若田さん宇宙へ NHKおはよう日本 2013.11.8 |
打ち上げはいつもの光景で、出身地の子ども達や家族、出身校関係者の「万歳」があり、初交信が紹介される。予算がほしいために関係者が「やらせ」をやっているのではないかと疑いたくなる。
思い出すのは中学生のころだったか、新聞トップでソ連が犬を乗せた人工衛星・スプートニクを打ち上げ成功させた記事が何の前触れもなく載った。その当時は、人工衛星はアメリカが最初に打ち上げると思っていたので子どもながら驚いたものだ。
それからしばらくして、今度はガガーリン少佐が宇宙に飛び出し生還した。「地球は青かった」の言葉は初めて人間が宇宙から地球を見た感想だった。
ガガーリンが飛び立った基地もバイコヌール宇宙基地だったのだ。
後になって当時のガガーリンの心境が新聞に載っていた。ガタガタ振動が激しくとても生きた気持ではなかったようだ。今は何人も当時に宇宙基地に運ぶこともできる技術開発はすごいが、貴重な人命を失う悲惨な事故がテレビ中継されていたのだ。
日本も宇宙開発事業に大きく貢献している。「きぼう」の日本実験棟、ISSへ物資を補給する「コウノトリ」、そして宇宙飛行士の養成だ。今日本人宇宙飛行士は8人で16回飛行しているという。
いつも思うことだが、一体いくらの予算を使っているのか。JAXAの予算は1700億円程度だが、はっきりしなかった。ところが8日の朝日新聞、讀賣新聞で分かってきた。
1988年に始まって25年間で7890億円使ったようだ。日本の宇宙関連予算は3000億円と言われているが、ISSへの拠出金は年間400億円になっている。米国は桁外れの10兆円らしいがスペースシャトルに見られるように今は縮小している。
我が国も宇宙計画でISSへの経費を削減する方針が決まっている。ISSも設備が老朽化し、2020年以降の運用が決まっていないのだ。
一方、成果はあったのか。
宇宙からの地球の眺め、無重力状態での生物、植物の生育、地上でのありふれた行為が無重力ではどうなるか、子ども向けに面白い実験を見せてくれた。
他に宇宙実験の成果をJAXAのHPで見た。
目的には、「暮らしを豊かにする」「産業競争力を高める」が掲げられている。
実績として、無重力での材料生成条件、光材材、太陽電池、有害物の除去、ハイパワーな次世代半導体の高効率化、高齢化に向けた骨や筋肉の衰えメカニズムの解明、医薬品開発などの健康長寿分野、オゾン層の保護/回復など地球大気組成の変化、電磁波観測そして科学技術を支える人材育成などが上げられている。
地上では専門家が試行錯誤で実験を繰り返すテーマが、宇宙飛行士によって実施されていることに驚くが産業に繫がる成果は出ていないらしい。
今後の我が国の宇宙開発は、実用的衛星の開発などを通じた産業振興を重視するという(讀賣新聞2013.11.8)。
イトカワから地質のサンプルを採取し、途中行方不明になったが必死の捜索で見つかり無事地球に帰還した「はなぶさ」は感動的だった。この衛星には日本の町工場の技術が結晶しているという。アメリカも驚いたのではないか。
そして最近は、安価で打ち上げる衛星「イプシロン」がある。
ロシアが世界で初めて人工衛星を打ち上げたとき、人工衛星の構想はロシアの哲学者が提案していたと聞き驚いたが、後になって昔は物理学は哲学だったことが分かった。
今、インドや中国に見られるように、宇宙開発は国威発揚の手段に使われ出した。間違った方向に行かなければ良いと思う。
今後の宇宙開発はどこに向かうのか。夢は覚め、現実を凝視する時なのだ。
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