2013年3月28日木曜日

立川断層帯掘削調査:コンクリート片を断層と思い込んだか

「横ずれ型」ではないかと発表
2013.2.26
テレビ朝日 報道ステーション

東大地震研の立川断層帯掘削調査で、「横ずれ型」の可能性が高いと見ていたが、人工物を断層と思い込んだ間違いだったことが分かった。東日本大震災後、地震発生確率が高まったと考えられている立川断層(M.4)であるが、市街地の下を通る断層で不明な点が多かった。

2月の掘削現場見学会で白い粘土層は断層が横方向にずれている断層と見ていたが(2013.2.26テレビ朝日報道ステーション)、詳しく調べた結果、人工物であったと28日、東大が訂正した(2013.3.28TBSテレビ ひるおび)。しかし、断層が走っていることは間違いないらしい。

立川断層は、飯能市から青海、立川を通り、府中まで続く約33kmの活断層で、死者2600人、負傷者31700人、建物被害85700棟と被害想定されている。

発生周期も見方が違って、都の調査では約2万年の間に3,4回活動し、前回が千数百年前と見られ地震の発生の可能性は低いと見られる(讀賣新聞2013.3.10)一方で、発生周期1万年くらいで繰り返す間隔なので、現在ほぼその1万年ぐらいに当たると言う説もある。

政府の地震調査委員会は2003年、地震規模M7.4,30年以内の発生確率を最大2%とし「やや高いグループ」に属するという。文部科学省が昨年から重点調査観測を始めたが、今回の結果はその途中経過なのだ。

テレビニュースを見ていても、見学者から「人工物では」と言う発言もあったようだ。確か日産自動車の工場跡地ではなかったか。

ここ立川市へは1回取材で訪れたことがある。

駅周辺は混んでいるが、結構空地も目立つ街だ。広域防災基地、国立病院東京災害医療センターがあり、震災時は官邸が引っ越してくるようになっていると聞いたことがある。

その真下を立川断層が走っていると見られているのだ。大丈夫かと疑いたくなる。

28日の東大地震研の会見で、「完全に催眠術にかかったので分からなかった。それが落ち度で、誤った判断をした」と謝罪した(2013.3.28 TBSニュース23)。

「活断層がある」との思い込みが強かったのだろう。土木技術者からコンクリート片の指摘があったという。いろんな分野の研究者が参加し、慎重にやるべきではないか。
立川断層帯地震M7.4
東京都が公表した震度分布図
読売新聞 2013.3.10

2013年3月27日水曜日

高裁VS国会:「1票の格差」の攻防

テレビ朝日 報道ステーション
2013.3.26
高裁vs国会、「1票の格差」の攻防が続く。清き0.5票、0.7票がどれほど重要なのか。弁護士グループが「法の下の平等」で憲法違反と訴えると高裁は違憲、無効判決を出すが、国会は最高裁が否定した一人別枠制に基づく「0増5減」を主張し、選挙制度改革を進めようとする。

法的に今の選挙制度、選挙区割りは、人口が増える地域と過疎地域を比較すると、有権者1票の格差が大きすぎるため、憲法14条の「法の下の平等」に反するとして、選挙は無効であると訴えることは面白いテーマかもしれないが、実際にどんな不都合が出ているのか。

最高裁は2011年に1人別枠の廃止と、最大格差2倍未満の判断を下した。

しかし、昨年暮れの衆院選では、2倍を超える選挙区が45から72に増加し、国会の遅々として進まない選挙制度改革の状況を各高裁は、最高裁の違憲審査権無視とみた。

広島高裁および岡山支部の「違憲、無効」、「即無効」判決は、一部予期されていたとはいえ、原告弁護士グループも「画期的」と興奮するありさまだ。

国民にとって選挙制度の改革は望むところだ。

多すぎる国会議員数の大幅な削減、わかりにくい選挙制度、小選挙区で落選した候補者が比例区で復活する不思議、選挙区を持たない国会議員、比例区でないと議席を確保できない弱小政党への優遇策など改革が必要だ。

そしていつも問題になるのが、過疎地域の声をどうして政治に生かすかだ。そこに人口比例に優先して1人別枠制などの妙案(?)が出てくるのだ。

最高裁から廃止の判断が示されたが、1人別枠制に基づいた「0増5減」が進められ、山梨、高知、徳島、佐賀の定数が1減となる。

新聞報道によると、国会は衆院選挙制度改革草案として、審議会の「0増5減」の提言を受け、区割り作業に入る予定だという。

民主党政権の時、単純に人口比例で「21増、21減」が提案されたことがあるが、民主党内の大反対でひっこめられた経緯があるらしい。

国民は大胆な制度改革を望むが、国会議員は自らの地位を確保するために喧々囂々の議論(?)をし、結果は変わり映えしない数合わせの改革に終わっている。

そこで、制度改革を第三者委員会に託す考えが出てきた。

先の選挙制度改革は、イギリスのように政権交代が容易な二大政党制だったが、2009年の政権交代、民主党政権のふがいなさ、そして2012年の自民党政権復活で二大政党制も理想の制度ではなかった。

今度の選挙制度改革は、どんな制度改革になるのか。各政党から自分の政党に有利な制度を主張する委員を推薦することになると、これも変わり映えしない可能性が強い。

今いる国会議員が全員居座れる選挙制度なんてありえないのだ。

超巨大地震でも発生し、社会全体の改革が必要となると変わる可能性もあるが、しばらくはこんな連中でも飼っておかなければならないのだ。


2013年3月26日火曜日

「1票の格差」で続く違憲、無効判決:議員の国会での投票権で調整しては

読売新聞 2013.3.26
「1票の格差」是正が進まず、国会の最高裁違憲判決無視ともとられ、広島高裁は「違憲」を通り越して「無効」判決をだした。国会議員の思惑が絡み遅々として進まない選挙制度改革に代わって、国会議員の国会での投票権で調整してはどうか。千葉4区選出の野田元総理には国会での投票を2票、高知3区選出の山本議員は1票ということになる。

わかりにくい選挙制度、選挙区を持たない比例区議員、比例区でないと議員を確保できない政党、人口の流動で過疎化が進む選挙区、そして国会議員を職業とする我が国では、政治家の政治生命にかかわる選挙区の区割りなどの選挙制度改革は容易に解決できる問題ではない。

国会も何もやっていなかったということではない。1人別枠方式を廃止し、昨年11月から選挙区画定審議会が作業しているので、新しい区割りで選挙をやり直せというのだ。できなければ今年の11月26日以降は無効だという。

判決では、民主的政治過程のゆがみは重大で、憲法上許されず、昨年の衆議院選での区割りは憲法第14条の「法の下での平等」に反して違憲で、選挙は無効だという。

1票の格差が2.43倍は民主的政治過程のゆがみが大きいというのだろう。格差が2倍以上の選挙区は45から72に増え、最高裁の違憲審査権を無視していると判断された。今回訴訟になっている選挙区は31選挙区で、全300選挙区の10%に当たる。

よく事例に出されるのが千葉4区と高知3区だ

千葉4区は、有権者数494453人、投票率59.4%、野田元首相が163334票で当選、次点が藤田さんの72187票だ。一方高知3区は有権者数205461人、山本さんが80547票で当選、次点が橋本さんの32427票だ。確かに有権者数は2.4倍、トップ得票数も2倍だ。次点の藤田さんの得票数が山本さんの得票数より低かったことはせめてもの慰みだ。

議員1人当たりの有権者数が20万人程度というと、高知3区、長崎3区、宮城5区、福井3区、高知2区で、だいたい過疎県に当たる。

どうしても区割りでは、過疎地域の声をどう政治に取り上げるかが問題になる。

有権者数合わせのために、日常の生活圏とは違った区割りになると、候補者の馴染みも薄くなり、選挙事務所も遠くなる。場合によっては自民党、共産党の候補者は必ず出るが、第2、第3党の候補者は出にくく、政治への選択肢が減ってくる。

当然に投票率が下がる。

利害の絡む選挙制度改革に、自ら国会議員が挑戦するのは難しい。だからと言って、第3者機関で審議をといっても各政党は自分たちに有利な制度を提案する人材を推薦してくる。どっち道難しい。

やっぱり中選挙区制に戻して、定員も大幅に削減する方法を考えたほうがよい。比例区でないと生き残れない議員を抱えた政党は淘汰されるべきだ。弱小政党に比例で席を譲る制度を自民党は考えているようだが、これだってわかりにくく憲法第14条に違反するのではないか。

先の衆院選は、安倍総理のアベノミクスに話題をさらわれた。次の衆院選は普天間問題、消費税増税、TPP参加、2%物価目標の達成度などが重要な課題となり、早いうちに国民に信を問わなければならない事態になりそうだ。

それまでは、「1票の格差」問題打開に向けて、2倍以上になっている72選挙区選出の国会議員に国会での投票権を2票にしたらどうなのか。










2013年3月25日月曜日

桜満開:東京・大田区久が原、雪谷も桜の名所だ

東京・大田区久が原には、このような桜の巨木が多い
2013.3.25

今年は早めの桜の満開だ。私が住んでいる東京・大田区久が原、雪谷も桜の名所で、今が満開だ。久が原地区は昔、各家に桜が植えてあったそうで切らずに残っている巨木も多く、大田区保護樹として指定されている桜もある。十字路に立ち東西南北を見渡すと、いずれの方向かに、桜の巨木が見えるのだ。

この通りは、雪谷高校、松仙小学校に
向かって桜の巨木が多い。
2013.3.25
東急・池上線久が原駅を降り、ライラック通りを東に歩き、ペット・メデイカルを左折した通りは見事だ。

北へ少し歩き、区があら3丁目26と29の十字路に立つと北、東西方向に桜が見える。更に北方向、都立雪谷高校、区立松仙小学校を目指す。

久が原1丁目付近に平成12年1月に指定された大田区保護樹の桜の大木を見ることが出来る。枝が張りだして危ないので枝切りをやっていた。近くに住む年配の女性が切り落とした枝の一部を「家に飾るから」と言って若い職人さんにカットしてもらっていた。

大田区保護樹739
平成12年1月に指定されている 2013.3.25
そして雪谷高校、松仙小学校は学校の周囲が桜の木で囲まれている。ここは見応えがする。

雪谷高校、松仙小学校の桜並木
2013.3.25
松仙小学校の桜 散り始めると桜の
花の絨毯になる
2013.3.25
今日(25日)は、終業式で各クラス毎に写真を撮り合っていた。先生が「1+1は」というと生徒が「2ー」と言ってVサインの笑顔だ。場所によっては、風で散り始めていた。道路はもうすぐ花の絨毯になる。

大田区雪谷のさくら広場
2013.3.25
呑川沿いの桜並木 水神橋からの眺め
2013.3.25
JRの高架をくぐって雪が谷に行くと、「さくら広場」があり、ここは見事な桜の公園だ。呑川沿いの水神橋付近から北方向の桜並木も見事だ。呑川沿いはマンションが多く建っている。マンションのパンフレットには、必ず環境良好を謳い桜並木が紹介されている。季節が良くなると池上本門寺から洗足池を通り東京工業大までウォーキングラリーが行われている。

樹林寺の桜
2013・3・25
呑川を池上本門寺のほうに向かうと、途中に樹林寺(久が原2丁目)があり、ここの桜も見事だ。

天気の良いときは、横浜ナンバーの車も見受けられる。久が原は桜の名所だ。個人の庭で巨木を管理している。庭のフェンスも巨木を避けて設置している。

2013年3月23日土曜日

危うくないか、アベノミクス:第1の矢は日銀任せ、第2、第3の矢は期待薄


ノーベル経済学賞受賞学者も評価する安倍総理の「アベノミクス」だが、第1の矢は日銀任せ、第2、第3の矢は期待薄で危うさが見えてきたが、市場の円安、株高基調も米国、欧州経済の影響を大きく受けての乱高下の様相だ。

米・コロンビア大のノーベル経済学賞受賞のジョセフ・ステイグリッツ教授が、安倍総理と会談し「アベノミクスを評価」し、「2年で2%物価目標も可能」と言ったテレビ・ニュースが流れていたが、浜田さんが同席していたことから「やらせ」の感がした。 

取り敢えず、第1の矢である「大胆な金融緩和」も日銀新総裁、副総裁の一人に積極的な金融緩和論者を据え、安倍総理の早期の実現要望に「2年で、2%物価目標」を表明し、「量的、質的両面でやれることは何でもする」と言わしめた。

ところが閣内では、麻生財務相が「2年で、2%物価目標達成」に疑問を投げかけた。ここ15年間で2%を超えたのは、97年の消費税増税、08年の原油高騰の2回で、しかも特殊事情だったから誰だって難しいと感じるはずだ。

それを2年でやるというのだから、相当思い切ったことをやるのだろう。米国では2~3%で止めるつもりが6~8%になったという例があるそうで、今世界の中央銀行では「金融緩和を止めるタイミング」、出口戦略が重要な課題になっているようだ。

我が国でも国会予算委員会で「2%の目標を達成してから止めるのか、達成見通しが出てから止めるのか」が問題になったが、安倍総理は「そこは専門家に任せる」と答弁を避けた。安倍総理にとっては、深い認識があっての2%物価目標ではないのだ。

おまけに、第2の矢「財政政策」、第3の矢「成長戦略」は、今のところ期待薄だ。

クルーグマン教授などは「こんな時こそ、緊縮政策ではなく財政出動を」と訴える。日本は、一般会計の半分を赤字国債に頼っており、民主党政権で削減した公共投資も、安倍政権で増額した。バラマキ予算と批判され度に財政健全化への取り組みも忘れてはいないという。2020年度までに黒字化するというのだ。

そんな長期政権を誰が担うのか。各政権が責任逃れに言っているだけだ。

財政出動も、国内需要が伸び、雇用、家計収入増の成長経済へ導き、税収増→赤字削減にならなければ赤字の積み上げの財政出動で終わってしまう。

「アベノミクス」に賛同する経済学者も「成長できるかどうか」が重要なのだと付け加えることを忘れない。

当たり前のことだ。

しかし、その第3の矢「成長戦略」が見えてこない。民主党政権時から名前を変えては成長路線が検討されている。安倍政権でも6月までに新成長戦略を纏めるという。ところが成長分野は医療/介護、環境、農業分野、再生エネルギー、iPSなど科学技術が取り上げられているが、何年経っても同じテーマで代わり映えせず、進み具合もわからない。

助成金頼みの成長分野って期待して良いのか。

名目3%、実質2%の成長が目論まれているが、成長率を労働力増加+生産性向上とすると、最近の経済状況では、確か労働力増加-0.6,生産性向上+1.5で成長率は1%にもみたない。女性の社会復帰を狙うが、子育て支援が役所の縄張りでうまくいっていないという。

安倍政権になったまだ3ヶ月、これからを期待したいが、「アベノミクス」に過大な期待は禁物である。

2013年3月22日金曜日

日銀・黒田新体制:「2年、2%物価目標」で市場と対話できるのか

日銀・黒田新体制がスタートした。「2年で、2%の物価目標」達成が使命と言う。これで市場と対話できるのか。今までの日銀は、市場との対話が不足していたとの批判に、これで本気度を示すというのだろう。

確かに、「2%以下のプラス、とりあえず1%目途」から「2%物価目標」に転換したとはいえ、その量的緩和は小出しで、特別な基金、融資制度、銀行券ルールなど、わかりにくい面が多かった。それで市場は日銀の量的緩和に懐疑的であったのか。

黒田新体制で、「2年で2%物価目標」を目指し、「量的、質的両面で、できるこは何でもやる」と言われれば、一応明確な目標だと理解できる。

しかし、今、市場にはおカネがだぶついているのではないか。

マネタリーベースでは、対GDP比で日本は先進国一高い水準で十分資金を供給できている状態で、、確か日本は27%、米国は19%と白川前総裁が答弁していたのを記憶している。日銀は説明が下手だという反省から、白川前総裁は記者会見でフリップまで用意して通貨量は120兆円になると説明したことがあるが、どうして理解されないのか苦渋の表情だった。


一方で、国会議員、民間エコノミストはリーマンショック後、先進国は通貨量を2~3倍に増やしたが、我が国は1.5倍程度で低い水準にあり、脱デフレにはもっと資金を流すべきだと日銀を批判する。黒田新総裁もこの説だ。

国会の予算委員会で、国会議員が日銀に「もっと通貨量を増やせ」と迫るが、お互いの見解を述べて平行線のままで終わるのが通例だった。


ところで、実情は日銀の当座預金口座残高は40兆円を超え、企業の内部留保は260兆円にも達しているらしい。投資すべき新しい事業が見つからないから、今だぶついた資金は投資や土地に回り、バブル経済へ一歩踏み出しそうな気配で、危惧する声が高まってきた。

実体経済への効果でなく、話だけで市場が期待して過剰に動くことに、白川前総裁ばかりでなく、多くのエコノミストも心配しているのではなかろうか。

黒田総裁も「2年で2%物価安定目標」は達成すべきであるし、達成できると確信しているというが、今までで2%を超えたのは、特殊事情のあった97年の消費税率引き上げと08年の原油高騰の2回だけだ。

容易だと言っているわけではないと言い訳するが、逆に言うと達成できるまで可能な限りあらゆる手段を講じる決意を示した。

脱デフレに向け、デフレ派にかわってリフレ派が金融政策のかじ取りをすることになった。

新体制が、「脱デフレは日銀の責任」と前体制を批判しても、麻生財務相が言うように、「日銀だけの責任ではなく、財政政策、成長戦略の第2、第3の矢が必要だ」という考えが正論だ。

2%物価目標も大事だが、とめる時の政策、タイミングも重要で、各国の中央銀行の悩みではなかろうか。黒田新総裁もしっかり国民に説明する責任がある。







2013年3月21日木曜日

東電・福島第一原発の仮設現場、ネズミによる電源喪失のお粗末

原因となった仮設配電盤
今後は室内配電盤に変更するという
朝日テレビ報道ステーション
2013.3.20

廃止に向けて復旧作業が続く東電・福島第一原発の仮設現場、ネズミによる電源喪失のお粗末さには唖然とした。今でも一歩間違えば再び放射能汚染を加速する危険がある現場は、仮設装置だらけで、東電の安全意識の低さには驚くばかりだ。

停電で冷却装置が止まったが、基準である水温が65℃まで上がるには、まだ3日ぐらいの余裕があるとの東電の発表に、又かの不安がよみがえった。

当初原因は不明としていたが、分かるに従い配電盤が原因らしいという。しかし、驚いたことにこの配電盤は仮設だというのだ。仮設と言ってもトラックに乗せたままの仮設配電盤なのだ。すでに事故後2年が経過しているというのに、何故、仮設なのか。

配電盤内の焦げ付いた跡
更に、配電盤に焼け焦げた跡が見つかり、近くに25cm位の死んだ小動物が見つかったらしい。端子の間隔が15cmだから跨げばショートする。

仮設配電盤内にネズミが入り込んでショートさせ、電源喪失に至り、9つの重要設備で機能が停止したのだ。常設配電盤ではネズミなどの入り込みは防いでいるので、今後は建屋内の配電盤に変えるという。

東電という会社は不思議な会社だ。重大事故に結びつく事象が出ない限り対策をとろうとしない。2年もの間、今のような状態だったとはあきれかえる。

ビニール廃刊からの水漏れ
更に、テレビの映像を見ると、ボルトでのつなぎ合わせだけの汚水タンク、水漏れの激しいビニール製配管が地面を這っているのだ。

停止しているとはいえ、今でも危険な設備であることに違いはない。否、大事故を起こした設備なのだから、その危険は遙かに高いはずだ。

先のNHKスペシャル「メルトダウン」の検証番組で、調査に当たった一人が「思いつく対応策は、すべて失敗だった」と言う意味のコメントをしていたが、この仮設配電盤もその一つだったのか。

ボルトでのつなぎあわせだけの
汚水タンク
もっと真剣にやれないのか。

2013年3月20日水曜日

2020年東京オリンピック誘致:辞退してこそオリンピック精神では

東京・日本橋にて
2013.3.20

2020年の東京オリンピック誘致は、辞退してこそオリンピック精神ではないか。IOCの候補地事前調査も好印象(?)をもたれて終わった感がするというが、IOCの目だって節穴ではあるまい。タイミングの悪いときに明るみになったパワハラ、セクハラの事実は、オリンピック行動、精神に反する行為である。

東京では、繁華街、商店街など至る所に「今、日本にはこの夢の力が必要だ。2020年オリンピック・パラリンピックを日本で!」という掲示、垂れ幕が目につく。震災復興にオリンピックの熱を利用しようというのか。

前回の失敗は、世論調査で国民の熱意が低いと言うことの反省から、ムード作りに腐心したし、猪瀬都知事がテニスをしたり、IOCの委員が卓球したりするなど「やらせ」も演出した。

一方で、19日に発表になったJOC57団体のパワハラ、セクハラなどに関する調査」は、「治療が必要だった」という深刻なものを含めて驚くべき内容だった。発端になった全柔連だけの問題ではないのだ。

東京・銀座にて
2013.3.20
スポーツ団体は、選手よりも組織第一で、指導者などは上層部を向いており組織の人脈維持に汲汲としているのではないか。全柔連の上村会長もJOCの理事は辞任したが、全柔連の会長は続投という。「スポーツ界 暴力根深く」(讀賣新聞2013.3.20)という程の問題を起こしながらの続投には反省の意思が希薄ではないのか。

おまけに、改善勧告の中に、「監督、コーチ、選手がオリンピックムーブメントを理解する」と言う項目がある。

オリンピックの行動精神に反省すべき点があるというのであれば、オリンピック誘致など論外ではないのか。

今回の東京オリンピック誘致は辞退すべきだと思うのだが。



[後記]
猪瀬知事 アメリカでの「もう一押し」発言は、招致成功へなのか、それとも失敗へなのか

NTタイムズでの不適切発言が問題になったとき、最初は「文脈に無い」と強気の発言をしていたが一転謝罪した。しかし、その後も不適切発言への言い訳が止まらない。

不祥事での自分の責任の「照れくささ」を繕おうとしているようにも思えるが、もう終わったことだ。

万一、東京招致が成功したとしたら、東京視察のときの接待で何か裏があったことになる。

オリンピックの使う金があるのであれば、もっと防災を考えた方は良くないか。

                                         (2013.5.4)

南海トラフM9.0、被害220兆円:強迫観念にとらわれず、出来ることを

読売新聞 2013.3.19

中央防災会議の作業部会が南海トラフ巨大地震M9,0~9.1の被害推計を220兆円と発表した。最悪のシナリオと言うが、唖然とする一方で、強迫観念にとらわれず、出来ることをやり、それでもダメなら諦めることか。

経済損失は220兆円、そのうち170兆円が地震、津波の直接被害だ。減災対策をやれば、経済被害は5割減が期待できると言うが、諦めるなと言うことだろう。東京―大阪は、物流の幹線動脈だが新幹線、高速道は寸断される。地震だけなら何とか復旧出来るだろうが、津波を伴うと破壊され、何もかも持って行かれる。東北地方太平洋沿岸の復旧が進まないのはそのためだ。

減災対策をすれば被害は5割減というと自民党は活気づくだろう。国土強靱化で防災、減災対策で予算化したが、野党からバラマキ予算と追求されたばかりだ。強迫観念に便乗すれば、公共投資も思うがままだ。

しかし、それは許されない。巨大地震、巨大津波への100%防御法はない。「ほどほどに」するしかないのでは。

19日の新聞の南海トラフ被害想定をじっと見ていたら、孫が「じいちゃん これ何」と聞いてきた。「東海地震に備えて学校で避難訓練、帰宅訓練をしているでしょう。その地震による被害が想定されているんだよ」と言うと「この新聞の記事は大事なんだね」と言って、自分の机に持って行った。

学者は3.11以降、「想定外」を回避しようと「大胆な予測」を出してきた。南海トラフでの3~4の連動地震は「1000年に一度以下」の確率であるが、M9という想定外の東北地方太平洋沖地震が発生した。歴史をたどれば1100年前に貞観地震があったのだ。

でも、南海トラフでは、単独で見ると東海地震88%、東南海地震70%、南海地震60%で何時起きても不思議ではない確率なのだ。高確率で発生せず、0~2%以下の低確率で頻発していることを考えると「予測をどう読むか」は、個人のセンスの問題か。

今日、銀座に出かける予定だが、「今日は首都直下型地震は発生しない」と思っている

2013年3月19日火曜日

安倍内閣支持率72%:上昇に不思議な上昇あり、下落に不思議な下落なし

読売新聞の世論調査で内閣支持率が72%にわずかだが上昇している(朝日新聞65%)。プロ野球の野村監督流に言うと、「上昇に不思議な上昇あり、下落に不思議な下落なし」だ。なぜ、今安倍内閣の支持率が高く維持されているのか。

支持する理由をみると、「安倍さんが総理だから」の理由は低率で、「政策に期待できるから」、「他の内閣よりましだから」の理由が高率だ。安倍総理が、ぐいぐい引っ張っているために評価されているのかと思ったが、そうではなさそうだ。

おそらく、TPPへの交渉参加、脱デフレ脱却、2%インフレ目標設定での政局運営が評価されているのだろう。

裏を返せば、民主党政権を反面教師に学習したのだ。

公約と政策の整合性を保つこと、政権内不統一を避けること、そして与党内不統一も避けることだ。それが、政策に期待できる、他の内閣よりましということになるのだ。

TPP,デフレ脱却、より大胆な金融緩和の採用は、民主党政権でしかれたレールを走り、三本の矢、アベノミクスで国民に訴える政策に仕立て上げた。

TPPは、「聖域なき関税撤廃の原則なし」をオバマ大統領と取り交わし、3本の矢を言った途端に、市場は反応し円安、株高へと動き、国会・予算委員会でも「政治は結果」と民主党の追及をかわした。

民主党・旧政権は地団太を踏んで悔しがっただろう。

その姿は、やっぱり他の政権よりましということになる。

でも、これからは普天間問題、原発再稼働、尖閣列島問題、さらには、南海トラフにかかわる超巨大地震地震による損害が220兆円という結果に後押しされた公共事業、そしてあまり話題にはなっていないが、消費税増税問題と国民の実生活に関連する政治課題が目白押しである。

消費税増税と同じく、TPPも民主党政権で解決を望んでいた自民党幹部は多いのではないか。

これからは、自民党政権の本領が発揮できる。

TPPでの農産物分野での3兆円の損失は、いろんな場面で議論されるだろう。ウルガイランドでは、対策に6兆円を歳出したが、その中には目的外用途もはっきりしてきた。今回は3兆円だ、農産物関連にどういう手を打ってくるのか。

記者会見で安倍総理は、「私に任せて」と言ったが、鳩山元総理の「トラスト ミー」に重なる。

これからが、本当の評価を受けるのだ。下落しか可能性はないが、どの程度緩和できるか、注目だ。

2013年3月18日月曜日

株価13000円、1ドル95円:株高、円安基調へのアベノミクス効果に?

米の株価動向で乱高下を
繰り返す東証

株価13000円、1ドル95円付近で市場の攻防が繰り返されているが、株高、円安基調へのアベノミクス効果に疑問符がつく。

15日に179.76円高の12560円、ドルは0.15円安の96.04円だったが、18日の週明け前場中には株価は190円安の12370円、ドルは94円台の円高で推移している。

メデイアでTPP交渉参加、日銀新体制のニュースが流れたので、18日には更に株高に進むと考えていたが市場は厳しい。

一時、アベノミクス効果と囃し立てたが、投資資金がリスク・オフからリスク・オンへ転換し、債権から株式へと移っただけではないのか。

米国では国内財政問題での民主党vs共和党の政争、バーナンキ議長は量的緩和維持を言うが、FRBの量的緩和打ち切りの懸念の広がり、公表される経済指標と市場の見通しとの乖離に市場は反応し、米の株動向が翌日の東証の株の動きに大きく影響する。

欧州経済は、債務危機が何時再燃するか分からない。今まで良好と言われていても、いきなり危機になるのだ。

日本だって金融緩和の強化、TPP交渉参加での成長路線への舵取りと安倍政権の積極さは評価されているが、円安による輸入製品の値上がりが消費に影をさしてきた。

「政治は結果」と株高、円安を誇張する
安倍総理
「アベノミクス効果」と囃し立て、「政治は結果」と安倍路線を正当化する安倍総理に「チョッと待った」と声をかけたい気分になる。

中央銀行の使命:日銀は、国民の理解を得られる存在で


中央銀行の総裁は、持続的成長に向け必要と思う政策を実行するためにいるのだ。やりたいことを何でも出来るわけではなく、国民の理解が得られる存在であることが重要だ。イングランド銀行総裁のマービン・キングさんが「中央銀行の使命」について語った。
 
朝日新聞(2013.3.16)オピニオン「中央銀行の使命」が目にとまった。
 
イングランド銀行は世界で2番目にインフレ目標を設定した。今、目標は物価上昇率前年比2%で、上下1%を超えた場合は財務相に理由と対応策を説明することになっているという。
 
政策をシンプルにすることが大事で、インフレ目標の魅力は政策目的が明確になることだと、日本も2%を設定したことに賛成する。
 
問題は、インフレ目標値まで上げていくのにどんな手段があるかと言うことで、世界中の中央銀行が苦労しているという。
 
併せて、将来、通常の金利水準にどうやって戻すかも大きな問題で、手遅れにならないうちに普通の状態に戻すことは、インフレ目標よりも大きな問題だと指摘する。

 今、世界中で政治家が中央銀行に金融緩和の圧力をかけているが、「金融政策は万能薬ではない」ことを政治家は理解し、需要回復のために規制改革、構造改革などの政策が重要になると警告する。
 
日銀の白川総裁も、金融緩和への過剰な期待は禁物、その副作用に警告を発しているが正論である。
 
そして中央銀行の独立性について、政府がやってほしいと思うことだけをやる組織ではなく、政府からの圧力をはねつけることができるだけの十分な独立性と透明性を確保しなければならないという。
 
中央銀行とは、社会全体に属する存在であるということへの国民の理解がとても大切なことだともいう。
 
今、日銀はアベノミクスで安倍政権に押され気味で、リフレvsデフレの構図で、大胆な金融緩和論者を次期総裁、副総裁に迎えようとしているし、日銀法改正を受け入れるという副総裁もいる。
 
「良い」通貨創造と「悪い」通貨創造という考えでは、黒田新総裁は「国債の直接買い入れ」を否定しているので「良い」通貨創造になるのだろうが、2%物価目標達成が怪しくなると政府は何を要求してくるかわからない。
 
日銀は、持続的な成長を維持するために必要な政策を実行する存在として、国民はしっかり監視すべきである。

2013年3月17日日曜日

解雇の自由:労働契約の規制緩和で、絆、忠誠心を失い日本社会崩壊へ


安倍総理肝いりの成長戦略を担う産業競争力会議で「解雇を原則自由」にする労働契約の規制緩和が提言されているのに驚いた。絆や忠誠心を失わせ、日本社会を崩壊へ導く危険はないのか。大企業、富裕層優遇の政策だけは避けてほしい。

経営者に対して労働者は弱い立場にあるから、その地位はある程度保障されている。正当な理由が無い限り解雇は難しいことは経営者にとっては、経営上の足かせになることはある。

しかし、だからといって成長戦略の一環として労働契約の規制緩和をしようというのは、どういうことか。

そうでなくても今は、非正規労働者の割合が36%にもなると言われている。解雇自由になると更に増加し、格差社会を助長する一方で、日本社会の崩壊に繫がらないか。

社会保障の一体改革で、年金の支給時期が延ばされ、定年が65歳に延長された。望めば65歳まで雇用を継続できるのだ。しかし、高齢者はどうしてもリストラの対象になる。

高齢者が優遇されるのは、特殊な技術を持っている中小企業の職人さんだ。厳しい経済環境にあって、定年なしに働けることに喜びを感じている姿がテレビで映る。少人数の中小企業にあっては、1人1人に存在価値が大きいが、大企業にあっては存在価値が低い。

大田区の中小企業の社長が、「大企業はよいな、いつでも首切りが出来る。我々中小企業は首切り即倒産なのだ」と言っていたのはリーマン・ショック直後だった。

ところで思い出すのは、テレビ東京のカンブリア宮殿(2013.3.14)「日本の空の旅が激変!格安航空ピーチの革命」だ。

LCCの先駆者として安全以外は何でもやってみようと、機内サービスは有料化、下請けに任せていた業務も皆で分担するなど果敢に挑戦する姿に感動したモノだが、驚いたこともある。

全員が1~3年の契約社員なのだ。給料は決して安くないそうだが、期間内に何かやり遂げる目標を持てというのだ。もし目標が達成出来なかったら辞職と言うことなら、何やら解雇自由にも通じるところがありそうだ。

CAの応募も他業種から多いようだ。不思議に同業からはないと言う。短期間の契約社員なら今の航空会社の方が良いのだろう。応募した人たちは今の職業より契約社員でもピーチの方がましと判断しているのではないか。

いろんな業種を渡り歩くには、重宝なシステムだが、自らの生活の安定を考えたらどうなのだろうか。

成長戦略で企業は成長分野にシフトし、雇用の創出、労働者の容易な移動、家計収入増を目指すべきだが、解雇の自由で非正規労働者を増やす結果になっては、格差社会を増長し日本社会の崩壊はまぬがれない。

大企業の横暴さをむき出しにした「解雇の自由」の規制緩和は、政治の力で善処すべきではなかろうか。

2013年3月16日土曜日

改めて気になるんです、東電・柏崎刈羽原発再稼動へ500億円追加投資

東電・柏崎刈羽原発周辺の
長岡平野西縁断層帯
敷地周辺の活断層の連動を
考慮した字振動評価について
平成24年4月25日
東京電力

新聞報道(読売新聞2013.3・15)によると、東電は柏崎刈羽原発の安全対策に500億円追加投資を決め、再稼働に向け先に700億円決めていたのでトータルで1200億円の投資になるという。人気テレビ番組「相棒」の杉下右京さん流に言うと「改めて気になるんです」。

この柏崎刈羽原発の真下、周辺断層の危険が指摘され活断層と判定されると、東電が目論んでいる再稼働が不可能になるのだ。そうなると、この巨額の投資は無駄になるが電気料金に加算される事になりかねない。

活断層になれば、どんなに地震、津波対策を強化しようが再稼働は無理なのに、何故規制委は判定を急がないのか。何故、東電は対策を急ぐのか。経営の厳しい東電にあっては、原発の再稼働は必要なのだ。

私が保存している柏崎刈羽原発の資料を探ってみたが、他の原発ほど活断層か否かの検討がされていない。

東電は、2007年7月の新潟県中越沖地震を上回るM8クラスの巨大地震「長野平野西縁断層帯」を考慮して、周辺断層を再評価した。この断層は、2004年に国の地震調査研究機構推進本部が連動した場合M8クラス、30年以内に2%以下の可能性を指摘していた。更に、これまで別々に動くと考えていた4つの断層が同時に動くことも想定したようだ。原発と断層の距離は約20km、断層の長さは約90kmになる(讀賣新聞2008.3.27)。

昨年8月に東電が公表した資料では、1,2号機の原子炉直下を通る「α断層」「β断層」は、24万年前に降った火山灰より上の新しい地層をずらしていると言う。国の活断層定義から国の定義の活断層より古いとして、東電は「活断層ではない」と主張してきたが、規制委の新基準の活断層定義から「活断層とされる」可能性が出てきたのだ(YOMIURI ONLINE2013.1.24)。

1200億円かけての東電の安全対策は、海抜15mの防潮堤の建設、電源車の配備、フィルター付きベント設備、第2制御室の整備、非常用電源の防水化が上げられている。3.11の福島第一原発の津波被害での経験を生かした対策のようだ。

しかし、問題なのは事故検証が不備であり、先のNHK スペシャルでの検証番組を見ても、人的、設備的に基本的技術が欠けていたことだ。原発は違っても事業者は同じ東電だ。

規制委の新基準で活断層と判断される可能性の大きい原発で、巨額の安全対策を急ぐ東電に、事故を反省しない奢りが残っているのではないか。

1週間の地震発生状況 長岡付近も小さな揺れが発生
気象庁地震情報 2013.3.16

日銀、量的緩和復活:今度は何を試そうというのか

読売新聞 2013.3.16

日銀は新体制スタートに当たって、量的緩和を復活させるという。今まで白川・日銀の政策は効果が低かったので、今度はこっちを試してみようと言うのか。分かりにくいというか、エコノミストの考えは十人十色、あっちがダメなら、こっちと言うことか。

白川総裁は、度毎に非伝統的金融政策を実施していると言う。国会予算委員会で「日銀の政策に効果があったのか」と問われ、「それぞれ経済環境は違っているが、効果があるモノと信じて金融政策を実施している」と答弁していた。

安倍総理の2%物価目標、より一層大胆な金融緩和、アベノミクスに呼応したかのように市場は円安、株高に転じた。その結果、日銀への政策批判が声髙になった。白川総裁にしてみれば、「2%以下のプラス 取り敢えず1%目途」、非伝統的金融緩和の継続で効果が出ていたと思っていたはずだ。更に財政政策、成長戦略の必要性を強調していた。

ところが、安倍総理を支えるリフレ派や、新しい日銀総裁らは日銀に責任があると断じる。金利もゼロ金利で金利政策が取れない日銀にとっては難しい局面だ。

讀賣新聞(2013.3.16)の「日銀 量的緩和復活へ」の記事に、多少驚いた。日銀新体制では、7年ぶりに「量的緩和」を復活させるというのだ。

今までだって、市場におカネを流すことにより低金利を維持し、企業や個人が借金しやすくすることにより消費を増やし、経済成長路線に持って行こうとしたはずだ。

でも、日銀と銀行間をカネが行ったり来たりしている状況で、そこから先にカネが流れない。どうやって先にカネを流すかが問題で、第2、第3の矢が重要になってくると麻生財務相は日銀に理解を示す。

新体制は何をやろうとしているのか。

1~3年の短期国債から5年以上の長期国債を買い入れること、2014年から実施しようとしていた無制限緩和の実施を前倒しすること、銀行券ルールの見直し、日銀預けの当座預金金利0.1%の撤廃などして、量的緩和を復活させ、カネの量を増やすというのだ。

日銀の決定会合などでも提案されていたが賛否で否決された政策、巷間のエコノミストも提言していた政策だ。

現体制が採用しなかった政策を新体制でやってみようと言うことか。新聞に出たことで、市場が期待するかどうか。18日の東証株価、為替の動きに注目だ。

それにしても、あっちがダメなら、こっちを試そうでは心許ない感じだ。

我が国だけが長いデフレから脱出出来なかった理由には人件費削減が大きいのではないか。中国、韓国、東南アジアの安い賃金での製品と競争するために、各企業が人件費削減、リストラを実施したり、工場を海外へうつした。。

一方で、企業の利益は、内部留保へと進み260兆円を超える額になった。デフレ脱却はまず、賃上げ、雇用の創出だ。安倍総裁がアベノミクス推進に、経済界に賃上げを要請し、ボーナスなどで答える企業が増えてきた。

しかし、実体経済への効果はまだ出ていないと経営者は牽制するし、大きなウェートを占める中小企業は、その余裕はないと言う。

市場のリスク・オン、企業家マインドの転換へのインセンテイブは大事だが、やってみなければ分からないところに経済政策の難しさがある。

2013年3月14日木曜日

自民・TPP集約、総理・参加表明:守る国益、損なう国益


安倍総理の環太平洋経済連携協定(TPP)参加表明に向け、自民党の意見集約がまとまり容認決議となった。問題は国益を守れるかだが、守れる国益、損なう国益は何か。安倍総理は15日に参加表明するとともに、政府は参加が与える影響の試算を公表するという。

民主党政権時、菅元総理が「平成の開国」と言い、自民党も国家百年の大決断というように党を二分する、否国論を二分する政治課題だ。

しかし、しっかり議論されているのか。この間の自民党のTPP対策委員会では、推進派の委員長と慎重派の尾辻さんが取っ組み合い寸前の口論を始めたシーンがテレビで流れた。そして13日の総会では、たった2時間で支持することが決まった。

どこまでがやらせで、どこからが本音か。

ところで、今回の安倍総理のとった手法は手が込んでいた。選挙で「聖域なき関税撤廃」の原則があれば参加しないと公約した。そして、参加するためにオバマ大統領との共同文書で「聖域なき関税撤廃はない」ことを文書で確認し、それを国民の説得材料に使った。野田政権時の玄葉・元外相をして「新しさは何もない」と言わしめたが、文書にしたのは「政治は結果」だと挑発した。

「政治は結果」と言うが、安倍総理は「交渉に参加出来ることを政治の結果」と言うのか、それとも「国益が守れての参加を政治の成果」というのか。

最初から不参加では、チャンスを失いそうだし、成長戦略として規制改革を目指すのであれば参加だろう。

参加を支持する者は、規制緩和で新しいビジネス・チャンスを作れると思う人あり、反対する人は、衰退一方の農林水産分野、食の安全などを守りたい人、利権を維持したい人達だろう。

憲法で保障する生存権、社会保障制度、職業選択の自由なども怪しくなってくる。

私も最初は、従来の利権構造を打破し、規制改革をするならTPP参加が手っ取り早いと考えていた。でも今までグローバリゼーションを標榜し、アメリカ帰りの学者、経営者が効率的で、競争社会を築いた結果、日本の良き慣習、システムと言われていたモノが失われ、殺伐とした社会を形成することになった。

今回のアメリカ主導のTPP交渉を新聞で見てみると、あらゆる点でアメリカの国益に準じている。米国は、国内景気の刺激、雇用の創出のため海外に出て行った企業を呼び戻そうとしている。輸出によってアメリカ経済を立て直そうとしているのだ。ドル安政策もその一環だ。

おまけに、TPPで不利益な行為を受けた場合は、その国を相手に賠償を請求できることにもなっている。喜ぶのは弁護士だけだ。すでにカナダで事例があると聞いたことがある。

安倍政権は、交渉参加に漕ぎ着けたが、どの程度国益が守れるのか。

聖域の確保を最優先し、出来ないと判断した場合は、脱退を辞さないことを自民党は決議しているが、交渉する官僚にその力はあるのか。国民にとってまずいことは隠して交渉を進めるのが官僚のやり方ではなかったのか。

TPP交渉参加を急ぐために、国益を損なうようなことがあってはならない。今までも余り進捗していないことを考えると、各国それぞれ聖域を抱えているのだろう。

14日早朝、千葉県北西部地震M4.6;一瞬「グラッ」と揺れた

NHK地震情報
2013.3.14 おはよう日本

14日、午前5時3分頃、「グラッ」と一瞬揺れを感じて起き上がった。NHKテレビをつけ、気象庁の地震情報を開いた。だいぶ経ってから震源地は千葉県北西部、M4.6と分かった。地図で確かめると千葉市付近で、よく揺れるところだ。

NHKは「おはよう日本」で、しばらくして地震情報を流した。東京・大手町、大田区で震度2、広範囲で震度1,2の揺れだ。

気象庁もだいぶ経って地震情報を流した。震源地は千葉県北西部、北緯35.6度、東経140.2度、深さ80kmM4.6、この地震の前にも東京湾では13日20時27分、23時03分にも揺れていた。

気象庁地震情報
又、14日この地震の少し前、3時18分には、先日揺れて注目された栃木県北部地震も発生し、M2.2,震度1だった。

地震の規模に差はあるが、日本中至る所で揺れている。一瞬「グラッ」と揺れる地震ってどんな地震なんだ。





いたるところで揺れている
東京湾では、13日20時27分、23時03分
14日3時18分には先に揺れて注目された
栃木県北部地震も発生
気象庁地震情報より

2013年3月13日水曜日

哲学者内山節教授の「中央銀行はマネー制御不能」に説得力あり


哲学者の内山節教授の「中央銀行はマネー制御不能になっており、この状態を放置して金融緩和をしても意味がない」に説得力ありだ。朝日新聞(2013.3.13)オピニオン「リフレ論争の限界」によると、内山節教授は、「実体経済に回るお金よりも投機マネーの方が遙かに多く、お金を増やしても実体経済には回らない。それでも金融緩和を続けるのは、同じことを繰り返すしかないと言うのが本音だ」と言い切る。

世界は今、金融緩和への期待感から株高を演出している。

FRBも量的緩和への副作用が懸念されるようになったとは言え、バーナンキ議長は量的緩和を継続すると言うし、我が国では量的緩和に慎重な白川総裁に代わって、2%物価目標、更なる大胆な金融緩和を主張する総裁、副総裁が選ばれそうだ。

白川総裁は、今までの日銀の非伝統的金融政策で市場にはお金がダブついているという。今まで120兆円も流通させ、更に増える。日銀の当座預金残高は40兆円を超えている。しかし、これは日銀と銀行間で行き来しているだけで、そこから先には出ていない。日銀の金融政策だけではダメで、第2、第3の矢が必要だという(麻生財務相)。

ところが新しい総裁、副総裁候補達は、もっとやれることは何でもすると言う。外債はダメだが、長期国債や買い入れることの出来る商品はもっとあるともいう。慎重な白川総裁と変わって大胆さを訴えているのだから、結果を出すには大変だろう。

白川総裁は、金融政策への過度の期待を戒め、デフレ脱却には各主体が協力しなければならないと、財政政策、規制緩和など構造的転換の必要性を常々訴えていた。

裏を返せば、白川総裁は内山教授と同じように「中央銀行はマネー制御不能になっている」と感じているのではなかろうか。

ここ15年ほど、日銀は金融緩和をやって来たが一向に効果が出ない。一方、海外でもデフレにはなったが脱却出来ている。何故、日本だけ脱却出来なかったのか。

その原因に、グローバリゼーションで日本の企業も、中国、韓国、東南アジアの安い賃金と競争しなければならず、固定費に大きく占める人件費の削減、コストダウンをせざるを得なかった。

失業者、非正規労働者を出す一方で、企業は利益を上げ、株の配当、内部留保は260兆円を超えている。

クルーグマン教授も、企業利益は労働者の犠牲の上に成り立っていると言い銀行ばかり支援するのを止め、労働者を支援しろという。

私も前に、メデイアはまだ何も言っていないときに、「経団連は賃上げで脱デフレに協力したらどうか」という記事を掲載したことがある。

今は、安倍総理も経済団体に賃上げ要求したことや、政府の委員会のメンバーであるローソンの社長が賃上げを実施したことから波及効果が出てきた。従業員の給与を上げて消費拡大をしようとしているのだ。

企業の業績が良くなっても、従業員の給料アップに届くまでには時間もかかるが、直接賃上げすれば時間は短縮できる。

今、金融緩和で金利は低く維持されている、企業が借り入れ、投資しやすい環境にはある。しかし、経営者に言わせれば投資しようとする事業が見つからないのだそうだ。規制改革、成長戦略が重要になってくる。

安倍総理も日銀ばかりに頼らず、これからは政治の出番だ。

2013年3月12日火曜日

行政と住民の食い違う震災復興:防潮堤が先か、街づくりが先か

気仙沼 大谷海岸で高さ9.8mの防潮堤が計画されている
2013.3.11 テレビ朝日 報道ステーション
3月11日は、当然ながら大震災後2年、被災地の今、復興がどうなっているか、その課題に関するメディアのニュースが目白押しだ。当然、ブログのタイトルも「行政と住民の食い違う震災復興:防潮堤が先か、街づくりが先か」になった。

多くの映像が、被災地で基礎部分だけ残して荒れ放題の宅地、周りに住宅がないのに営業を始めた商店、水産加工会社の工場、事務所、冠水したまま手が出せない農地、地盤沈下のままの土地、浸水の危険も去らない漁港、盛り土工事が始まった地域等が映し出される。

そんな中で進まぬ復興に、行政に対する住民の不満は募るばかりだ。

しかし、進まぬ復興の要因に、「防潮堤が先か、街づくりが先か」の住民と行政の間の溝が大きいのだ。

今までも時々メディアが防潮堤建設計画を報道してきたが、11日のテレビ朝日の報道ステーション「次々進む巨大防潮堤」で気仙沼市大谷海岸の計画を見て、復興計画の本筋を知ることができた。

計画を知らせる標識
報道ステーションより
それによると、この大谷海岸は震災前には海水浴場客などでにぎわっていたそうだ。そこに海岸と生活地を区切るように巨大な防潮堤を建設するというのだ。防潮堤の高さは9.8mとなると擁壁底部幅は40mぐらいの長さになり、砂地などはなくなってしまう。景観も悪くなり環境破壊と反対されている。

被災住民らは、せめて5mぐらいの防潮堤はどうだというのだ。今回のような津波は1000年に一度、それより頻度の大きい三陸津波、チリ地震による津波は数十年、数百年に一回だからもっと低くていいだろうというのだ。1000年に一回の巨大津波対策では、街づくり、避難経路計画など総合的な対策が必要なのだろうという。震災前と同程度の生活ができればいいのであって、海抜9.8mの堤防は必要ないのだ。

原状回復、自己責任から考えると、正論かもしれあい。

せめて5mぐらいの堤防となるとこの
イメージだ
報道ステーションより
ところが、行政は今回のような津波にも耐える防潮堤を作って、それから街づくりをする1セット方式を提案し、住民の生命、財産を守ろうとするのだ。だから防潮堤を低くすることなど論外なのだ。国の予算も今つけなければ2~3年後にはつかなくなることも関係している。

でも、巨大な防潮堤計画は、ここだけではない。

東北3県の沿岸総延長369㎞、総工事費8284億円になるというのだから「ほどほどに」できないのかとなる。

行政と住民との思惑の違いを調整しない限り、復興ははかどらないだろう。それに自治体の職員、土地の所有者、権利などが絡んでくるとなおさらだ。

国や県は「こうするんだ」という計画を押し付けるのではなく、住民の「自己責任」、「ほどほどに」の選択肢を生かした計画を進めたらどうなのか。



2013年3月11日月曜日

東電・福島第一原発メルトダウン:原子炉冷却対応への技術不足か

2011.3.1411時 3号機水素爆発
NHKスペシャル 2013.3.10

昨夜(10日)のNHKスペシャル「メルトダウン 原子炉冷却の死角」は、久しぶりに見応えのある内容だった。2011.3.14の3号機のメルトダウン、水素爆発は検証内容から、その緊急時に原子炉を冷却することへの対応に人的、設備的(技術的)な欠陥があることが分かった。

原発と言う危険で巨大な設備も「安全に停止」、「冷却する」ことで安全は保てると言われていたが、その冷却に問題があったのだ。事故に不思議な事故はないのだ。

未曾有の事態に直面し、極度の緊張と混乱の現場だったことを考えると、完全な処置を要求することは無理だと思っていたが、全電源喪失での原子炉冷却の訓練を40年間に1度もやっていなかったこと、異常か正常かを判断する事象も確認できていなかったことは、東電の幹部が言うように「基本的技術力が不足していた」ことになる。

NHKの番組をメモしたのだが正確さに問題が残るが、IC(イソケン)、RCICの作動および作動確認に問題があったようだ。メルトダウンまでの行程は次のようだった。

1,2号機の場合、電源喪失で運転状態が確認できなかった。特にICの作動状況が分からなかったのだが、原子炉内の水位は問題ない水位と判断し「動いていればなあ」と希望的感じを持っていたようだ。ところが、水位が低下し、「ICが止まっているのではないか」と思い出して、進展予測を始めたようだ。その予測では、燃料棒がむき出しになり1時間後にメルトダウンだった。

3号機の場合、RCICは電気で動くが不安定な動きをしていて、バッテリーがいつまで持つかが問題だった。対策は、代替注水のためにバルブを開けて減圧操作をしなければならなかった。しかしこれがうまくいかなかったのではないか。

代替注水の消防車注水
消防車による注水を始めたが、原子炉の方には45%しかはいらず、復水器の方へ55%が抜けていたのだ。現場所長と本社幹部との電話会談でも指摘し合っていた。東電本社での記者会見でも「復水器が満水のようだ」との発表があった。

NHKは、検証実験を海外でやった。

それによると、消防車からの注水は、1気圧の復水器のほうに55%、3.5気圧の原子炉の方へ45%が流れ、消防車による注水に抜け道があり、冷却に失敗し、あってはならないメルトダウンに至ったことになる。

又、番組では異常に気づくチャンスは3回あったという。
検証結果、消防車による注水は
原子炉に45%、残り55%が復水器
に抜けていたことになる
2013.3.10 NHKスペシャル

その一つが、「ブタの鼻」からの蒸気発生でICが作動しているかどうか確認できたそうだ。ところが実際には「もやもや」出ていたようだ。その意味がよく分からなかったそうだ。

作動していれば大量の蒸気が出るが、40年間一度も訓練したことがないのでその事象の確認が出来なかったらしい(米国では訓練しているそうだ)。

このNHKの検証に関わった学識経験者が、「ぶっつけ本番は、すべて失敗だった」という。

まとめてみると、最重要課題である冷却など基本的技術の不足、緊急事態訓練の不備、異常を見抜く力不足などが上げられるのではないか。

ブタの鼻
ICが作動していれば、ここから大量の
蒸気が出るので確認が出来るらしい。
東電は40年間一度も訓練していなかった
東電は、原発ではリーデイング・カンパニーとしての奢りがあったのではないか。原発と言う巨大で危険な事業を担うだけの資格はない。

プロ野球の野村監督が「勝つに不思議な勝ちあり、負けるに不思議な負けなし」と言う意味のことを言われたそうだが、「事故に不思議な事故なし」なのだ。




東電にとっては耳の痛い指摘だ