安倍政権の財政健全化は、第2、第3の矢でGDPを伸ばし、債務残高対GDP比を245%から下げることなのか。脱デフレで日本経済を成長路線に乗せるには財政政策が重要になるが、一方で財政健全化も国際公約であり、世界の信認を得るには避けて通れない重要課題である。
4月22日開催の第9回経済財政諮問会議の議事録要旨を読んでみた。
議題は、①経済再生と財政健全化の道筋について、②人的資源について、③規制改革について、④「日本経済再生に向けた緊急経済対策」の進捗状況についてだ。
民間議員から、財政健全化はシーリングなしでは難しいのではないか。プライマリー・バランスだけでなく、債務残高の目標設定、法制化も必要ではないのかとの発言があった。
これに対して、麻生財務相は「しっかり対応しているので、今は必要ないのではないか。債務残高の改善は対GDP比の問題だからGDPを伸ばしていくことが重要だ」と答えている。
財務省としては財政健全化のためのシーリングは大事だろうが、これを設定すると予算化での自由度がなくなる。
麻生財務相は、第2、第3の矢でGDPを伸ばせば、必然的に債務残高対GDP比は下がることになる。
でも、成長分野、成長路線も決まらないのにGDPが伸ばせるのか。
黒田日銀総裁も「財政健全化への道筋を明確にすべきだ」と従来の考えを繰り返したが、民間議員も消費税がこれから8、10%になるのだから、しっかり経済財政政策を行う必要があると同調した。
ところが、官房長官が「2015年のプライマリー・バランス半減まで後2年、骨太の方針でしっかり考えるということでいいのか」と財政再建目標の見直しを示唆したが、民間議員が「両立は難しいが実体経済を見つつ、どちらの課題もしっかり見ていく」と否定した。
最後に、甘利経済財政担当相が「財政再建の見通しを示せないと市場の信認を失う。決意を具体化し、経済を失速させないように英知を集めて設計しよう」と提案した。
安倍政権は、成長戦略を目指して日本経済を活性化しようとしているが、さらに国土強靭化もあり資金はいくらあっても足らない。安倍総理はどういうかじ取りをするのか。
半減させる2015年まで後2年、黒田総裁が約束した2%物価目標がどうなるのか。第2の矢の効果が出てくるのか。
2020年のゼロまで後7年、その時まで総理は何人替わっていることやら。安倍政権では責任を持たないということか。
ところで、債務残高は対GDP比でどこまでが大丈夫なのか。
G20財務相、中央銀行総裁会議で、90%を大きく下回る目標が検討されそうになったが、回避された。
90%以下にどんな意味があるのかと思っていたら、債務残高が対GDP比で90%以下なら経済成長に支障がないという論文に基づいていたそうだ。しかし、最近その根拠となる計算にミスが見つかったという。
それにしても日本の債務残高対GDP比245%は、先進国で一番悪い。麻生財務相が第2、第3の矢でGDPを伸ばせばいいというが、今のGDP約460兆円をどれほど伸ばすことができるのか。
世界の市場の信認を得ることは、相当難しいと思うのだが。
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