米国式経営の取り入れで日本の良き伝統が崩れていくことに忸怩たる思いがあったが、ここに来て経済財政諮問会議で「持続的成長を実現する市場経済システムの構築」に向け、専門部会を設置した。失われた日本式経営を取り戻そうと言うのなら大賛成だ。
競争原理の導入、大きなコスト意識・・コストカット→収益改善、配当による株主優遇、グローバリゼーションで海外展開は、我が国企業にも大きな影響を与えた。今まで良き日本式経営として上げられていた終身雇用、○○一家の考えでも分かるように企業への忠誠心、企業内組合は、その善悪は別としてことごとく破壊された。
その結果、リストラ、人件費削減、海外への展開は、国内経済の停滞、給料カット、雇用の悪化、非正規従業員の増加は、長期デフレから脱却出来ない日本経済の要因にもあげられている。
私がつとめていた会社も変わった。新年の社長メッセージが英語で流れ、日本語でスーパーが入っていたのはお笑いであったが、ルーテイン作業分野は別会社化され、製造部門の一部も外注化され、コストカットが徹底された。極端に言えば、社長以外はアウトソーシングも考えられる。株主は優遇され配当は上がったのでメデイアは経営能力を評価した。
合理化、経費の削減は徹底され、毎年2回昨年度比で何%の経費削減になったかが競われた。それでも社長は「安全では手を抜くな」と言う。維持管理費では計画的な塗装を遅らせる手に出たために、プラント自体が錆て来た。
日米経済調和対話 在日米大使館HPより |
米国もえげつない。日本政府に「年次改革要望書」(正式な名称は?)を突きつけてきた。以前は在日米国大使館のHPトップ画面の右下に項目があったが、今は名称も変わりHPの奥の方に存在している。[政策関連情報]→[経済・通商関連]→[規制改革]→[日米経済調和対話]とクリックを繰り返すと2011年3月の内容のモノが見られる。
競争的機会の創出、新規事業や貿易を促進し、公共の福祉を増大させる措置を講じるというのだ。10分野について、更なる調和と連携を促進するというのだ。
以前は、毎年成果の進捗状況の報告を義務つけていたが、今はその記述はない。
小泉内閣時代の規制改革会議を見ると、郵政民営化に見られるようにアメリカ企業の参入障壁を撤去するのが目的で、アメリカに安く買いたたかれて企業を買収されたことしか思い出せない。
持続的成長を実現する市場経 済システムの構築に向けて 平成25年4月18日 経済財政諮問会議議事録 |
ところが、4月18日の経済財政諮問会議で、甘利経済財政担当相の提案で持続的成長を実現する市場経済システムの構築に向け「目指すべき市場経済システムに関する専門調査会」を設置した。
短期的な利益追求に偏らず、中長期的視点を重視した企業経営を通じて、新しい成長分野などにチャレンジする重要性を説いている(持続的成長を実現する市場システムの構築に向けて 平成25年4月18日)のだ。
過去に、業績の良いのに配当の低い企業に配当を増やすように持ち株比率で強要する村上ファンドのように短期の利益に執着するやり方は、株を長期に持った企業育成の障害になった。
今、株価は大きく変動を繰り返している。世界の政治経済に敏感に反応する。無理もない事で、投資家に役立つ株売買のプログラムは皆同じようなモノでチョットした変化にも大きく変動する。確か歴史のある十文字や証券が、今のコンピューターによる株取引にはついて行けないと証券業を廃業したのは、ついこの間だ。
新しい資本主義のもとで、わが国を 中長期に繁栄に導く制度とは アライアンス・フォーラム 原氏 経済財政諮問会議議事録より |
講師として招かれたアライアンス・フォーラムの原さんは、新しい資本主義のもとで、我が国を中長期的に繁栄に導く制度を構築すべきであると提案した。
会社とは誰のモノかとも問いかけている。
遅きに失したが、日本的経営の良さを取り戻してほしい。小泉内閣で活躍(?)した竹中さんが産業競争力会議で更なる規制緩和を提案しているが、「竹中」vs「反竹中」の構図での力相撲であってはならない。
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