8日から衆院で秘密保護法案が審議入りし、今国会会期末ギリギリに成立させたいようだが、特定秘密の指定対象が問題になっている。安倍総理が「特定秘密対象は政権によって替わってくる」と答弁していたが、政権が嘘をついても政策推進できるようにする法案か。
法案は、防衛、外交、スパイ防止、テロ対策の4分野で機密情報を外部に漏らした国家公務員らへの罰則を強化する法案だと言う。
でも、曖昧な点が多すぎる。法案成立後、裁判でいろんな議論が出るのを防止するためにも定義をきちんと決め、拡大解釈されないように留意すべきではないか。
国家公務員らの行為を罰するのであるが、「国家公務員ら」とはどこまでの範囲なのか。
特定秘密の指定も安全保障の機微に触れるものに限るとしていると説明されているが、できる限り明示すべきだ。特に情報公開法との関連もあり「情報は国民の財産」でもある。情報を漏らすことが国益にどう影響するかを考え厳しく制限すべきだ。
そして、ここが重要な点であるが法案の中には、特定秘密に関連する事項の中に「・・・その他の・・・」と言う記述が多い。これは拡大解釈される根拠になるのは明らかで官僚のよく使う手だ。
秘密保護と情報公開は相反することであり、全体のバランスが大事だ。拡大解釈されそうな言語は極力避け取材の自由をどう確保するか。
以前から日本は「スパイ天国」と言われてきた。アメリカなどからの情報が日本に伝わるとそれが漏れているというのだ。政権も秘密保護をやらなければ重要な情報が入ってこないと危惧する。
ところが最近アメリカが情報を盗聴している疑惑が出て来たが、実際には相当前からやっているらしいのだ。日本も対象になっていたようだが安倍政権は否定する。政権にとっては、「信じたくない」で逃げようとしている。
「国益を如何に守るか」という観点からしっかり審議し、成立を急ぐ余り政権の恣意的運用に繫がることは避けなければならない。
特に思い出すのが、沖縄返還をめぐってアメリカと密約があったのではないかという西山・元毎日新聞記者の事例だ。西山元記者は外務省の女性職員をそそのかして機密情報を入手しスプークした。
結果は、密約があったことは最近分かったが、西山さんは女性職員をそそのかして機密情報を入手したことで有罪になったはずだ。
当時の佐藤政権は、米国との密約を否定してまで沖縄返還を強力に推進したのだ。密約をばらすことが国益か、沖縄返還が国益か判断が難しい。
最近では民主党・菅政権の時、中国の漁船が領海侵犯し、それを阻止しようとした海上保安庁の巡視船と衝突行為を繰り返したために船長が逮捕された。海上保安庁は送検したが、政権が中国に配慮し地検に早期釈放を迫った。那覇地検は「高度の政治判断で釈放した」と記者会見したが国民はそうは思っていなかった。
後に仙石元官房長官が講演で、APEC開催を控えて中国に配慮したと告白した。菅元総理の意向で中国のAPEC参加を優先する余り、領海侵犯という国益を害する行為を無罪放任したのだ。
それ以降、中国による尖閣諸島周辺が緊迫化している。
政権は、今まで嘘ばかりついて国民をだましてきた歴史がある。それを秘密保護法の下で正当化しようとするのであれば絶対に反対だ。
0 件のコメント:
コメントを投稿