2013年3月22日金曜日

日銀・黒田新体制:「2年、2%物価目標」で市場と対話できるのか

日銀・黒田新体制がスタートした。「2年で、2%の物価目標」達成が使命と言う。これで市場と対話できるのか。今までの日銀は、市場との対話が不足していたとの批判に、これで本気度を示すというのだろう。

確かに、「2%以下のプラス、とりあえず1%目途」から「2%物価目標」に転換したとはいえ、その量的緩和は小出しで、特別な基金、融資制度、銀行券ルールなど、わかりにくい面が多かった。それで市場は日銀の量的緩和に懐疑的であったのか。

黒田新体制で、「2年で2%物価目標」を目指し、「量的、質的両面で、できるこは何でもやる」と言われれば、一応明確な目標だと理解できる。

しかし、今、市場にはおカネがだぶついているのではないか。

マネタリーベースでは、対GDP比で日本は先進国一高い水準で十分資金を供給できている状態で、、確か日本は27%、米国は19%と白川前総裁が答弁していたのを記憶している。日銀は説明が下手だという反省から、白川前総裁は記者会見でフリップまで用意して通貨量は120兆円になると説明したことがあるが、どうして理解されないのか苦渋の表情だった。


一方で、国会議員、民間エコノミストはリーマンショック後、先進国は通貨量を2~3倍に増やしたが、我が国は1.5倍程度で低い水準にあり、脱デフレにはもっと資金を流すべきだと日銀を批判する。黒田新総裁もこの説だ。

国会の予算委員会で、国会議員が日銀に「もっと通貨量を増やせ」と迫るが、お互いの見解を述べて平行線のままで終わるのが通例だった。


ところで、実情は日銀の当座預金口座残高は40兆円を超え、企業の内部留保は260兆円にも達しているらしい。投資すべき新しい事業が見つからないから、今だぶついた資金は投資や土地に回り、バブル経済へ一歩踏み出しそうな気配で、危惧する声が高まってきた。

実体経済への効果でなく、話だけで市場が期待して過剰に動くことに、白川前総裁ばかりでなく、多くのエコノミストも心配しているのではなかろうか。

黒田総裁も「2年で2%物価安定目標」は達成すべきであるし、達成できると確信しているというが、今までで2%を超えたのは、特殊事情のあった97年の消費税率引き上げと08年の原油高騰の2回だけだ。

容易だと言っているわけではないと言い訳するが、逆に言うと達成できるまで可能な限りあらゆる手段を講じる決意を示した。

脱デフレに向け、デフレ派にかわってリフレ派が金融政策のかじ取りをすることになった。

新体制が、「脱デフレは日銀の責任」と前体制を批判しても、麻生財務相が言うように、「日銀だけの責任ではなく、財政政策、成長戦略の第2、第3の矢が必要だ」という考えが正論だ。

2%物価目標も大事だが、とめる時の政策、タイミングも重要で、各国の中央銀行の悩みではなかろうか。黒田新総裁もしっかり国民に説明する責任がある。







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