2013年4月13日土曜日

量的緩和の実体経済への波及:政府・日銀笛吹けど企業踊らず?

日本銀行本店

日銀・政府笛吹けど企業踊らず。そんな感じがする日本の経済ではないか。黒田・日銀新体制は「2年で2%物価目標」に向け、異次元の質的・量的金融緩和で「2年でマネタリーベース2倍」を目指し、今でも資金がダブついているのに、更に通貨供給量を2年で270兆円にするという「出し惜しみのない」金融緩和を発表した。

2倍、2倍のわかりやすい数字で提案したために政府、市場、経済界も大歓迎だ。

円安、株高の予想せぬ急速なフィーバーに驚いたのか、黒田総裁は国債の信用下落、長期金利の上昇を心配して、政府に財政健全化に取り組むよう強く促した。

今だって日銀と銀行間だけで資金が動き、そこから先には資金が出ていかないダブついた状態で、実体経済に回らず、バブル経済の様相を呈している。それなのに、どうして更に市場に資金を流そうとするのか。

これだけ見ると、明らかに政府が発行する国債の7割を日銀が引き受ける禁じ手ではないか。

経済界は、何かにつけて政府に「あれをやってほしい。これをやってほしい」と要求するばかりだが、経済界は自ら何かをしようと努力しているのか。サービス業では事業拡大を進めようとしているが、製造業では動きが鈍い。

ジェトロの会長が、「資金はあるが、これをやろうとする事業が見つからないのだ」と発言していたのを新聞で読んだことがある。経営者、起業家の本心ではないか。

国会でも、白川前総裁が大胆な金融緩和をやらなければデフレ脱却は出来ないと批判されていた時、麻生財務相が「日銀だけの責任ではない。第2、第3の矢で政府もやらなければならない」という意味の発言をしていた。

その通りだと思う。

また、経済財政諮問会議でも、麻生財務相が「日銀、銀行間で資金が行き来しているだけで、そこから先に出ていかない。そこが問題なのだ」と指摘した時に、民間委員が「そういうこともストレートに議論しようではないか」と提案したことがある。

政府は6月までに、成長戦略を纏めると言うが、成長戦略は各政権が取り組み、名目は違っても似たような事業分野が上がっているだけで効果の期待は疑問符がつく。民主党・菅政権の時、事業の検証をしたが30%の達成率だったという。それも甘い評価だったのではないか。

これからは、規制改革、構造改革が必要で利権を守ろうと抵抗する官僚機構、既得権益を持つ企業団体との戦いになり政治の仕事だ。

そして、経済団体も事業を興すには何がネックになっているのか。人のカネ(税金)で展開する官の事業より、自分のカネで展開する民の事業に資金を流す工夫が必要だ。審議会の偏った民間委員に頼らず、経済界全般に意見を聞くことも大事ではないか。

今のような行き過ぎた(?)量的金融緩和による副作用も確かに大きく、好ましくない経済へ進む危険もある。あらゆる経済指標を注意深く検討することも大事だ。

ここは、広く会議を起こし経済人、起業家の意見を聞き尊重すべきではないか。

今は、政府・日銀笛吹けど企業家踊らずだ。

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