2013年11月30日土曜日

第43回東京モーターショー:私の視点は「軽自動車」+「カブリオーレ」だ

ホンダ S660
開場前に見学者で混雑する会場
2013.11.29
29日、東京ビッグサイトで開催の第43回東京モーターショーに行ってきた。今回の私の視点は「軽自動車」「カブリオーレ」だ。年配になると、家族で遠出の機会はなくなり大きな車は必要なくなった。経費の安い軽には興味があるし、なんと言っても開放感のあるカブリオーレは一度乗ってみたいと考えている。高齢化社会に向け軽自動車+カリブオーレの時代だ。

以前、著名な自動車評論家が、「年配者にはカブリオーレを勧めます」とコメントしていたことが忘れられないのだ。 

ダイハツの代理店でKOPENが展示されているので見に行ったが、2人乗りで運転席が狭そうに見えた。日産のデイ―ラーでルノーのカブリオーレに試乗したが4人乗りでも後部座席はチョット狭い。裕次郎さんが西部警察でやっていたような飛び乗りなど出来ない。

オープンカーだから車内が丸見えだ。今年の夏、面白い場面に出くわした。真夏で結構暑かった。安中バイパスの合流点で私の車の前に外車(車名は忘れた)のカブリオーレが入ってきた。信号で止まると年配の男性が帽子を取って必死で頭や顔の汗を拭いている。助手席の奥さんが、冷えた(?)タオルを差し出している。

相当暑い日だったと思うが、「エアコンは付いていないのか?」と家内と笑いあった。

服装には気を遣う。かえって年配者には良いのではないか。だらしない服装よりきちっとするのだから認知症の予防にもなる。これも以前に朝日新聞の投書欄に載っていた記事だが、オープンカーを買った奥様の投書だ。車が来てご主人の最初の仕事はデパートへ服を買いに行ったことだという。何となく分かる気がする。

群馬に住んでいたときは、軽が目についた。勿論農作業、趣味には軽トラは欠かせないが、年配者や若者夫婦の利用も増えてきた。近場での利用は軽で十分であるが、性能も上がり、40年ほど前は高速道では軽が珍しかったが、今はビュンビュン走っている。

軽だと高速道も本線を走り「スピードも出さないのではないか」と、山陽自動車道でトンネルの手前での速度制限に違反して免停処分を受けた私を見て家内が笑う。高速道での本線の走行はメリットもある。混んでくると追い越し車線側から渋滞が始まり、本線走行の方が早く目的地に着くことは実験で証明されているのだ。

あらゆる面で、「軽」「カブリオーレ」は効用がありそうだ。
モーターショウ-の展示場に入ってみた。

BMW カブリオーレ
やっぱり外車のカブリオーレは、外観、内装もすばらしい。一度は乗ってみたいと思うが、こんなに豪華だとかえって乗りにくい。

目をひいたのは、ホンダの「S660」だ。コンセプトカーだったが、見学者でごった返していた。若者が多い。

ダイハツ コペン
ダイハツ「コペン」の後継車も外装の着せ替えが可能という。

ITS東京会議2013でも運転支援システムの展示が多かったが、モーターショーでもスバル・LEVORGでアイサイトが紹介されていた。ステレオカメラ採用で人間の目と同じように車、歩行者を早く、広く認識できる運転支援システムだという。





日産 Autonomous Drive
トヨタ、日産は高速道を自動運転の
デモンストレーションをやっている
2020年までには実用化という
日産も「Autonomous Drive」でアラウンドビューモニター、エマ-ゼンシーブレーキで自動運転を可能にした。2020年までに実用化するという。高齢者、身障者に良いニュースだが、そこまでして車に乗りたいのかという思いもしてくる。

水素燃料電池車の展示もあった。3分で水素を充填でき、一回の充填で500km程走れ、レギュラーガソリンと同程度の燃費を狙っているという。車体価格は少し高めで500万円と言うところか。まだ具体的なことは決まっていないようだ。

VOXYがウェルキャブを参考出展していた。車いすに乗った年輩の男性と、その奥様が興味を示していた。今、介護施設などで採用されているが、個人でも必要になってくるだろう。


高齢化社会に向け、「軽自動車」+「カブリオーレ」の時代が来ているのだ。

スバル アイサイト
ステレオカメラで人間の目と同じように
車や人間を認識できるという

2013年11月28日木曜日

特定秘密保護:運用は官僚のさじ加減のお粗末さ、危うさ?

特定秘密保護法案を読むにつけ、その運用は官僚のさじ加減で、「国民の知る権利」、「国益」はどうなるといっても、踏みにじまれそうなお粗末さと危うさだ。どんなに限定的に、どんなに厳しく規定しようとも時の政権、官僚の恣意的運用は避けがたい。

秘密を規定する事項では、官僚お得意の「・・・・その他の・・・」という拡大解釈できる文言が多用されている。野党で削除を指摘していたが、当初案の通りのようだ。

チェック機関に当たる「第三者機関」もあいまいなまま、衆院を通過した。民間人の有識者を加えた考えもあったようだが、逆に秘密が漏れると政権、官僚が反対したようだ。

衆院を通過し、「良識の府」と言われている参議院に移ったとはいえ、参院も衆院の焼き直しで大きな期待などできない。会期末も迫っているので譲歩などしないだろう。

国家安全保障会議も4日には設置、国家安全保障局長には高級官僚OBが予定されているらしい。

何をやるにも、民間人より高級官僚が任用されやすい。それが官僚組織の肥大につながり、官僚利権につながるのだ。

そこには、「国民の安全」、「国益」を守ると言うが、官僚組織を守るために恣意的運用の危険があるのだ。

もう一度考えてみよう。

先の国会審議で、民主党議員が「「SPEEDI」のシミュレーション結果は特定秘密か」と質問した時に、森担当相は「秘密事項ではない」と応じていたが、その情報がうまく使われなかった事に対して
安倍総理は「民主党・菅政権の時の失敗だ」という意味の答弁をし、逆に質問した野党議員が「申し訳なかった」と謝罪していたという記事が新聞に載っていた。

これは、民主党・菅政権の責任だけではないと思う。自民党にも大きな責任があるし、勿論政権を補佐する官僚組織の責任は大きい。

当時の危機管理センターの官僚たちはどういう動きをしていたのか。菅総理の動きしか新聞、テレビに出ていなかったが、こういう時こそ官僚機構を最大限に生かす必要があるのに、官僚の動きは鈍かったのではないか。

勿論、シミュレーション結果を公表することによる社会の混乱を回避するために公表を遅らせた政治判断もあったのかもしれないが、避難住民への被ばくを回避するためにも官僚はしっかりすべきではなかったのか。

国の安全、国民の安全を守るためには、時の政権もさることながら、官僚機構が最大限動いていることが必要ではないか。

決して、政権、官僚による恣意的運用があってはならない。

どんな法律だろうが、運用するのは人間だ。



2013年11月27日水曜日

特定秘密保護法案・衆院突破:これが本当の民意か

特定秘密保護法案の衆院通過を報じる讀賣新聞
2013.11.27
特定秘密保護法案が26日夜、衆院本会議で採決された。自民、公明、みんなの党が賛成したというが、これが本当に民意を反映した結果なのか。修正協議したはずのみんなの党、日本維新の会は党内で問題を抱えているようだ。

衆院では、国家安全保障特別委員会で法案審議をしている裏で、与野党が修正協議をする異常な事態を国民の前にさらし、先立つ福島での公聴会では意見陳述者のほとんどが反対又は慎重意見だったが、その公聴会の意見も反映させないままの衆院本会議の採決だった。

おまけに、ジャーナリスト、学識者、メデイアのほとんどが反対意見を発している特定秘密保護法案に民意があるのか。

政府は、日本版NSC法案とセットで秘密が保全されていることが各国が情報交換していくうえで不可欠であるとの認識を強調し、12月6日までの臨時国会会期中の成立を目指し、譲歩の意思はない。

「ねじれ国会」解消しても、自民党単独での強行突破だけは避けたい自民・公明政権は、みんなの党、日本維新の会と修正協議に持ち込み強行突破の様相だけは避けることができた。

しかし、これが国民の民意なのか?

この法案が、米国からの強い要望があってのことは与野党協議の中で見えてきた。

新聞報道によると、野党が「防衛秘密は自衛隊法で決まっているので対象から除外すべきではないのか」と要求したとき、自民は「アメリカ当局から統一的な情報保全法制を求められている」と除外を拒否した。

また、25日の参院決算委員会で民主党・蓮舫議員の「国民の望まない秘密保護法だけ急ぐのはいかがなものか」との質問に、安倍総理は「海外の情報責任者から「今後さらに情報の共有、交換が必要だ」と話をいただいているわけだから、しっかり議論していただき、成立をお願いしたい」と応えている(朝日新聞2013.2.26)。

米国から喫緊の政治課題として突きつけられているのだ。

確かに、日本はスパイ天国と言われても仕方ないことがあった。イージス艦の機密事項が第三国へ流されていたこともあったし、最近ではステルス戦闘機「F35」の情報開示を米国が渋っているという。

同盟国から重要な情報を得られない事態になれば、日本の安全保障は危うい事態になることぐらいは分かっている。

でも、このような特定秘密保護法が本当に必要なのか。

官僚組織が官僚を制する官僚主導の秘密保持体制で「国益」を守ることが出来るのか。

改めて朝日新聞(2013.11.27)で「特定秘密保護法4党修正案(全文)を読んでみた。

目的は我が国および国民の安全の確保であって、「国益」を守ることなど記されていない。

別表の秘密保持事項には「・・・・その他の・・・」という表現が9カ所も使われており、官僚お得意の拡大解釈への道が大きく開かれている。どの野党だったか忘れたが、この表現の削除を求めたと思うが、政権、官僚は当初案を貫いたことになる。

特定秘密の指定、解除に関する検証、観察機関のいわゆる「第三者機関」も、日本維新の会の山田議員の執拗な質問に「自分は設置するよう考えている」と答弁していたが、その内容は曖昧なままだ。

「国民の知る権利」、「報道の自由」も、肝心な国家公務員が情報の提供を制限してしまえば、「国益を守る」ことも覚束なくなる。

安倍総理! 自民党は野党生活の経験から「国民目線」に変わったのではないのか。衆院選での訴えは嘘だったのか。政権に復帰して短期間に元の自民党体質に変わったのか。

これが安倍内閣支持率下落のきっかけになる気がする。もう一度考え直せないか。




2013年11月26日火曜日

猪瀬知事 これはいけませんね

苦肉の策で出て来たのか「借用書」
2013.11.26 ミヤネ屋 日テレ
猪瀬知事 これはいけませんね。猪瀬知事は26日の記者会見で、探してみないとわからないと言っていた借用書を提示した。朝日新聞(2013.11.25)によると、徳田前理事長の妻も「見たことがない」、「返却時に持ってきてくれ」とも言われていない借用書が送り返されたことになるのだ。

テレビ画面で見ると、借用書、年月日、徳田毅、円也はパソコンで打たれているが、5000万円、猪瀬知事のサインは手書きと見てとれた。

記者からは鋭い質問が浴びせられていた。「印が押されていない」、「借用書は双方で用意するものではないのか」など。

私もおかしいのではないかと思う。

何故、パソコンで打った事項と自筆が共存しているのか。普通なら全部パソコンで打って印を押すとか、署名だけ自筆でするかではないのか。

返却された借用書だというが、見た感じでは折り目が付いていない。

本当に1年前に作成した借用書なのか?、数日前に日付だけ1年前にして打ったのではないか?(パソコンを調べればわかることだが)。

この借用書で、猪瀬さんのストーリーは、「5000万円借用したが実際には自分の預貯金で賄うことができ必要なかったが、このおカネがあることで一種の安心感をもつことができた」ということのようだ。

困り果てた末の苦肉の策の「借用書」提示になったのだろうが、逆に致命傷にもなるのではないか。

最後に、「辞任は?」と聞かれ、「都政を全うし償いたい」という意味の発言をしていたが、医療機関、介護福祉施設では許認可権をもつ都知事だけに、贈収賄の疑いも出てくるらしい。

一方、東京オリンピックも控え、新聞報道でも政権側と主導権争いのニュースも流れた。何やらきな臭いにおいがする政治資金疑惑だ。

そもそも、ニュースになった発端は何だったのか。

430万人の支持者にどうこたえるのか。


2013年11月24日日曜日

猪瀬知事の「要請はしていない」「借用書は探せばあるが、公表しない」発言をどう見るか

猪瀬知事の政治資金疑惑で、「要請はしていない」、「借用証は探せばあるが、公表しない」発言を有権者はどう見るか。メデイアによると23日の総合防災訓練視察後の取材で猪瀬知事は、そう応えたそうだ。

記者を避けずに応える姿勢は認めるが、内容がなっていない。

猪瀬さんは、先輩達の不正蓄財、政治資金疑惑をどう考えているのか。

日銀の福井元総裁は、村上ファンドとの関係で出資したことになっているが出資した証拠を見せろと言われても契約書を提示しなかった。

宮沢元首相も金銭がらみの疑惑で契約書など3点セットの国会提出を再三求められたが、応じなかった。そういう物がなかったのか、一説によると、「悪しき前例」になる事を恐れて自民党が拒否したためとも言われている。

どちらも要求に応じないまま、福井さん任期を全うし、一方の宮沢さんは辞任していった。猪瀬さんはどちらを参考にしているのか。

更に、徳州会側は、「1億円を要請されたが、取り敢えず5000万円を渡した」と言うが、猪瀬知事は「要求は一切していない。100%ない」と主張している。

どちらが本当のことを言っているのか。

考えられるのは、徳州会側はすでに家宅捜索も受けており、今更嘘を言う必要もないが、猪瀬知事は、この疑惑がどう発展して行くかは自らの発言にもよる。嘘をついてでも何とか繕おうとする意志は強く働くはずだ。

徳州会側が真実に近いことを話している可能性が強いと思う。

ノンフィクション作家として名を馳せた猪瀬さんだが、自分の疑惑をどう説明し納めようとしているのか。

みっともないことだけは止めてほしい。

[後記]
都内の市民団体が、猪瀬さんと徳州会関係者を公職選挙法違反容疑で東京地検特捜部に告発した。
                           
                                      ( 2013.11.25 毎日JP )


東大・A.C新営工事・埋蔵文化財調査:200年前の加賀藩上屋敷の生活の一端を見る

東大・A.C新営工事、埋蔵物文化財発掘調査現場
2013.11.23
東京大学が新しい図書館の書庫を増設するのに伴う埋蔵文化財の発掘調査が行われ、11月22,23日に見学会が実施され、23日の午後の部に参加した。東大の敷地は、赤門に見られるように、ほとんどが加賀藩上屋敷跡で、東京帝国大学図書館にも使われたが、関東大震災で焼失、今は2~2.5m掘り下げられ江戸時代中期の地層が出ている。

地層に、焦土、灰色層が見られるが、焦土は関東大震災での大火の結果で、灰色は数10万冊と言われた蔵書が燃えた跡だろうと見られている。

敷地は兎に角広い。10万坪と言われ、中央に藩主とその家族が住む御殿、それを取り巻くように家臣が住むエリアがあり、有名な三四郎池は御殿の庭園だ。赤門は余りにも有名であるが、当時は将軍家から嫁をもらうと門や何から何まで赤を塗ったそうだ。

発掘現場は、踏み固められた堅い層まで掘り起こされ、穴や構築物がきれいに整理されている。

植栽痕
そして、木を植え替えた跡が分かる「植栽痕」も見られる。

当時の生活道具や食べ物の後始末をした「ゴミ穴」、ここには位の高い人が食べたアワビの貝殻や位の低い人が食べた貝類の殻も残っていた。






ゴミ穴
面白いことに、素焼きの欠けてもいない新しそう皿が捨ててあったそうだ。神の前で使った物は使い回ししない風習があったのだろうという。








地下室

妙に地下室が多い。




そんなに大きくはない穴だ。ここは火事などが発生したときに、生活品を保管して逃げる為の倉庫のようなものだ。火事が収まって戻ってきて又、生活を始めることが出来る知恵なのだ。

関東大震災では、生活道具を持って逃げたために、道路は渋滞し、広場は人間が入れないほど狭くなり焼死していった。




便所
「便所」は、穴の周辺の土がカルシイウム分で堅くなっているので直ぐ分かるそうだ。面白いことにその中に、銅製の鏡やカンザシが7~8本落ちていたという。

1827年に嫁いできた溶姫の御殿があった場所での遺物だ。





井戸など

「井戸」、「上水井戸」「石組溝」、「塀列」もうかがえる。

この時代は男は9割が単身赴任だったようだ。参勤交代では3000人の人が動いたという。女性は藩主の夫人で、女中が150人いたとも言われているようだ。


この埋蔵物調査が終わると、この場所は地下40mまで掘り起こされ、300万冊の蔵書を保管し、出し入れ出来る「ハイブリット図書館」が出来るらしい。

東大で有名な赤門
この時代、将軍家から嫁を取ると門から何まで赤く塗るそうだ












三四郎池
加賀藩上屋敷の庭園
        

2013年11月23日土曜日

東京都知事・猪瀬直樹:こんな男に430万票を与えた都民は、どう思うか

猪瀬直樹さんに先の都知事選で430万票を与えた都民はどう思うだろうか。徳州会が絡む公職選挙法違反疑惑は、すでに大物議員が関係していることはメデイアが報じていたので驚かないが、まずは猪瀬知事が5000万円借用問題でやり玉に挙がった感じだ。

実際、430万を越える票を得たことには驚いたものだ。以前から言われていたことだが、東京にはミー・ハー票が150万票ほどある。それが東国原さんらの得票数と見られているのだ。

それに自分の票を上積みしたことになる。石原さんが後継者に押したことが大きい。

でも、石原さんもいい加減だ。前前回の知事選の時、前・神奈川県知事を推薦したが、反石原陣営に負けそうになると急遽再出馬を表明し知事に帰り咲いた。ところが3ヶ月後の前回の都知事選では、国政に進出するために辞めて猪瀬さんを後継に押した。

前々回の時は、「猪瀬は人望がないから駄目だ」と言っていたのが、急遽「猪瀬が適任だ。彼ほどの人材はいない」と持ち上げたのだ。何で猪瀬さんへの評価が変わったのか分からないが、自分は辞めたかったので、後はどうでも良いと考えたのかもしれない。

猪瀬さんの副知事時代の評判は悪かった。新聞報道によると、議会にはかまわず自分のやりたいように強引にやる。「根回しなどあったものではない」と味噌糞だった。

思い出してみよう。日本道路公団の民営化を検討していた時、猪瀬さんは民間委員だった。何かがあって今井委員長が辞め、次々に委員が辞めていったが、最後は猪瀬さんと大宅委員が2人残って審議を続けた。

テレビカメラを前に、猪瀬さんら2人に相対するのが日本道路公団の面々だったと思う。矢継ぎ早の質問で返答に困ると更に追い打ちの質問を浴びせていく猪瀬流のやり方は、民主党政権の「事業仕分け」そのものだった。

でも、その結果をどう評価するか。事故が起きる度に猪瀬改革の問題点と指摘されていた。

要するに評判は良くないのだ。

それが、今回の政治資金規正法違反疑惑は、記者会見を聞く度につじつまの合わない説明を繰り出していることになる。借金を申し込んだ金額も貸した側と猪瀬さんでは違っているし、要らなくなったので返却したと言っても特捜部の家宅捜査の後、収支報告書にも記載がなく、借用書の存在も曖昧ときては猪瀬さんにはまずいことだ。

猪瀬さんも他人のことでは容赦なく攻撃してくるが、自分の事になるとからっきし駄目だ。みのもんたさんに似たところがあるが、猪瀬さんの方が政治資金がらみで自分のことで質が悪い。公人はまず身の回りをキチンとすべきである。

検察が万一起訴猶予にしても、検察審査会の強制起訴が待っている。当分は有権者に不愉快な思いをさせ続ける猪瀬さんなのか。

関連記事
2013.11.24掲載
猪瀬知事の「要請していない」「借用書は探せばあるが、公表しない」発言をどう見るか



2013年11月22日金曜日

法案、国会審議の体をなさない特定秘密保護法案は廃案に

国会では審議しながら、裏で与野党入り乱れての修正協議、法案や国会審議の体をなさない特定秘密保護法案は廃案にすべきだ。政府、与党・自民党は今国会中に成案を急ぐあまり、野党の修正協議に応じている。「ねじれ国会」解消とはいえ、自民単独強行は避けたいようだ。

「情報は公開が原則」、「情報は国民のもの」ときれいごとを野党は言うが、法案の処理を間違えば党内で一波乱ありそうな状況になってきた。

みんなの党は、秘密の範囲を限定するために「その他の重要な情報」の削除を要求した。官僚は常に「その他」の文言を入れることにより拡大解釈の道を開いてきた事を考えると、当然の考えだ。
政府は代わりに「国民の生命及び身体の保護に関する」という文言を追加した。これでは「その他」を削除した意味は薄れる。

みんなの党が要求する「内閣が情報を一元管理し関与を強化する」案には、「首相の第三者機関的観点からの関与」を明確にするという。

行政機関の長の首相が「第三者機関」とは聞いてあきれる。案の定、国会審議でやり玉に挙がった。森担当相の四苦八苦する答弁に先が思いやられる。

なんで、みんなの党が協議を急いだのか。

こぼれる話を聞くと、党内事情にあるようだ。政界再編組をパージしようとする渡辺代表の存在感を維持するための戦略であったらしい。

日本維新の会も揉めている。

要求した秘密指定できる行政機関を「すべて」から「内閣、外務、防衛」の3つに限定する案は骨抜きになったようだし、「何らかのチェック機関の設置」も検討を附則に書き込むだけの内容になった。強制力のないものになったらしい。

当然、維新の会内部では意見が対立した。橋本共同代表は「不満だが、決めたからには仕方ない」という意味の発言をしていたし、松野国会議員団幹事長は、記者からの「反対もあるのか」との質問に「あり得る」と答えていた。

秘密の範囲を極力制限し、政府、官僚の恣意的解釈は禁ずるべきだし、国民の「知る権利」を考えれば、第三者機関でしっかりチェックすべきである。

しかし政府としては、国会で選んだ第三者機関といえども煙たい存在であるには違いない。

その点、民主党案をメデイアが評価していたが、自民との協議では平行線をたどっているようだ。

喧々諤々の協議の中で本音も出てきた。

新聞報道によると、防衛秘密は自衛隊法で決まっているので対象から除外すべきではないかとの要求し、自民党は「アメリカ当局から統一的な情報保全法制を求められている」と吐露した。

やっぱり、言われているとおり日本が独自ではなく、アメリカの要求で法制化を急いでいるのだ。これは「秘密事項」ではなかったのか。

兎に角、内容が十分に検討されていない法案、国会審議もまともに出来ない法案は廃案にすべきだ。

そんな中で毎日新聞元記者の西山さんが国会で参考人招致された。

西山さんは沖縄返還時返還費用の400万ドルを米国が支払うことになっていたが実際には日本側が支払う日米密約があったことをスクープしたが、外務省の女性事務員をそそのかして秘密資料を入手したことで、国家公務員法違反容疑で逮捕され有罪になった。著しく不当は取材だったというのだ。

テレビ報道で、その西山さんは「権力集中には秘密保全が伴う」と現在の権力集中の動きに警告を発するとともに、「結論が出れば、正確に国民に知らせる」ことの重要さを訴えていた。

今の国会審議の中で、一番理解できる発言ではないか。

悪い法律も、良い法律も運用するのは人間だ。時の首相、政権が善人とは限らない。






2013年11月21日木曜日

1票の格差:1票の重みを言うなら棄権(ゼロ)を止め投票率を上げることでは

1票の重みを論ずるのであれば、格差是正より1票を捨ててしまう棄権を止め、投票率を上げることではないか。1票の格差で、「選挙区によって投票価値が異なるのは憲法違反」と選挙無効を求めていた上告審で最高裁は「違憲状態」との判断を下した。

原告団は「「違憲」の流れが止まり、最高裁は違憲行為を追認した」と判決後の記者会見で失望感をあらわにした。

新聞報道によると、最高裁は1人別枠方式を削除したり、「0増5減」で是正に向けた法改正をやっていることから区割りは違憲状態だったものの「違憲」とは言えない」と請求を退けた。

その背景には、選挙を無効とした時の事の重大さがある。おそらく大混乱するだろう。原告団は「勝った勝った」と喜べるだろうが、政治の混乱まで考えてのことなのか。

やはりここは、「事情判決」しか手段はないのだ。

一方、判決で改革を後押ししたとしても、我が国の国会議員は職業として議員をやっている人がほとんどで自分の政治生命にかかわる選挙区割り、定数是正などを国会で検討できるはずがない。

そのために、今第三者機関を作って専門家に検討させたらどうかという案も出ているが、それを成案にするのは国会議員だ。果たしてできるのだろうか。

確かに、700人を超える多数の議員は必要ではなく、定数是正は必ずやらなければならないし、1票の格差を是正するには選挙区単位を大きくしなければならない。実効性にある活動ができるかも疑問だが、検討の場は必要だ。

ところで、本当に国民は「1票の格差」を問題視しているのか。

原告団だって、法曹関係者ばかりだ。今回の記者会見を見ても、何かの裁判で見たことのある顔が並んでいる。弁護士ばかりが大きな声をあげているのではないか。

むしろ、「1票の重さ」を主張するのであれば、「棄権してゼロにしてしまう行為」を批判すべきではないか。

勿論、政治から興味を失わせることの責任は政治家にもあるだろうし、政党にもあるだろう。しかし一番大きい理由は「1票の価値」を軽く考え、安易に捨てる有権者の行為だ。

投票率40~50%、得票率60%では有権者の30%しか認めていないことになる。そんなことが首長選挙でも、国政選挙でも当たり前になっていることこそ異常ではないのか。

投票したが,他の選挙区では当選している票数でも、自分の選挙区では投票した候補者が落選したことを有権者はどう考えているか。落選した候補者は「自分の力が及ばなかった」と応援者をまえに頭を下げている。

それぞれの選挙区の事情に合わせて戦えばいいのではないか。

「1票の格差」を「法の下での平等」で議論するのはチョット無理の感もするのだが。






2013年11月20日水曜日

COP19:2020年からCO2 排出削減量、大気中のCO2濃度、そして世界の平均気温はどうなるのか

05年度比3.8%減でも1990年度比は3.1%増になり
「目標を下げる」と批判が集中
2013.11.19 NHKニュース7
2020年に発効するCO2削減枠組みを決めるCOP19が始まった。これでCO2排出削減量はいくらになり、大気中のCO2濃度?、世界の平均気温?。今までのトップダウン方式ではうまくいかず、ボトムアップ方式で「自国の削減目標は自国で決める」ことになった。これですべての国が枠組みに参加できることにしたのだそうだが、自国に有利に導こうとする動きも出てくる。

まずは、各国が目標案で排出期限、削減期間を決め、次いで世界全体の削減量を確認しあい検証する協議期間がある。今問題なのは排出期限にあるらしい。

日本は温室効果ガス2020年度まで、05年度比3.8%減、3年間に16000億円の支援を提案したが、1990年度比では3.1%増の結果だったために他国やNGOから「目標を下げることになった」と批判が集中した。でも来秋までに見直すこともあるのだ。

削減というと削減率が一人歩きし、どういう事情があるにせよ「地球温暖化ムラ」の人たちからは批判の的になる。それがプラスになるというのだから格好の攻撃材料だ。

各国に削減目標、自国に有利な数値?
讀賣新聞 2013.10.31
では、他国の削減率はどうなっているのか。

讀賣新聞(2013.10.31)の「2020年までの温室効果ガス削減目標」によると、基準年が1990年、2000年、2005年とたちまちで、削減率も5~25%、中国、インドに至ってはGDP一単位あたりの削減%が掲げられている。

おそらく、各国共に自国に有利になる方法を採用しているのだろう。これで一体CO2排出削減量はいくらになるのか。

それによって大気中のCO2濃度、世界の平均気温はどう変わってくるのか。

そして一番大事なことだが、IPCCの第5次報告書は各国を説得できる内容になっているのか。

讀賣新聞(2013.9.28)の「アジア、欧州熱波増加」によると、CO2大気濃度は過去80万年間で前例のない水準に来ていると言うし、熱波、極端な高温が増え、雨の降り方が強力になり、温暖化が異常気象を招いているし、海の酸性化、北極海の海氷の縮小、700mの海水温の上昇、さらには90年代以降3000mより深い層での上昇が上げられている。
特に直前にフィリッピンをおそった台風30号の勢力は巨大で高さ5m、時速50kmの波にさらされ甚大な被害をもたらした。

このことは、「CO2排出の責任が少ないところが大きな被害を受けている」と発展途上国の弱点をさらけ出す結果になった。ただ、台風の巨大化に温室効果ガスがどう関わっているかは分からないが、海水温が上がることによる影響は否定できないか。

温暖化と人間の活動との可能性は、前回の報告書では90%と言ったが、今回は95%でほぼ間違いないという。

一方、ここ15年間の平均気温の上昇の鈍りが見られるが、これは自然変動の一部で何ら人為説を疑うものでもないという。

一時賑わした地球温暖化に対するCO2人為説vs自然変動説はどうなったか。お互いに理解し合うことなくCO2人為説が先行している地球温暖化対策だ。

日本の削減に対して石原環境相は原発再稼働が見通せないなかでの世界最善の水準と言うも、来年秋まで見直すとも言う。来年9月の気候変動首脳会議が控えているのだ。

しかし、EUは大幅に弱まった削減目標を批判、中国も90年比3%増なら京都議定書の6%減からも大きく後退すると批判、国際環境NGO気候行動ネットワークは日本に「特別化石賞」と皮肉る。

中国は更に、CO2起因による地球温暖化は「7割は先進国の責任、途上国支援の資金を強く要求」している。

2010年のCO2排出量を見ても中国は24%を占め、72億トンも出す国でありながら、肝心なときは「発展途上にある大国」の論理を振り回し責任逃れをする。中国は地球温暖化対策で途上国に分類される不可思議な国なのだ。

排出量トップの中国、2位のアメリカ、インド、ロシアが積極的にCO2削減に取り組まなければ効果は期待出来ない。

誰にでも容易に理解できる対策ができないものか。


2013年11月17日日曜日

茨城県南部、北部、千葉県北西でM5相次ぐ:10月31日早朝の雲は地震雲だったのか

10月31日午前5時頃、東京の空に地震雲?
10月31日午前5時頃、東京の夜明けの空に地震雲らしい真っ直ぐに伸びる雲を見た。一瞬地震雲ではないかと思ったが、4日後以降に地震雲(?)が伸びている方向でM5クラスの地震が多発している。

11月16日20時44分頃
千葉県北西部地震M5.5
千葉県、埼玉県、神奈川県 東京都で広く
震度4,震度3を記録
11月16日、午後20時44分頃、高崎からの帰り関越道を出て環八に入り井荻トンネルの手前、信号で止まっていたら急に車が揺れだした。5~10秒間だったと思うが車での地震は初体験だ。谷原の交差点には「緊急交通路 地震災害時一般車両通行禁止」と表示されナマズの看板が出ている。

直ぐNHKラジオに合わせて情報を得ようとしたが、なかなか情報が入らない。そのうちに信号が変わって車は動き出した。動いている時に地震に遭ったらどんな揺れになるのだろう。

NHKラジオで、千葉県北西で地震発生、M5で深さは90km、千葉県、埼玉県、神奈川県で震度4を観測、東京も震度3で広範囲に揺れたようだ。

茨城県も揺れている。11月3日14時25分ごろ茨城県南部地震M5,震度4,このときも東京は久しぶりに揺れた。その後、10日にもM5.5、茨城県北部も揺れている(気象庁地震情報)。

地震雲での地震予知は「科学的根拠がない」と言うことで気象庁は否定しているが、何故か今回は否定できないのではないかとも思ったが、発生場所までは予想できなかった。

地震とナマズの話をまとめよう。

2013年9月7日に日本で地震の基礎を築いたジョン・ミルンの特別展が国立科学博物館で開催されていたので見学した。そこにナマズと地震のことが説明されていた。

地震災害時の交通規制
それによると、安政江戸地震(1855年)後、ナマズを題材にした錦絵が大流行、ナマズ絵では民間の伝承にちなみ地震の原因とされた大ナマズとそれを押さえつけたり、懲らしめたりする鹿島大明神が主役だ。地震に乗じてカネ儲けする者を風刺する絵、被害者を救済する絵が描かれたそうだ。

しかし、幕府の取り締まりにより、短期間で姿を消したが今も200枚ほど残っているらしい。

2011.3.11の東北地方太平洋沖地震後、内陸部でも地震が活発になり、東京湾周辺も首都直下型地震の震源域で発生が危惧されている。

それに伴い火山活動にも注意しなければならないが、16日に群馬県安中市より浅間山を見ると、噴煙を上げているが噴火警戒レベルは「1」で平成22年4月15日以降変わっていないようだ。

時間のある時あるいは揺れた時、気象庁の地震情報を見ることも大事なのではないか。


関連記事
2013.10.31掲載
10月31日午前5時、夜明けの東京の空で3日月にかかる地震雲?

2013.11.04掲載
茨城県南部地震M5、震度4:東京も久しぶりに揺れる



2013年11月15日金曜日

経済見通し:アベノミクス一服感も、政権は「底堅く上向き」という半信半疑

今の日本の経済見通しを甘利経済産業相は「内需は底固く、景気は引き続き上向いていると考える」と言うが、メデイアは一様に「アベノミクス効果一服」(読売新聞2013.11.15)、「アベノミクス1年、一服感」(朝日新聞2013.11.15)と小休止状態であることを報じる。

個人消費の前期比は大きく減速、GDP成長率も7~9月期1.9%増と言うが、4~月期3.8%の半分だ。一喜一憂しても仕方ない事ではあるが政府の期待通りではない可能性がある。

今良くても、増税される来年4月を挟んで駆け込み需要から反動での消費減速が予想されるのだ。

1年ほど前の銀座のブランド店と今の様子が同じ感じだ。1年前は円安、株高に向かって消費者の購買力は高まろうとしていた時だが、今は消費に陰りが見え高級品から目が離れてきたのだ。

円安で輸出産業には利があるといわれてきたが、その輸出も減少らしい。工場を海外へ移転させたので円安のメリットは出なくなったし、設備投資も国内は伸び悩んでいるが海外貸し出しは増えているようだ。

本当に日本の経済はどっちに向いているのか。

「アベノミクスで日本経済の再生」を謳うが、「第1の矢」の効果は確かにあった。円安、株高で今までとは打って変わった展開になったが、「第2の矢」の財政政策は難しい。成長路線にもっていく財政出動と財政再建に向けた緊縮財政は相反する。世界に向かって消費税増税は財政再建への第1歩というが、成長の腰折れは否めない。

産業界の期待する「第3の矢」に至っては、評価は芳しくない。民間議員もアイデアを出しているようだが、自らの商売に利権誘導する者も出てきて本来の仕事をやっていない。

規制緩和、岩盤規制への突破口は「総理のやる気」だろうが、利権を死守しようとする族議員、官僚機構に、どう向かおうとしているのか。

そもそもスタートを間違っていては、効果を失する。

最初はマネーサプライを重視し、「2年で2倍」戦略に出た。円安、株高に転換したが、円も97~99円、株も14000~15000円で硬直状態が続く。

これじゃダメということで、家計収入の増加に向かう。企業の儲けを賃上げに回そうというのだ。経済界には異論もあるが応じようとする企業も増えてきているようだ。

デフレの要因は、家計収入の減少あるいは伸び悩みにあったというのだろう。安物志向が続いたが、そういう商品しか買えなかったのだ。

経済は人間の行動心理学だという。

消費税増税での腰折れが心配されているが、普通の人間だと消費を控えるはずだ。世論調査でも60%以上の人が消費を控えるという。90%の人が物価は上がると見ている。

政権が、この心理にどう対応しようとしているのか。

「底固い」ということは、今より悪くならないということか。











2013年11月13日水曜日

みずほ銀行の暴力団融資事件:「大きくなりすぎて潰せない」問題にアグラをかくメガバンクの姿?

みずほ銀行の不祥事、暴力団融資事件は、金融危機にあって「大き過ぎて潰せない」問題にアグラを構き続けるメガバンクの姿ではなかったか。ラジオニュースで国会招致された「みずほ銀行」の佐藤頭取が「担当役員までと嘘の報告をしたのは、恣意的ではなく基本動作の単なるミス」という意味の釈明をしたが、背景には金融庁との関係で「何とかなる」と安易に考えたのではなかろうか。

メガバンクは「大きすぎて潰せない」ことを良いことに傲慢なやり方をやっているのだ。

衆院で佐藤頭取は、「他にもこういう例は出てくる」と言い、麻生財務相は「遡って深く検証する必要があった」と金融庁のやり方を謝罪した。

銀行というところは、どうしてこうも社会常識に欠けているのか。現在の狂った経済の根本原因は銀行の失敗した経営にある。

バブル期に放漫な経営で大儲けし(?)、バブルが弾けると経営の根幹を揺るがす事になった。銀行が潰れると「社会的混乱」は計り知れず、政府は公的資金注入、1000万円を上限に預金を保障する手を打って銀行を守った。

又、銀行の体力が落ちているので銀行の合併によって体力維持の方策をとった。体力が弱った銀行同士が合併しても体力が回復するはずはないが、合併によって競争にさらされる機会は少なくなるので、それなりの効果はあったのだろう。

銀行の経営が傾くと世界経済への影響も無視できなくなり自己資本規制を実施し資本の上積みが求められた。讀賣新聞(2013.11.13)によると、金融安定化理事会は巨大銀行に厳しい資本規制を課している。三菱UFG銀行に1.5%、三井住友銀行、みずほ銀行に1.0%の上乗せを要求している。

銀行に対する「大きくなりすぎて潰せない」問題は、2013年10月10日~11日に米国・ワシントンで開催された20カ国財務大臣・中央銀行総裁会議の声明でも強靱な金融機関の形成、「大きすぎて潰せない」問題の終結が掲げられている(財務省HPより)。

具体的にどうするのかは分からないが、健全且つ信頼に足る金融システムを構築するための取り組みを追求していくというのだ。

安い預金金利にも関わらず、銀行の好決算をみるのも頭にくる。投資信託だって加入者は損しても銀行はちゃっかり前金で手数料を取っている。

クルーグマン教授も彼のコラムで「銀行を救済するよりも、先に労働者を救済せよ」と正論を吐いていた。

アメリカの経済学者は、「賃上げが出来ず、家計収入が増えないのであれば銀行預金の金利を上げたらどうか」と提案していた。預金金利が5~6%になれば消費も上がり、経済は好転するのではないか。勿論、中小企業は金利上昇で借金しにくくなるが。

不祥事を起こすような銀行は整理するのが筋ではないか。政府が「社会的混乱」を恐れて銀行保護の手厚い政策を打っていることが、銀行が健全経営する機会を失していたのではないかと思うのだが。

[ 後記]

このメガバンクの暴力団融資事件は、根が深いことが讀賣新聞(2013.11.14)の衆院委質疑で分かった。

みずほ銀行本体の他にも三井住友銀行でも同じ事案があるようだ。件数は非常に微妙な情報なのでご容赦いただきたいという。

何故公表しないのかとの野党議員の質問に、公表することで回収や解消に支障を来す事もある。反社会的勢力に関するデータが警察と一致しない部分もあり、不測の事態にもなりかねないと言うのだ。

不測の事態とはただ事ではない。

麻生金融相も公表に関しては慎重な姿勢を見せた。

大新聞は件数の追求はしないだろうが、週刊誌では追求するのではないか。じったいをしるにもがんばってほしい気がする。
                                 (2013.11.14 午前6時30分)
               


小泉さんは「即時ゼロ」というが、原発政策は「即時ゼロ」、「フェードアウト」、「原発継続」の三択

我が国の原発をどうするか。小泉元首相は「即時ゼロ」と言うが、考えられるのは「即時ゼロ」、「段階r的に止めていくフェードアウト」、「このまま原発を続ける」の三択だろう。安倍政権が再稼働路線をとり、原発ゼロ派にとっては不利な形勢だったが、小泉元首相が「原発ゼロ」を発言するようになり動きが注目されてきた。

12日の小泉元総理の日本記者クラブでの会見が、13日のメデイアの紙面のトップを飾っている。

今なぜ、小泉元首相の会見がトップ記事になるのか。

新聞報道によると、小泉元首相の発言は、「再稼働と言うがそんなに多くは再稼働できないだろう。そして再稼働すれば核のごみは増える。どうせ止めるのであれば「今やめた方がいい」。、首相が決断すればエネルギー対案は必ず出てくる」という内容のようだ。

小泉さんは「即原発ゼロ」を訴えていたのだ。

ところが、新聞はいままで日本経済再生を考えて「再稼働」を主張していたのではないか。にもかかわらずトップ記事の裏には新党結成、あるいは脱原発派の勢力結集をあおる魂胆が見えていないか。

朝日新聞(2013.11.12)の本社世論調査をみると、「原子力発電を段階的に減らし、将来はやめることに賛成ですか、反対ですか」の設問に賛成72、反対15。「小泉元首相は、政府や自民党に対して「原発ゼロ」を目指すべきだと主張している。小泉さんのこういった主張を支持しますか、支持しませんか」の設問に、支持する60、支持しない25だ。

この結果は「フェードアウト」を支持しているのであって、「即時ゼロ」の意思は分からない。

実際に政権を担っている安倍総理と小泉元首相との違いは、「日本経済をどうやって立て直すか」にあるのではないか。

安倍総理は、日本経済の立て直し、国内生産への回帰を重要課題にすれば「原発再稼働」は必須条件なのだ。電気代の値上げは消費や国内生産に大きな影響が出る。

小泉元首相の「即時ゼロ」論は、そこを答えていない。

首相が「止める」と決断すれば、エネルギー政策にも知恵が出て、日本経済にも好影響が期待できるというのだろうか。それこそ積極的楽観論ではないか。

兎に角、小泉元首相の「原発ゼロ」は日本の世論に大きく影響するだろう。広く議論を起こし、原発政策へコンセンサスを得るべきだ。





2013年11月12日火曜日

試乗車による自動ブレーキ車事故、しっかり検証を

車の試乗会で自動ブレーキ装着車で事故を起こしたというニュースをテレビと新聞でしった。しっかり検証すべきだ。

私は自動ブレーキ車に乗ったことはないが、初めてだと、「大丈夫かな、止まってくれるかな」と心配になりついついブレーキやアクセルに足が行ったのではないか。そうだとすれば作動しないはずだ。

先月の17日に東京ビッグサイトで開催された「第20回ITS世界会議東京2013」に行って、車でのいろんな情報処理を見ることができた。その中で自動ブレーキ技術も紹介されていた。

聞くところによると、30km/h以下の時に追突事故が多発するらしい。

そのために低速~20km/h以下では自動で止めることはできるが、20~30km/hでは被害を軽減することができるという。

そして運転者が回避操作をすれば自動ブレーキは動作しないのだ。

つまり、スマートアシストは、ドライバーのうっかり運転防止をアシストするのであって、ドライバーが危険回避をしようとする時は作動しないのだ。

安全運転のために車にはいろんな情報、危険防止技術が採用されているが、運転するのは人間だ。新しい技術に頼ってはいけない。

これから自動ブレーキ装着車が増え、トラブルも発生するだろうが、しっかり検証すべきで決して自動装置任せにしてはならない。

そんな気がする自動ブレーキ車事故ではないか。


[関連記事]
2013.10.17掲載
第20回ITS世界会議東京2013:ITS技術はどこまで運転者をアシストできるか




特定秘密保護法案の「特定秘密」とは、「国民に知られてはまずい事項」ではないのか

特定秘密保護法案の「特定秘密とは何か」で国会がもめている。野党と政権側でいろんな応酬があるだろうが、結論から言うと「特定秘密」とは、「国民に知られてはまずい事項」ではないのか。NHKの国会中継がないので詳細は分からないが、テレビ、新聞の報道では森担当相の答弁が揺れているようだし、谷垣法相に至っては「具体的事案では検察が判断すること」という意味の答弁をしていたようだ。

谷垣さんの言う検察だって行政の一機関であり、それとなく指揮権発動まがいのことをやる可能性は大きい。

こんな状態で今国会会期末ギリギリに国会を通したいというのは余りにも強引すぎないか。

昨日ジャーナリストら8人が反対声明で「取材、報道の自由は著しく制限され、。国民の知る権利を大きく侵害する」と訴えていた。当然の話でテレビに顔を出すコメンテーターや著名なジャーナリストも情報番組や報道番組でこの法案に反対する発言をしている。

一方で総理や他の閣僚と食事を一緒にしたと番組内で発言しているのを聞くことが度々あるが、この人達が信用できるのか疑問に思うときもある。

よく情報公開法との関連で「公開原則」とのバランスが主張されている。

でも、思い出してみよう。野党議員が情報公開法で開示請求したところ、こんな資料を入手したと、真っ黒にマーキングされた資料を掲げる場面が多い。

要は、「国民に知られたくない事項」が特定秘密なのだ。

そして法案でも、特定秘密に関する事項の中に「・・・その他の・・・」と拡大解釈できる記述が多いのだ。これは官僚のよく使う手なのだ。

政権も官僚も法で縛られることを極端に嫌うのだ。

政権や官僚の恣意的運用を可能にする特定秘密保護法案を成立させてはいけないのだ。


関連記事
2013.11.10掲載
特定秘密保護法案:政権が嘘をついても政策推進ができるようにする法案か







2013年11月11日月曜日

来年3月末までに南海トラフ巨大地震発生:信じたくないが、公表した姿勢には拍手

週刊現代(2013.11.23)で東大名誉教授の村井先生が、またまた南海トラフ巨大地震が来年3月末までに起きると警告している。本音を言うと起きてほしくないが、目前に迫っている地震予測の公表に拍手を送りたい。今までも多くの地震予知研究者が挑んだが失敗していることを考えるとその勇気には敬意をひょうする。

起きるのであれば、九州、四国沖でM7クラス以上の巨大地震でなく、M5位で起きて予知の一つの手法であることを他の研究者に認めさせたいものだ。

四国~九州で地殻が急変動し、
警戒レベルを超えているという
週刊現代2013.11.23
村井先生は、地殻の隆起、沈降の変動をGPSで精密に測量し地震の予測に活用する研究をしているが、今まで蓄積したデータ、経験から四国から九州にかけて急激な変動を観測し警戒レベルをこえているという。

この現象は、あの2011.3.11の東北地方太平洋沖地震の前によく似ていることを考えると、四国沖から九州にかけて南海トラフ上でM7クラス以上の巨大地震発生の危険があると警告するのだ。

おまけに、発生時期も間近で来年3月末までという。村井先生は、以前にも九電の川内原発付近での地震の発生を警告していた。

しかし、このGPSによる方法にも弱点はある。地震はプレート岩盤の中で発生しているが、GPSは地表に設置されている。だから地表の動きと岩盤の動きとどう関連しているのかは分からない。だから地震予測には直ちに結びつかないというのだ。

南海地震の発生による地盤の隆起量
と発生年代
サンデー毎日2013.9.23
一方、京大の鎌田先生は南海地震が起きると地盤が規則的に上下する現象に着目し、一回の地震で大きく隆起すると次の地震までの時間が長くなる規則性があることを見いだし、具体的に高知県室戸岬の室津港のデータを解析した結果、次の南海地震は2030年代後半と予測した(サンデー毎日2013.9.23)。

これだって地下の岩盤の動きではなく、地盤の動きをチェックしているのだ。無下に否定は出来ない。

他にも南海地震の発生時期を30~40年代とする地震研究者が意外に多いようだ。

南海トラフに関わる巨大地震の発生は通説では100~150年間隔で発生すると考えられていたが、実際には200年に1回ではないかという通説を否定する研究が発表されている。

南海トラフで起きた巨大地震をそのメカニズム、被害発生の状況を精査した結果、慶長地震や昭和の東南海地震、南海地震を特異な例として除いたりすると南海トラフの巨大地震は200年に一回程度の間隔になり、その方が素直な考え方だという(朝日新聞2013.10.31)。

また、南海トラフ巨大地震は、東海地震、東南海地震、南海地震、さらには日向灘、南西諸島海溝まで連動する可能性も言われているが、東大地震研の瀬野先生は、今まで発生した東海地震、東南海地震、南海地震を検証した結果、宝永型地震と安政型地震の2つに分類、それらが交互に発生しており、次は安政型地震で将来の東海地震の発生は200年以上先という(地震 第64巻、第2号 2012年1月)。

日本列島周辺のプレート
地震を起こすエネルギーがたまっている
朝日新聞 2013.10.31
地震の揺れや津波に関する史料から検証も盛んであるが、2011年3月の東北地方太平洋沖地震というM9クラスの巨大地震が発生したために今、日本の地下構造は大きく変わっているだろう。200年先だと安心は禁物だ。

願わくば、M6程度の地震発生で「地震予知にGPSは有効だ」と言うことにならないだろうか。


兎に角、油断は禁物だ。







[関連記事]
2013.7.25掲載
南海トラフ巨大地震は何時?:間近か、今世紀中頃か、それとも200年先か

2013.8.6掲載
首都直下型、南海トラフ巨大地震を前兆、前震で予知できないか

2013.9.7掲載
どこまで伸びる南海トラフ巨大地震の震源域:南西諸島海溝まで拡大か

2013.10.12掲載
地震予知は、GPS解析とスロースリップ前兆で可能では

2013年11月10日日曜日

秘密保護法案:政権が嘘をついても政策推進が出来るようにする法案か

8日から衆院で秘密保護法案が審議入りし、今国会会期末ギリギリに成立させたいようだが、特定秘密の指定対象が問題になっている。安倍総理が「特定秘密対象は政権によって替わってくる」と答弁していたが、政権が嘘をついても政策推進できるようにする法案か。

法案は、防衛、外交、スパイ防止、テロ対策の4分野で機密情報を外部に漏らした国家公務員らへの罰則を強化する法案だと言う。

でも、曖昧な点が多すぎる。法案成立後、裁判でいろんな議論が出るのを防止するためにも定義をきちんと決め、拡大解釈されないように留意すべきではないか。

国家公務員らの行為を罰するのであるが、「国家公務員ら」とはどこまでの範囲なのか。

特定秘密の指定も安全保障の機微に触れるものに限るとしていると説明されているが、できる限り明示すべきだ。特に情報公開法との関連もあり「情報は国民の財産」でもある。情報を漏らすことが国益にどう影響するかを考え厳しく制限すべきだ。

そして、ここが重要な点であるが法案の中には、特定秘密に関連する事項の中に「・・・その他の・・・」と言う記述が多い。これは拡大解釈される根拠になるのは明らかで官僚のよく使う手だ。

秘密保護と情報公開は相反することであり、全体のバランスが大事だ。拡大解釈されそうな言語は極力避け取材の自由をどう確保するか。

以前から日本は「スパイ天国」と言われてきた。アメリカなどからの情報が日本に伝わるとそれが漏れているというのだ。政権も秘密保護をやらなければ重要な情報が入ってこないと危惧する。

ところが最近アメリカが情報を盗聴している疑惑が出て来たが、実際には相当前からやっているらしいのだ。日本も対象になっていたようだが安倍政権は否定する。政権にとっては、「信じたくない」で逃げようとしている。

「国益を如何に守るか」という観点からしっかり審議し、成立を急ぐ余り政権の恣意的運用に繫がることは避けなければならない。

特に思い出すのが、沖縄返還をめぐってアメリカと密約があったのではないかという西山・元毎日新聞記者の事例だ。西山元記者は外務省の女性職員をそそのかして機密情報を入手しスプークした。

結果は、密約があったことは最近分かったが、西山さんは女性職員をそそのかして機密情報を入手したことで有罪になったはずだ。

当時の佐藤政権は、米国との密約を否定してまで沖縄返還を強力に推進したのだ。密約をばらすことが国益か、沖縄返還が国益か判断が難しい。

最近では民主党・菅政権の時、中国の漁船が領海侵犯し、それを阻止しようとした海上保安庁の巡視船と衝突行為を繰り返したために船長が逮捕された。海上保安庁は送検したが、政権が中国に配慮し地検に早期釈放を迫った。那覇地検は「高度の政治判断で釈放した」と記者会見したが国民はそうは思っていなかった。

後に仙石元官房長官が講演で、APEC開催を控えて中国に配慮したと告白した。菅元総理の意向で中国のAPEC参加を優先する余り、領海侵犯という国益を害する行為を無罪放任したのだ。

それ以降、中国による尖閣諸島周辺が緊迫化している。

政権は、今まで嘘ばかりついて国民をだましてきた歴史がある。それを秘密保護法の下で正当化しようとするのであれば絶対に反対だ。


2013年11月9日土曜日

モース・コレクション特別展に見る「明治の庶民の生活」と大森貝塚遺跡発掘

モース博士肖像画 特別展で
9日、江戸東京博物館で開催中のモース・コレクション特別展(2013.09.14~2013.12.08)を見学し、130年前の日本の明治時代の庶民生活と我が国最初の貝塚発掘の状況を知ることが出来た。特に注目すべきは当時の日本人の生活様式、道具類を見てモースがどう感じたかを「日本その日その日」から知ることが出来、又、777点の中の自筆のスケッチから、すでに日本では失われた光景を知ることが出来るのだ。

私も子どもの頃は岡山県の山間部の小さな村落に住み、家は農業をやっていたので展示されている多くの道具類には見覚えもある。

モースは「お雇い外国人」として東大の動物学教授として来日、1877年から3度、4年間の日本滞在での出来事を「日本その日その日」にスケッチを含め克明に記述し、何ら変哲もない日本の身の回り品を集め4万点のコレクションが米国のピーボデイー博物館に保管されている。

当時は東京の人口も100万人程度で、通訳がいなくても結構やっていけると感じたようで採集に出かけている。

最初にモースの興味をひいたのが「下駄」らしい。粗末な木製の履き物で、歩くと「カタカタ」音がすると書いている。そういえば今、下駄を履いて町を歩いている人はいない。

お歯黒には驚いたようだ。当時既婚の女性は歯を黒く塗り磨いていた。外国人にとってはゾッとするほど驚いたというが、私だってそういうのを見ると驚くだろう。

今、時代劇などで女優さんが多数出ているが、お歯黒はいない。もしお歯黒で出ると視聴率は上がらず、その前に苦情が殺到するだろう。時代考証としては問題ではないか。

「食べる」と言うことに関する資料も異彩を放っている。集められた台所道具などは面白い。モースは特に箸の使用を全世界に吹聴したという。

お正月料理がスケッチで出ていたが、今と変わらない。モースは、日本の風習に溶け込んでいたのだろう。

全員笑顔の子ども達の写真
特に子どものことに関する記述が多い。特別展の入り口の笑顔の子ども達の写真にも象徴されている(展示場内は撮影禁止だが、この写真とモースの肖像画は禁止が解かれていた)。モースは「日本は確かに子どもの天国だ」という。子どもが親切に取り扱われ、その子どものために深い注意を払う国は他にないない。このためにもコニコしているところを見ると、朝から晩まで幸せであるという。又、赤ん坊の為に尽くす国も他にはないと言う。

ところが、今の日本の世相はどうだろう。嬰児殺し、虐待、育児放棄が頻発していることを考えると、モースはどう言うだろろうか。

その要因に、昔は大家族で共同して子育てをやっていたが、今は核家族で頼れる人がいない。育児にも疲れが出てくるのだろう。早めに助けを求められないのかと焦れったくもなる。

又、モースは「人々が正直である国にいることは実に気持ちが良い。外国人は重荷に感じる善徳、品性を日本人は生まれながらに持っている」とも褒め称える。

今の日本に「どうしたんだ」と問いかけているようにも思えた。

モースは日本の明治時代の庶民の生活道具類を集め、当時の生活文化を後世に伝えようとしたが、日本は貴族など高い地位の人たちの調度品、コレクションを集めて高い維持費を払って保管しているが、それで生活文化が伝えられるのかと批判しているのを見たことがある(確か品川博物館でのモース展示で)。

庶民の暮らしを伝えるモース・コレクションは、我が国にとっても貴重なコレクションである。

一方、モースと言えば大森貝塚発見、発掘での日本の貝塚遺跡発掘での貢献だ。

JR京浜東北線上り 大森駅を出て直ぐ
左側に見える大森貝塚遺跡庭園
線路側の斜面に「大森貝塚」の
碑が\建っている
モースは来日して3日目に横浜から東京に向かう大森付近で、汽車の窓から線路切り通しに貝殻の堆積物を見つけ、直ぐ貝塚であることを認識し発掘調査に移った。その様子をスケッチで残している。

遺跡は、今のJR京浜東北線で大森駅を出ると直ぐに左側に見ることが出来るが、2カ所に碑が建っている。

手前にあるのが大森貝墟で大田区にある。ビルの間を線路際に降りていくと碑が建っている。もう一つはそれから300m程離れた大森貝塚で品川区になる。どちらが最初の場所かと論争になったが品川区の方で決着は付いたようだ。

発掘調査風景
品川区・ポートランド姉妹都市記念碑に刻まれたスケッチ
品川区の大森貝塚遺跡庭園には、品川区・ポートランド姉妹都市提携記念の碑に、大森貝塚発掘風景が刻まれているし、貝塚からの出土品を運搬する風景もスケッチされていた。
これらは「日本その日その日」でスケッチされている絵だ。

出土品の運搬風景のスケッチ
大森貝塚遺跡庭園の説明資料より
スケッチの他にガラス原板写真も多く日本の風習が記録されている。これらのモース・コレクションは、アメリカにあって評価されるのか、日本では評価されないのか。


遺跡発掘も発掘者の国に多くの出土品が持ち出されているが、これで良いのだろかと疑問に思うこともある。