2013年3月1日金曜日

第1回風力発電展:補助金、買取制度、環境問題を抱え成長する風力発電か

ビルメン鹿児島の「TOMOの風」
小型では7年でペイするらしい

再生可能エネルギー、自然エネルギー利用で注目を集めている風力発電だが、補助金制度、高価買い取り制度でのコスト意識の低さ、そしてたびたび指摘されている環境問題を抱えて、本当に成長分野の事業なのか。東京ビッグサイトで開催されているWINND EXPO 2013 第1回[国際]風力発電展に最終日にあたる1日に行ってきた。

私が、風力発電に興味を持ったのは、まだ主流は欧州製の風力発電装置が輸入されていた頃で、NHK「プロジェクトX」で山形県立川町の風力発電建設がテーマになった頃だ。日本三大悪風と言われた立川町で、「この風を利用しないわけはない」とプロジェクトが始まったのだ。

一度実際に風力発電を見てみようと、紅葉の蔵王にドライブした帰り、日本海の夕日を見るか風力発電をみるか迷ったが、立川町へ行くことにしたのだ。当日は日本三大悪風とは違って快晴で無風状態、田んぼの中、周囲の山の稜線に立つ風車の1基も回転していなかったが、その大きなブレードには驚いたものだ。

風力発電設備が増えるに従いバードストライク、落雷事故、倒壊事故、低周波騒音、風切り音、周辺の環境悪化が顕在化してきた。風の通る道は鳥にも重要なのだ。吹き付ける風が弱まれば周囲の植生も変わってくる。環境破壊だ。大型風車による騒音、窓を明ければ風車が迫る付近の住民にとっては苦痛だろう。

おまけに事業の運営も6割は赤字だという。落雷事故や風量不足での発電量不足が響いているようだ。

一方で、今の風力発電は、エネルギー対策特別会計から補助金が出ているし、57円/kWhの高額買い取り制度もあり、小型の風力発電では7年でペイするというが、援助制度に頼るコスト意識の低さは問題だ。毎月の電気代には再生エネルギー賦課金が使用量に応じて徴収されている。全国民が平等に再生可能エネルギーの普及に負担しせよという意味だろうが、公平さに疑問が残る。

ところで、今の風力発電の技術はどうなのか。風力発電展に行こうと思ったが、入場料は5000円/人という。招待券を持ってくれば無料と言うことで、ネットで必要事項を記入し入手した。

こういう展示場で目につくのは実物の風車の展示してあるブースだ。

ビルメン鹿児島の「TOMOの風」小型の設備であるが、1.5mの微風から安定した発電が可能なダウンウィンド型風力発電機で、低周波、風切り音対策が施され太陽光発電と組み合わせハイブリッド化も可能になる。ブレードを見ると他の風車と違って工夫がされていることが分かる。

小型の風力発電設備では7年でペイすると言い、これから拡販を目指すという。売れればもっとコストが下がるとは皆が言うことだ。出力は5kWhだからビル、事業所などで設置が考えられる。

エコ・テクノロジーのトルネード
型風力発電
エコ・テクノロジーのトルネード型風力発電は、上下2枚のブレードが双方向に回転する竜巻に似ているから命名されたそうだ。ブレードの形状は美しい曲線で、日本の自然とよく調和し、人の目を引き、その環境はランドマークのようだという。

でも今は、どの風力発電の機種だろうが、設置されている周辺はランドマーク的ではないだろうか。

風力発電は洋上でも活躍しているが、三井海洋開発では、潮流を水車で、風力を風車で捕らえて発電する浮体式潮流・風力ハイブリット発電を紹介していた。波による不安定さも安定した発電が出来るように工夫されている。

また、風向は変わるがFUJITA はどの方向からの風も受け発電できる垂直タービン型風力発電を紹介していた。円筒型のブレードで小さな風力で回転始め、外側の3枚のブレードで回転を促進する構造だ。「どの方向からの風も受けるのですか」と聞くと、説明員は垂直方向の風以外は回転するという。

三井海洋開発の
潮流・風力ハイブリッド
発電
街路灯、非常用電源、監視カメラの電源など太陽光と併せて利用場面は広がる。

まだアイデア段階と言うが、面白いモノにアイ・ビー・テクノスの「ジェネウィン12」で工場の強風排気を利用する小型風力発電機だ。風速40mでも発電が可能だ。「今問題になっているトンネル内の排気にも利用できるのではないか」と聞くと、「そうなんです。地下鉄駅構内の排気などにも応用できます」という。

最後に、風力発電ではないが旭化成ホームズの「VEGEUNI」だ。土を使わず、野菜類をLEDライト付き水耕栽培キットだ。水と専用溶液(肥料など)で40日で野菜が育つらしい。120日分の種がついて、1セット2万円と高い。「野菜を買って食った方が安いのでは」と聞くと、女性の説明員は「価値観が違うんです」と言う。「ここにも書いてありますが絆をはぐくむのです」と説明してくれた。「今日はこれぐらいになったね」という会話が大事なのだ。コミュニケーションを保つにはカネもかかる。
太陽光発電、風力発電導入すると、発電量、使用量、売電量が表示されると、それを見ながら家族でコミュニケーションは持てる。

こういった絆は大事だ。厳しい生活を強いられていると、ついついカネ計算になってしまう。反省だ.


             
FUJITAの垂直タービン型
あらゆる方向からの風を受
けることが出来る



アイ・ビー・テクノロジー「ジェネウィン」









旭化成ホームズのVEGEUNI
1セット2万円と高いが、これで家族の「絆」は保てれば
安い買い物なのだ。もう直ぐ市販されるという。


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