2013年3月12日火曜日

行政と住民の食い違う震災復興:防潮堤が先か、街づくりが先か

気仙沼 大谷海岸で高さ9.8mの防潮堤が計画されている
2013.3.11 テレビ朝日 報道ステーション
3月11日は、当然ながら大震災後2年、被災地の今、復興がどうなっているか、その課題に関するメディアのニュースが目白押しだ。当然、ブログのタイトルも「行政と住民の食い違う震災復興:防潮堤が先か、街づくりが先か」になった。

多くの映像が、被災地で基礎部分だけ残して荒れ放題の宅地、周りに住宅がないのに営業を始めた商店、水産加工会社の工場、事務所、冠水したまま手が出せない農地、地盤沈下のままの土地、浸水の危険も去らない漁港、盛り土工事が始まった地域等が映し出される。

そんな中で進まぬ復興に、行政に対する住民の不満は募るばかりだ。

しかし、進まぬ復興の要因に、「防潮堤が先か、街づくりが先か」の住民と行政の間の溝が大きいのだ。

今までも時々メディアが防潮堤建設計画を報道してきたが、11日のテレビ朝日の報道ステーション「次々進む巨大防潮堤」で気仙沼市大谷海岸の計画を見て、復興計画の本筋を知ることができた。

計画を知らせる標識
報道ステーションより
それによると、この大谷海岸は震災前には海水浴場客などでにぎわっていたそうだ。そこに海岸と生活地を区切るように巨大な防潮堤を建設するというのだ。防潮堤の高さは9.8mとなると擁壁底部幅は40mぐらいの長さになり、砂地などはなくなってしまう。景観も悪くなり環境破壊と反対されている。

被災住民らは、せめて5mぐらいの防潮堤はどうだというのだ。今回のような津波は1000年に一度、それより頻度の大きい三陸津波、チリ地震による津波は数十年、数百年に一回だからもっと低くていいだろうというのだ。1000年に一回の巨大津波対策では、街づくり、避難経路計画など総合的な対策が必要なのだろうという。震災前と同程度の生活ができればいいのであって、海抜9.8mの堤防は必要ないのだ。

原状回復、自己責任から考えると、正論かもしれあい。

せめて5mぐらいの堤防となるとこの
イメージだ
報道ステーションより
ところが、行政は今回のような津波にも耐える防潮堤を作って、それから街づくりをする1セット方式を提案し、住民の生命、財産を守ろうとするのだ。だから防潮堤を低くすることなど論外なのだ。国の予算も今つけなければ2~3年後にはつかなくなることも関係している。

でも、巨大な防潮堤計画は、ここだけではない。

東北3県の沿岸総延長369㎞、総工事費8284億円になるというのだから「ほどほどに」できないのかとなる。

行政と住民との思惑の違いを調整しない限り、復興ははかどらないだろう。それに自治体の職員、土地の所有者、権利などが絡んでくるとなおさらだ。

国や県は「こうするんだ」という計画を押し付けるのではなく、住民の「自己責任」、「ほどほどに」の選択肢を生かした計画を進めたらどうなのか。



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