2013年3月16日土曜日

日銀、量的緩和復活:今度は何を試そうというのか

読売新聞 2013.3.16

日銀は新体制スタートに当たって、量的緩和を復活させるという。今まで白川・日銀の政策は効果が低かったので、今度はこっちを試してみようと言うのか。分かりにくいというか、エコノミストの考えは十人十色、あっちがダメなら、こっちと言うことか。

白川総裁は、度毎に非伝統的金融政策を実施していると言う。国会予算委員会で「日銀の政策に効果があったのか」と問われ、「それぞれ経済環境は違っているが、効果があるモノと信じて金融政策を実施している」と答弁していた。

安倍総理の2%物価目標、より一層大胆な金融緩和、アベノミクスに呼応したかのように市場は円安、株高に転じた。その結果、日銀への政策批判が声髙になった。白川総裁にしてみれば、「2%以下のプラス 取り敢えず1%目途」、非伝統的金融緩和の継続で効果が出ていたと思っていたはずだ。更に財政政策、成長戦略の必要性を強調していた。

ところが、安倍総理を支えるリフレ派や、新しい日銀総裁らは日銀に責任があると断じる。金利もゼロ金利で金利政策が取れない日銀にとっては難しい局面だ。

讀賣新聞(2013.3.16)の「日銀 量的緩和復活へ」の記事に、多少驚いた。日銀新体制では、7年ぶりに「量的緩和」を復活させるというのだ。

今までだって、市場におカネを流すことにより低金利を維持し、企業や個人が借金しやすくすることにより消費を増やし、経済成長路線に持って行こうとしたはずだ。

でも、日銀と銀行間をカネが行ったり来たりしている状況で、そこから先にカネが流れない。どうやって先にカネを流すかが問題で、第2、第3の矢が重要になってくると麻生財務相は日銀に理解を示す。

新体制は何をやろうとしているのか。

1~3年の短期国債から5年以上の長期国債を買い入れること、2014年から実施しようとしていた無制限緩和の実施を前倒しすること、銀行券ルールの見直し、日銀預けの当座預金金利0.1%の撤廃などして、量的緩和を復活させ、カネの量を増やすというのだ。

日銀の決定会合などでも提案されていたが賛否で否決された政策、巷間のエコノミストも提言していた政策だ。

現体制が採用しなかった政策を新体制でやってみようと言うことか。新聞に出たことで、市場が期待するかどうか。18日の東証株価、為替の動きに注目だ。

それにしても、あっちがダメなら、こっちを試そうでは心許ない感じだ。

我が国だけが長いデフレから脱出出来なかった理由には人件費削減が大きいのではないか。中国、韓国、東南アジアの安い賃金での製品と競争するために、各企業が人件費削減、リストラを実施したり、工場を海外へうつした。。

一方で、企業の利益は、内部留保へと進み260兆円を超える額になった。デフレ脱却はまず、賃上げ、雇用の創出だ。安倍総裁がアベノミクス推進に、経済界に賃上げを要請し、ボーナスなどで答える企業が増えてきた。

しかし、実体経済への効果はまだ出ていないと経営者は牽制するし、大きなウェートを占める中小企業は、その余裕はないと言う。

市場のリスク・オン、企業家マインドの転換へのインセンテイブは大事だが、やってみなければ分からないところに経済政策の難しさがある。

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