特定秘密保護法案の衆院通過を報じる讀賣新聞 2013.11.27 |
衆院では、国家安全保障特別委員会で法案審議をしている裏で、与野党が修正協議をする異常な事態を国民の前にさらし、先立つ福島での公聴会では意見陳述者のほとんどが反対又は慎重意見だったが、その公聴会の意見も反映させないままの衆院本会議の採決だった。
おまけに、ジャーナリスト、学識者、メデイアのほとんどが反対意見を発している特定秘密保護法案に民意があるのか。
政府は、日本版NSC法案とセットで秘密が保全されていることが各国が情報交換していくうえで不可欠であるとの認識を強調し、12月6日までの臨時国会会期中の成立を目指し、譲歩の意思はない。
「ねじれ国会」解消しても、自民党単独での強行突破だけは避けたい自民・公明政権は、みんなの党、日本維新の会と修正協議に持ち込み強行突破の様相だけは避けることができた。
しかし、これが国民の民意なのか?
この法案が、米国からの強い要望があってのことは与野党協議の中で見えてきた。
新聞報道によると、野党が「防衛秘密は自衛隊法で決まっているので対象から除外すべきではないのか」と要求したとき、自民は「アメリカ当局から統一的な情報保全法制を求められている」と除外を拒否した。
また、25日の参院決算委員会で民主党・蓮舫議員の「国民の望まない秘密保護法だけ急ぐのはいかがなものか」との質問に、安倍総理は「海外の情報責任者から「今後さらに情報の共有、交換が必要だ」と話をいただいているわけだから、しっかり議論していただき、成立をお願いしたい」と応えている(朝日新聞2013.2.26)。
米国から喫緊の政治課題として突きつけられているのだ。
確かに、日本はスパイ天国と言われても仕方ないことがあった。イージス艦の機密事項が第三国へ流されていたこともあったし、最近ではステルス戦闘機「F35」の情報開示を米国が渋っているという。
同盟国から重要な情報を得られない事態になれば、日本の安全保障は危うい事態になることぐらいは分かっている。
でも、このような特定秘密保護法が本当に必要なのか。
官僚組織が官僚を制する官僚主導の秘密保持体制で「国益」を守ることが出来るのか。
改めて朝日新聞(2013.11.27)で「特定秘密保護法4党修正案(全文)を読んでみた。
目的は我が国および国民の安全の確保であって、「国益」を守ることなど記されていない。
別表の秘密保持事項には「・・・・その他の・・・」という表現が9カ所も使われており、官僚お得意の拡大解釈への道が大きく開かれている。どの野党だったか忘れたが、この表現の削除を求めたと思うが、政権、官僚は当初案を貫いたことになる。
特定秘密の指定、解除に関する検証、観察機関のいわゆる「第三者機関」も、日本維新の会の山田議員の執拗な質問に「自分は設置するよう考えている」と答弁していたが、その内容は曖昧なままだ。
「国民の知る権利」、「報道の自由」も、肝心な国家公務員が情報の提供を制限してしまえば、「国益を守る」ことも覚束なくなる。
安倍総理! 自民党は野党生活の経験から「国民目線」に変わったのではないのか。衆院選での訴えは嘘だったのか。政権に復帰して短期間に元の自民党体質に変わったのか。
これが安倍内閣支持率下落のきっかけになる気がする。もう一度考え直せないか。
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