ノーベル経済学賞受賞学者も評価する安倍総理の「アベノミクス」だが、第1の矢は日銀任せ、第2、第3の矢は期待薄で危うさが見えてきたが、市場の円安、株高基調も米国、欧州経済の影響を大きく受けての乱高下の様相だ。
米・コロンビア大のノーベル経済学賞受賞のジョセフ・ステイグリッツ教授が、安倍総理と会談し「アベノミクスを評価」し、「2年で2%物価目標も可能」と言ったテレビ・ニュースが流れていたが、浜田さんが同席していたことから「やらせ」の感がした。
取り敢えず、第1の矢である「大胆な金融緩和」も日銀新総裁、副総裁の一人に積極的な金融緩和論者を据え、安倍総理の早期の実現要望に「2年で、2%物価目標」を表明し、「量的、質的両面でやれることは何でもする」と言わしめた。
ところが閣内では、麻生財務相が「2年で、2%物価目標達成」に疑問を投げかけた。ここ15年間で2%を超えたのは、97年の消費税増税、08年の原油高騰の2回で、しかも特殊事情だったから誰だって難しいと感じるはずだ。
それを2年でやるというのだから、相当思い切ったことをやるのだろう。米国では2~3%で止めるつもりが6~8%になったという例があるそうで、今世界の中央銀行では「金融緩和を止めるタイミング」、出口戦略が重要な課題になっているようだ。
我が国でも国会予算委員会で「2%の目標を達成してから止めるのか、達成見通しが出てから止めるのか」が問題になったが、安倍総理は「そこは専門家に任せる」と答弁を避けた。安倍総理にとっては、深い認識があっての2%物価目標ではないのだ。
おまけに、第2の矢「財政政策」、第3の矢「成長戦略」は、今のところ期待薄だ。
クルーグマン教授などは「こんな時こそ、緊縮政策ではなく財政出動を」と訴える。日本は、一般会計の半分を赤字国債に頼っており、民主党政権で削減した公共投資も、安倍政権で増額した。バラマキ予算と批判され度に財政健全化への取り組みも忘れてはいないという。2020年度までに黒字化するというのだ。
そんな長期政権を誰が担うのか。各政権が責任逃れに言っているだけだ。
財政出動も、国内需要が伸び、雇用、家計収入増の成長経済へ導き、税収増→赤字削減にならなければ赤字の積み上げの財政出動で終わってしまう。
「アベノミクス」に賛同する経済学者も「成長できるかどうか」が重要なのだと付け加えることを忘れない。
当たり前のことだ。
しかし、その第3の矢「成長戦略」が見えてこない。民主党政権時から名前を変えては成長路線が検討されている。安倍政権でも6月までに新成長戦略を纏めるという。ところが成長分野は医療/介護、環境、農業分野、再生エネルギー、iPSなど科学技術が取り上げられているが、何年経っても同じテーマで代わり映えせず、進み具合もわからない。
助成金頼みの成長分野って期待して良いのか。
名目3%、実質2%の成長が目論まれているが、成長率を労働力増加+生産性向上とすると、最近の経済状況では、確か労働力増加-0.6,生産性向上+1.5で成長率は1%にもみたない。女性の社会復帰を狙うが、子育て支援が役所の縄張りでうまくいっていないという。
安倍政権になったまだ3ヶ月、これからを期待したいが、「アベノミクス」に過大な期待は禁物である。
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