被災地の遅れる復旧 追跡復興予算 NHKスペシャル 2012.9.9 |
「国が、県が・・」と要望する被災地住民、「想定外」を回避しようとする巨大地震、津波対策を前に、100%ハードで応じることは不可能で、「住民の自己責任」、「ほどほどに」の選択肢が迫られていないか。
沿岸部で標高が5m未満の 低地に住む人口は全人口の 2割、1m未満は263万人 名大調査 朝日新聞 2013.3.3 |
新聞に載る「3.11、その後の検証」類の記事を見ると、巨大化する津波対策で、「93歳の父を抱えて逃げることは難しい」、被災地の危険指定区域で自分の家を補修し、「ここしか自分の住むところはない」と言っている住民の声、被災地でやっと商売を再開したが、近くに住む住民がいないために将来を不安視する経営者の声を聞くたびに、国や県の規制を緩和し、自己責任で現状復帰することも考えなければならないのではないか。
でも、寺田寅彦博士も言っているように、災害発生直後は再度の被害を回避しようと、法律を作って規制したり、高台移転などを計画するが、時が経つにしたがって不便さから敬遠され、再び同じような街づくりが始まる。しかし、自然は過去の事実に忠実で必ず繰り返すのだ。忘れたり、油断した頃また襲い掛かってくることをわすれてはならない。
震災直後に菅総理は、「将来をにらんだ(?)復興計画」を目指し、著名な建築家や防災の専門家からなる有識者会議を作った。防災専門家は震災瓦礫を埋め立てて高台を造成する街づくりを提案していたようだが、箱物でも活性化を狙うのかと思ったが、そうでもなかったようだ。
被災地の三陸地方は人口減少が止まらない地域で、産業といっても漁業関連だ。身の丈にあった原状回復の復興をするしかない。
被災地がテレビに映るたびに放置された土地、建物の基礎を残したままの荒れた宅地、冠水したまま見放すしかない農地が目に留まる。国が買い取れとか、補償しろという話が出ているが、国だって国民の税金を使っての対策だから直ぐにどうこうなる訳がない。
安全を考えて高台を造成し宅地にする方法もあるが、使える土地は限られている。全員の希望をかなえることは出来ないだろう。だからといって被災地での復旧を可能とすると、国や県は再び津波が襲って住民の安全が脅かされても良いのかとの批判にさらされる。そこは「自己責任」だ。
高齢者や生活弱者は高台に住んで、若い、元気な人間は被災地に住める可能性も検討した方が良いのではないか。介護施設、病院も高台になる。
整備が進む避難タワー、津波高さの 見直しで役に立たなくなる例もあり、 自治体の苦悩が続く 2012.4.9NHKニュースヲッチ9 |
高知県のある町は34mの津波高さで町全体が浸水してしまう。生き残れる人は誰もいない事態も考えられる。
巨大な津波対策で防潮堤の強化が考えられているが、自然の猛威は恐ろしい。釜石市では10mの防潮堤を超えたし、深さ63mで世界一深い防潮堤の一部が倒壊した。
海岸線にさらに高い防潮堤の建設が計画されているようだが、住民は環境を破壊すると反対している。
巨大地震、巨大津波からハード面で100%守ることは不可能で、ソフト面で逃げることを考えるしかない。
そこで問題になるのが、高齢者、生活弱者をどう援護するかだ。また3.11では警察官、消防団、役場の職員たちが多数犠牲になられた。
防災専門家は「まず逃げること」というが、この点は避けて通っているのではないか。緊急時に何処まで責任を果たすかだ。
そして、これも寺田寅彦博士が指摘していることだが、文明が進めば進むほど天然の脅威になる災害がその劇的の度を増すことになる。
東電・福島第一原発の事故もそうだ。あれほど安全といわれていた原発が地震、津波で冷却施設が破壊され、メルトダウンし多くの住民避難と環境破壊を起こし、野田政権は終息宣言をしたが誰も信じていない。先日、復旧現場を記者が取材しているが唖然とするばかりだ。
今度、再び3.11規模の地震、津波が襲ってくると、首都圏でも避難しなければならない状況になるだろう。そうなると日本のみならず世界経済に大きな影響を及ぼすことになるが、本当にそうなる危険もあるのだ。
海外の科学者が指摘しているアウターライズ地震だ。2年経っても発生しないが、何年で起きるか分からない。それまである程度原発の復旧が進んでいるとよいが、危険極まりない状況なのだ。
今、安倍政権は安全が確保されれば原発再稼動の可能性に言及している。産業界も当然再稼動賛成だ。
でも、東電・福島第一原発事故の原因調査、それによる原発全体の安全確保がされているのか。国会事故調の事故現場視察も東電で拒否されたままではないのか。津波高さが増すことを念頭に検討した結果、堤防のかさ上げが必要で80億円かかるという検討を東電内でやったという。しかし、2回目の東電のテレビ会議の記録公開で、そのような津波の発生を否定したのは事故当時、現場で陣頭指揮に当たった所長なのだという。「自分があの時認めていれば、こんな状況ではなかったかもしれない」と後悔してもはじまらない。
津波来襲時の映像が流されていたが、段波(?)の威力はすごいものがある。東電が、もし堤防の強化をしていたとしても、重要設備の浸水は免れず、被害が軽減されていたかどうかは分からない。
国民にしっかりした検証結果、復旧経過を報告すべきではないか。訳の分からないままに電気料金に上乗せされて徴収されるのではたまったものではない。
そして、新聞報道によると、被災地の予算1.4兆円が繰り越しになっており、その大半が復興費だという。国会でも問題になったが、人手、資材不足があるようだ。生活基盤である漁業復興工事も38件中25件が入札不調だったとも言う。
政府も東北の復旧を最優先するためにドンドン予算化しているが、大半が繰越していてはどうしようもない。被災地の現状を良く検証し、有効で効率的な税金の使い方をしなければきりがない。
震災復興、現状回復(復帰)、地震、津波そして火山噴火対策は、「国や県が・・」ばかりではなく、「自己責任」と「ほどほどに」の選択肢が必要ではないか。
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