2013年11月11日月曜日

来年3月末までに南海トラフ巨大地震発生:信じたくないが、公表した姿勢には拍手

週刊現代(2013.11.23)で東大名誉教授の村井先生が、またまた南海トラフ巨大地震が来年3月末までに起きると警告している。本音を言うと起きてほしくないが、目前に迫っている地震予測の公表に拍手を送りたい。今までも多くの地震予知研究者が挑んだが失敗していることを考えるとその勇気には敬意をひょうする。

起きるのであれば、九州、四国沖でM7クラス以上の巨大地震でなく、M5位で起きて予知の一つの手法であることを他の研究者に認めさせたいものだ。

四国~九州で地殻が急変動し、
警戒レベルを超えているという
週刊現代2013.11.23
村井先生は、地殻の隆起、沈降の変動をGPSで精密に測量し地震の予測に活用する研究をしているが、今まで蓄積したデータ、経験から四国から九州にかけて急激な変動を観測し警戒レベルをこえているという。

この現象は、あの2011.3.11の東北地方太平洋沖地震の前によく似ていることを考えると、四国沖から九州にかけて南海トラフ上でM7クラス以上の巨大地震発生の危険があると警告するのだ。

おまけに、発生時期も間近で来年3月末までという。村井先生は、以前にも九電の川内原発付近での地震の発生を警告していた。

しかし、このGPSによる方法にも弱点はある。地震はプレート岩盤の中で発生しているが、GPSは地表に設置されている。だから地表の動きと岩盤の動きとどう関連しているのかは分からない。だから地震予測には直ちに結びつかないというのだ。

南海地震の発生による地盤の隆起量
と発生年代
サンデー毎日2013.9.23
一方、京大の鎌田先生は南海地震が起きると地盤が規則的に上下する現象に着目し、一回の地震で大きく隆起すると次の地震までの時間が長くなる規則性があることを見いだし、具体的に高知県室戸岬の室津港のデータを解析した結果、次の南海地震は2030年代後半と予測した(サンデー毎日2013.9.23)。

これだって地下の岩盤の動きではなく、地盤の動きをチェックしているのだ。無下に否定は出来ない。

他にも南海地震の発生時期を30~40年代とする地震研究者が意外に多いようだ。

南海トラフに関わる巨大地震の発生は通説では100~150年間隔で発生すると考えられていたが、実際には200年に1回ではないかという通説を否定する研究が発表されている。

南海トラフで起きた巨大地震をそのメカニズム、被害発生の状況を精査した結果、慶長地震や昭和の東南海地震、南海地震を特異な例として除いたりすると南海トラフの巨大地震は200年に一回程度の間隔になり、その方が素直な考え方だという(朝日新聞2013.10.31)。

また、南海トラフ巨大地震は、東海地震、東南海地震、南海地震、さらには日向灘、南西諸島海溝まで連動する可能性も言われているが、東大地震研の瀬野先生は、今まで発生した東海地震、東南海地震、南海地震を検証した結果、宝永型地震と安政型地震の2つに分類、それらが交互に発生しており、次は安政型地震で将来の東海地震の発生は200年以上先という(地震 第64巻、第2号 2012年1月)。

日本列島周辺のプレート
地震を起こすエネルギーがたまっている
朝日新聞 2013.10.31
地震の揺れや津波に関する史料から検証も盛んであるが、2011年3月の東北地方太平洋沖地震というM9クラスの巨大地震が発生したために今、日本の地下構造は大きく変わっているだろう。200年先だと安心は禁物だ。

願わくば、M6程度の地震発生で「地震予知にGPSは有効だ」と言うことにならないだろうか。


兎に角、油断は禁物だ。







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