安倍総理、黒田総裁VS市場、いつまで続けるのか、否続けられるのかサプライズ・ゲーム。市場が期待外れと思った瞬間に下落の道だ。株価は12000円台、1ドル94~95円で何やら足踏み状態だ。次のサプライズにどんなサプライズがあるのか。市場にサプライズを与え続けなければならない安倍政権、日銀に期待しすぎの懸念がある。
安倍総理は、2%物価目標、大胆な金融緩和、日銀総裁人事で第1の矢を放った。市場は円安、株高に反応し「アベノミクス」を評価した。
しかし、第2の矢の財政出動には財政健全化の足かせがある。国土強靭化と言いながら公共事業を展開する安倍政権に、民主党はばらまき予算と批判する。経済成長へもっていけば税収も上がり再建に寄与すると思ったが、物価上昇は金利の上昇も伴いうまくいくはずがないという考えが出てきた。
第3の矢の成長戦略は、どの政権でも変わり映えしないテーマで、いままでも実効性に乏しい内容だ。規制緩和、構造改革が必要というが、官僚が関与する利権構造は容易なことで打破はできない。
安倍総理のアベノミクスも、第1の矢までだ。
一方、日銀はどうか。
「慎重派」だった白川前総裁とは打って変わって、「大胆な姿勢」を示した。笑顔も作り、はっきり物を言い、手振りも加えた話し振りで、エコノミストはこぞって市場に訴えることができたという。
「2年で2%物価目標」をやり抜くといったが、一方で「容易にできるとは思っていない」とも付け加えた。だから「やれるものは何でもやる」ということになるのだ。
1年前倒しの無制限緩和、買い入れの一元化、銀行券ルールの撤廃、リスク資産も積極的に買い入れなどで市場にさらに大量の資金を供給するというが、市場にはすでに大量の資金がだぶついているのではないのか。
「日銀と銀行間で資金が動いているだけで、そこから先へおカネが出て行っていない。そこが問題なのだ」と麻生財務相は指摘し、日銀だけでなく、政府もやらなければならないという。
「デフレ脱却は日銀の責任」などと黒田総裁は政権受けのいいことを言うが、日銀だけでできるとは誰も思っていない。
サプライズ・ゲームもいつかは途切れる。その時期はもうすぐのような気がする。
だぶつく資金でバブル経済を再現することだけはやめてほしい。
[後記]
日銀は、4日の決定会合で異次元と表現するエコノミストもいる質的・量的緩和策を発表した。
考えられるすべての政策を出したそうで、賛否両論あるだろうが、バブルを危惧しながらもほとんどが賛成だろう。政府も大胆な政策を評価している。
金利政策では、ほぼゼロ金利で何もできず、必然的にマネタリーベースの操作になってくるのは当然だろう。
でも出し切った今、次の政策に何があるのか。あるとすれば禁じ手の危険なものしか残っていない状態なのだろう。
昨日に続き、5日も市場は反応し、株価は10時過ぎに420円高の13050円、1ドル96~97円台だ。こういった株高、円安がいつまで維持できるか。欧州経済、米国経済の状況次第ではいっぺんに吹っ飛ぶのではないか。
市場は薄情だ。日銀、政府の失敗も儲けにつなげようとする。国民の生活安定を市場の動きだけで判断しては間違ったことになる。
今回の政策は、大胆な一方で危険な賭けに出たとも言えないか。
(2013.4.5)
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