選挙も戦いにくく嫌なのだ。民主党がなくなることがスッキリして良いのだ。

労組系議員が頼る労組も組織率は落ち込み、連合の前会長の古賀さんも退任間近に解党論を打ったが、ハードルの高さを言うことも忘れなかった。

勢いに乗る共産党が安保関連法廃止に向け連合政権構想を野党に持ちかけているが、民主党は前原さんら保守系議員が反対しているという。

共産党は思い切った提案をしてきたが、今後は共産党vs反共産党での野党再編にでもなるのか。

とにかく不思議な迷走を続ける民主党に未来はないと思うのだが。
 



2015年11月16日月曜日

財政出動派のクルーグマン教授が、そのコラムで財政緊縮派を皮肉るか

クルーグマンコラム「緊縮の悲劇 予想を超えた」
朝日新聞 2015.11.13
こういう時は財政赤字を気にせず、財政出動すべきだと主張し続けたクルーグマン教授がそのコラム「政策転換の教訓 緊縮の悲劇 予想を超えた」で緊縮財政派を批判している(朝日新聞 2015.11.13)。不況時の財政赤字は有益で有害ではないことがわかっていたのに、経済学の基本と違って何の証拠も分析もせず財政赤字を心配するようになったと言う。

財政赤字は危険だという考えが出てきて緊縮政策に走り雇用、生産を短期的に押し下げたが、クルーグマン教授も想定外の長期的な成長を損なうことになった。緊縮財政は財政面だけ見ても自滅を招く政策で、不況にもかかわらず財政支出を削減した国は、国内経済を痛め、将来の税収にも打撃を与え国の借金さえ増えてしまうというのだ。

経済学はどう教えているか、Daniel B.Suitsの「スーツ経済学原理(上)」(学習研究社 1978.11)を開いてみた。

それによると、「財政政策と財政赤字について、雇用と所得を無視して予算を均衡させようとする試みは経済の不安定性をもたらしやすい。税収は総需要とともに自動的に増減するので、予算を均衡させようという政府の措置は経済の安定化に必要なこととは正反対なものになることが多い」というのだ。

今、IMFは財政破たんした国を救済する代わりに緊縮財政を要求する。ポルトガルはIMFの要求通りやったが、国内経済は疲弊、国民の不満は高まるばかりのようだ。

ギリシャもIMFの緊縮政策を受け入れ緊縮財政をとっていたが、総選挙で反緊縮派が勝った。国内経済に疲弊、緊縮財政に反対したのだが、新しく反緊縮財政の政権ができたが、IMFなどは救済する代わりに緊縮財政を要求したため、破たんか救済かの選択の国民投票で救済を受け入れることになった。

中国は、2008年のリーマンショック後、4兆元(50兆円を超える)の巨額投資で成長率7%以上を確保、世界経済をけん引したように見えたが過剰生産設備、雇用不足でバブル崩壊、世界経済の減速を招いている。

共産党一党独裁政権で「市場の見えざる手」に任せることは無理なようだ。中国は新常態への移行期というがクルーグマン教授はどう見るか。

我が国も財政再建と成長戦略は日本経済再生の車の両輪と言い、先進国一悪い国の借金のため財政再建も喫緊の課題にしている。政府、日銀は異次元の金融緩和で市場にカネを流し企業に設備投資を促すが内需不足では経済界も動きが鈍い。

クルーグマン教授は以前日本にも「赤字財政を気にせず、ここは財政出動だ」とアドバイスしていた。

IMFなどは各国に財政の正常化を要求している。クルーグマン教授の言うようにはいかない。

「この緊縮財政という壊滅的な政策は、長期的な責任の名において行われ、間違った方向転換に反対した人は無責任だと退けられた」とクルーグマン教授は皮肉った。

ある経済学者が言っていた。「経済学は実験することができないから難しい」と。一旦政策を決めて実行し、万一失敗すると取り返しのつかないことになる。

「重鎮がみんなそう言っているから」と政策決定する方法はよくないと、緊縮財政を批判、米国でさえ危機前に比べ現在の状況ははるかに悪いとも言う。

ところが今、猫も杓子も緊縮政策だ。クルーグマン教授の言うように財政赤字を気にせず財政出動する国は見当たらない。だから財政出動していればどうなったかはわからない。でも内需拡大ができず経済は停滞したまま赤字だけ溜まることにもなりかねない。


クルーグマン教授は最後に、「間違ったことを認めようとする人物が如何に少ないことか」と嘆くが、クルーグマン教授はどうなるのか。

2015年11月15日日曜日

製造業の付加価値の50%を稼ぎ出す中小企業の経営環境はよくなっているのか

東京・大田区役所3階の「テクノコモス」
大田区にある中小企業が作り出す約840種の製品が
ワイヤーで天井からつるされている
小さなものではネジから大きなものではロケットの先端部
など見ていて圧倒されそうだ。
日本経済の基盤を形成し、全企業数の99%超、従業員数の70%で製造業の付加価値の50%を稼ぎ出す中小企業の経営環境はよくなっているのか。

リーマンショック後のテレビが伝える中小企業の惨状はひどいものがあった。当然景気が悪いことを伝えるためのテレビ局の思いもあっただろうが、ほとんどの機械が止まっている薄暗い町工場の中で経営者1人が1枚のファックスを掲げ、今日はこの仕様で1個の生産だ。断ると注文が来なくなるから損してでも作らざるを得ないという。

そのうちに景気も良くなったのだろう、仕事は増えてきているが単価は以前のままで儲けはない厳しい状況だとも言う。単価は落とされたまま数量が増えてきたのだ。仕事があること自体を喜ばなければという訳か。

円高で輸出産業は現地生産のため海外へ出て行った。当然ながら部品供給会社も出て行くことになる。日本で生産して輸出では話にならないのだ。ところが今、円安効果で国内回帰の動きもあるが一旦出て行った生産設備を取り戻すことは無理のようだ。国内の設備投資は低調でも海外での設備投資は好調のようだ。

安倍政権は安倍ノミクスの成果を出そうと法人税下げの代わりに経済界に賃上げを要求、大企業は応じる姿勢を示すが中小企業は素直には応じられない状況もあるようだ。

今、中小企業はどうなっているのか。

商工中金の「中小企業の動向(2015年秋号)」によると、10月の中小企業の景況判断指数は48.7で2か月ぶりに低下したが製造業は横ばいでも非製造業は低下した。11月の予測は木材・木製品、輸送機械、建設では50を超えると見ている。木製品は需要増から販売価格が上がっているが、鉄鋼は価格が大幅下落、トラック輸送は運転手不足で売り上げが伸びないようだ。

売上高も9月は前年同月比で+0.6%だったが10月は減少と見ている。販売価格も8月以降、3か月連続で「下落」という。

採算面では10月は悪化が拡大した。資金繰りは悪化幅が縮小に向かっている。生産設備では10月は過剰感が拡大だ。雇用も不足感が緩和されているが、飲食店、宿泊、情報通信、トラック輸送、建設では不足している。景気が良くなった半面厳しい労働環境の職場は敬遠されているのか。

日本商工会議所の「中小企業の現状について」(2014年9月29日)の参考資料を開いてみた。

中小企業を取り巻く環境では、仕入れ、電力料金などのコスト増が収益を圧迫、人手不足の影響が広がるほかに人材確保のための賃上げの負担増も加わり景況感は業種によってはまだら模様だという。

賃上げは54.6%で実施し半数を超えたが、まだ未定が28%ある。人材定着やモチベーション向上のために賃上げは必要という。

消費税引き上げ分は約9割が転嫁できているというが、売上高が低いほど転嫁できていないらしい。売上高1千万円以下では転嫁できているのは20%という。

コスト増の販売価格への転嫁状況は、人件費は94.2%、燃料費は93.9%、電力料金は92.2%の企業が全く転嫁できていないという。

政府は賃上げを経済界に要求しているが、販売価格への転嫁が無理ということはそのまま収益に影響することから考えて、日本商工会議所会頭が「経営者の判断次第」と言っていた理由もわかる。

原材料の仕入れ価格については84%の企業が販売価格への転嫁ができていない厳しい状況にあるようだ。中小企業は円安効果も利益率は小幅な改善で、むしろ多くの中小企業はマイナス要因と見ている。

労働分配率、労働生産性も、資本金1億円未満と以上の企業では分配率に大きな開きがあるし、労働生産性では約2倍の格差がある。

結構厳し経営環境がわかったが、更に大企業の「値下げ」交渉にも応じなければならないのだ。

新聞報道によると、トヨタが下請け部品メーカーに対して半年に一度の値下げ交渉を始めたという。1~1.5%の値下げを目指しているらしい。トヨタに言わせれば「カイゼン」で無駄を省けばコストは下がるというのだ。

今まで値下げを見送っていた分、下請けは利益を上積でき賃上げで家計は潤っていたとでも言うのか。今はあまり聞かなくなったが、トヨタの「かんばん方式」は無駄を省く生産方式として国内は勿論海外からも注目されたが、言い換えれば下請泣かせの生産方式で評価はまちまちだ。在庫は下請けに持たせるが、集中豪雨などで道路が寸断され交通が乱れると部品の供給ができず生産ラインを止めなければならない事態にも至った例がある。「それ見たことか」と思った下請けは多かったのではないか。

トヨタの場合は自動車産業ですそ野が広い、1次仕入れ先450社、2次が10,000社、3次を入れると数万社に上るという。その影響は大きい。

トヨタが数兆円の最高営業利益を出したというニュースが流れると、下請けがいじめられた結果だと思いたくなる。

私の住んでいる大田区は中小企業の集まった地域だ。「下町ロケット」、冬の競技に使うソリ(正式な名前を忘れた)の開発でも有名だ。毎年中小企業が集まった「おおた工業フェスチバル」も開催されている。

チョッと古いが、平成20年の資料によると、工場数4362社(ピーク時は9190社)、従業員数35741人(ピークは昭和60年)、製品出荷額は7796億円という。

大田区役所3階のホールに上がると大田区の企業が作り出している小さなネジからヘラで作り出す大きなロケットの先端部など約840製品が天井からワイヤーでつるされている。

また、一度「おおた工業フェステイバル」を取材し、オーマイニュース(今は廃刊)に「街工場の技術を支える若者たちのネットワーク」という記事を投稿したことがある。若い技術者たちが定期的に集まって、大学の先生も加えて新しい課題に挑戦しているのだ。

中小企業の活性化なくして日本経済の再生などあり得ない。安倍政権も大企業優先の政策ではなく中小企業を育てる政策に力を入れるべきだ。


2015年11月14日土曜日

大阪W選(1):この機に及んでも橋下頼りの維新か

22日の大阪W選に向け大阪は熱く燃えている(?)のかどうかは分からないが、「おおさか維新の会」の候補者が「橋下頼み」では将来が思いやられる。大阪に住んでいないが大阪W選の結果は気になる。もう「維新」のゴタゴタを国政に持ち込まれることにはうんざりなのだ。

未だ、カリスマ(?)政治家・橋下さん頼みの特異な政党の存在感を疑うのだ。自民党ではなく、安倍総理や菅官房長官との繋がりだけで大阪府民、市民は松井さん、橋下さんに期待しているのか。

橋下さん、松井さんで大阪はどう変わったのか。平松市政での労組優遇策の見直し、不祥事が続いているようだが校長の公募制、そして府政、市政の二重行政での無駄への取り組み(?)、関西経済の地盤沈下対策での「大阪都」構想での先の住民投票等が新聞報道などで分かる程度だ。

でもこの「大阪都」構想は橋下行政の目玉政策だ。先の住民投票では僅差で否決されたが、今回の選挙戦で再び提案している。大阪府民、市民が二度目の提案にどう判断を下すか。

関西圏の経済の地盤沈下は続くが大阪府政、市政の二重行政による無駄を省いて、そのカネで地盤沈下対策に取り組むと言う背景に「大阪都」構想があるが、大阪都にしたからと言って地盤沈下を回避することは無理だろう。

維新の分裂騒ぎも迷惑な話だ。日本維新の会→維新の党→おおさか維新の会の工程には、みんなの党、太陽の党、結いの党がくっついたり、離れたりを繰り返した。石原さん、渡辺さんとにこやかに握手していたかと思ったら犬猿に仲になり、最後は維新の党を残したまま、おおさか維新の会結成、地方政治に軸足を移しながら国政を目指すと言う。

おまけに維新の党とは政党交付金のぶんどり合戦をやっている。預金通帳と印鑑を持って行かれたとか、片山さんが持参金を持って行ったとか銭ゲバ闘争で裁判に持ち込むらしい。

今回のW選も大阪都構想を評価する安倍官邸vs反対の自民党大阪府連、維新の党、共産党で自民党は大物議員を総動員するらしい。当初、自民党大阪府連は安倍官邸に疑いの目を持っていたが安倍官邸は際だった動きはしないようだ。

だからW選は橋下頼りにならざるを得ない。橋下vs既成政党と言うことになる。これで万一大阪維新の会がW選を制したとしてその後の府議会、市議会対応は良いのか。又、府知事は松井さん、市長は自民党では大阪府、大阪市は上手くやっていけるのか。

大阪だけでゴタゴタしているのはいいが、国政に持ち込まれるのは御免だ。野党再編をするならするで大阪維新の会は置いといて進めるべきだ。橋下さんは政治家を辞めると言っているが、何らかの形で残りたいようだ。だとすると又、振り回されることになる。その選択は有権者の判断にかかっている。


14日、5時51分薩摩半島西方沖地震、M7,震度4:津波も30cmを観測

5時51分 薩摩半島西方沖の地震情報
気象庁 2015.11.14
起きてラジオを入れると地震のニュースだ。5時51分、「九州地方で震度4の地震発生,津波に注意してください」という。急いでNHKテレビをつけると「震源は薩摩半島西方沖、深さ10km、M7.0」「九州で震度4,津波注意報」が表示され奄美の中継画像が出ていた。

NHKニュース 2015.11.14
そして津波注意報の発せられている海岸線と午前6時10分1mの津波到着予想が出ていた。

NHKは、「海岸には出ない」、「見に行かない」、「海岸での作業は止める」などの注意事項を報じていたが、これでは実際の震源地が分からない。他の局はどうかと思ってチャンネルを回すとNNNニュースが地図で震源地と各地の震度を表示していた。

黒丸が今回の震源域 多くの活断層が散在する
SAPIO 「活断層&活火山最新ハザードマップ」
に記入してみた
九州地方では南西諸島海溝付近でエネルギーがたまっているとみられ、巨大地震が心配されている南海トラフ巨大地震の震源域とは反対側で、気象庁地震情報では枕崎から西南西160km付近という(大体の位置を図示)。この付近は発生確率が「高い」「やや高い」と評価されてはいないが、改定に数多くの活断層が散在する場所だ。

南海トラフ巨大地震(M8~9)、日向灘プレート間地震(M7.6)への予震ではなさそうだ。

津波も注意報が出て54分後に中之島で30cmを観測、7時20分に解除されたが、200km弱の速度で押し寄せたことになる。30cmの津波は危険な津波で命を奪われることにもなる。

5時51分の本震の後、6時17分にM5.1,震度2,6時36分にM4.3,震度1そして7時20分に震度1が発生している。Tenki.jpで過去の地震を調べたら年に数回は発生しているが、薩摩半島西方沖地震の震源域は広い。

この付近の地震を誰か予測しているか調べてみた。

東大名誉教授で測量学の村井先生はGPS測定値から異常をはじき出し「異常変動全国MAP」を公開している。4cm以上の変動があれば「警戒ライン」としているMEGA地震予測によると、近くに九州・南西諸島警戒ゾーンがあり屋久島では7.6cmの変動があったと言う。
又、「さざ波雲」の観測からM5以上の地震が来ることを警告している総合観測センターの斉藤さんは「奄美大島~大隅半島沖」で地震が起きるリスクが高まっていると警告している。

いずれにせよ発生時期は当たっていないが各種の研究では危険地域になるのだ。

起きて直ぐ驚かされた薩摩半島西方沖を震源とし30cm(予想は1m)の津波を伴った地震だったので調べてみた。